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Nutubeでオーディオアンプを作ろう~②回路設計編

1 前回までのあらすじ

 「〇〇を作ろう」プロジェクト、第3シーズンは「Nutube」を使ったオーディオアンプを製作することになった。親友への嫌がらせや、たまたま見つけてしまった部品を使ってしまいたいという不純な動機からピュアなサウンは生み出されるのだろうか…

 今回は、構想編にて脳内で取りまとめたコンセプトを具体化していく作業をご報告したい。

2 電源周り

【基本構想】

 本機は、
 ① Nutubeを使ったプリアンプ
 ② PAM8012モジュールを使ったパワーアンプ
 ③ Bluetoothモジュール
の3つのブロックに分かれている。
 大元の電源供給には、DC12VのACアダプタを使うので、①のうち、Nutubeそのものに対しては12Vでよい。他方で、②と③は5Vに降圧する必要があるほか、Nutubeのバイアスとフィラメントに3.3Vを供給する必要がある。


【具体的な回路設計】

〇 12V供給部分

 ACアダプタには、スイッチング方式とトランス方式という2つの方式がある。トランス方式の方がノイズが少ないとされており、オーディオ用途ならば当然こちらにすべきなのだろうが、高価い…
 コスパなんて気にしないけどお財布の薄さは厳然たる事実…使うのはスイッチング方式にならざるを得ないが、整流時のリップルノイズや高周波ノイズは少しでも低減したい。
 そこで、ACアダプタからの12Vを直接Nutubeに送り込むのではなく、その前にバイパスコンデンサを組み込むことにする。
 バイパスコンデンサの容量はその目的によって異なり、電源電圧の安定化であれば数10~数100μF、高周波ノイズ対策目的であれば数100pF~0.01μF程度が望ましいようである。

〈回路図〉
 回路図といっても、電解コンデンサとフィルムコンデンサを一つづつ、というだけのものである。

念のためくらいのものではあるが、ないよりはましだろう…

〇 3.3V、5V供給部分について
こちらには三端子レギュレータを用いる。
 三端子レギュレータは、入力電圧を求める電圧に変換してくれる優れものである。高い電圧を低い電圧に下げる際に、余計な電流=エネルギーを熱として放出するので、放熱のためにヒートシンクが必要となることもある。
 まず、使用すべき三端子レギュレータを選ぶことになるが、ここででは、必要な電流の量が目安となる。

〈5V供給〉
・PAM8012
 入手できたデータシートによれば、PAM8012アンプモジュールの最大電流は1個当たり500mAなので、左右両チャンネルで1Aが必要になる。
・Bluetoothレシーバー
 こちらは不確かな情報しか得られなかったが、多く見積もっても50~100mA程度のようである。
 以上からすると、5V供給に必要な三端子レギュレータは、1.5Aで十分足りそうである。NJM7805FAあたりにしておこう。ヒートシンクも必要だ。

〈3.3V供給〉
 Nutubeのフィラメントは17mA、バイアス電流も数10μAなので、こちらは500mAで足りるだろう。以前Nutubeでエフェクターを製作した際に使ったLP2950L-33-T92を使うことにしよう。

〈回路図〉
 こちらも、3端子レギュレータのデータシートに掲載されているものとほとんど変わらない。コンデンサの部品番号がてんでバラバラなあたりに、回路作成者のちゃらんぽらんな性格が透けて見えるのもご愛嬌である(気付いたならアップする前に直せばいいのに…)

5Vレギュレータの回路図

 上の回路図のD1はショットキーバリアダイオードである。これは、コンデンサに電荷が貯まった状態で電源が切れたときなど、出力側の方が入力側より高い電圧になった場合に電流が逆流してレギュレータを壊すことを避けるためのものである。
 ダイオードと一口に言っても、整流ダイオードやらショットキーバリアダイオードやらスイッチングダイオードやらと様々な種類がある。
 ここに使うダイオードは逆方向電流(Ir)が小さいこと(≦1μA)、逆方向定格電圧が使用する入出力電圧差(今回だと、7Vか8.7V)より大きく、順方向定格電流が逆方向電流値より大きいことが必要である。
 ショットキーバリアダイオードであればこれらの要件を全て満たしていることが多く、たとえばBAT43であれば、Irは0.5μA,逆方向定格電圧は30V(>8.7V)、順方向定格電流200mA>逆方向電流値0.5μAとバッチリである。
 なお、どうしてこのような要件が必要なのかはなんとなく理解したものの適切な説明をする自信はないため、「リニアレギュレータの逆電圧保護」あたりで検索されたい(丸投げ!)。

 このようなダイオードはこれまで実装したことはなく、今回あらためて3端子レギュレータについて勉強して知ることができた。おっさんになっても常に新たな発見、知識の吸収ができるというのは実に素晴らしいことである。まあ、腰を据えて勉強せず、とりあえず作りたいものを作るに最低限の知識しかつまみ食いしていないからこうなるわけなのだが…

【まとめ】

 (この記事にそのようなものを期待している人は誰もいないだろうが)最先端技術を取り入れるといったことも特になく、ごくごく当たり前の電源回路が出来上がった。

3 パワーアンプ

【基本構想】

 基本的には、秋月電子通商様が取り扱っている「PAM8012使用2ワットD級アンプモジュール」を少し弄ってみようか、という程度のものである。

【具体的な回路設計】

 ここは他の項目と平仄を合わせるために「回路設計」と書いただけであり、実際には設計のしようもないところである。
 入力部のコンデンサ(直流カットのためのものか?)のデフォルトは0.1μFなのだが、秋月電子通商様のホームページ上で公開されているマニュアルに記載されたグラフに拠れば、ここの定数を大きくすることで低域の周波数特性が向上するようだ。

秋月電子通商様のマニュアル(初版)から
秋月電子通商様のマニュアルより抜粋

 ここの0.1μFのコンデンサ(米粒みたいなちいさいやつ)を取り外して短絡させ、その代わりに0.47μFの少しお洒落なコンデンサを装着するとよさそうである。
 また、モジュールにピンヘッダをハンダ付けすれば8pinのICと同様に使えるようなので、パワーアンプ基板を作成してICソケットで接続するようにすればよさそうである。

【まとめ】

 一応現時点での構想をまとめてみたが、これは実際にいじってみないことには…

4 プリアンプ

【基本構想】

 いよいよ、本丸とでもいうべきNutubeを使用した入力→プリアンプ部分である。
 なお、Bluetoothに関しては、妄想を膨らませようにもモジュールの資料が不足しているため、部品の手配を進めるしかないというのが現状である。さっさとAmaz〇nでポチらねば…Bluetoothモジュールについての研究発表を心待ちにされていた世界中の皆様に心よりお詫び申し上げる次第である…(いや、そんな人どこにもいないと思う…)

【具体的な回路設計】

〇 入力
 Bluetoothまたはライン入力した信号は、10kΩの可変抵抗を経て、1μF~10μFの電解コンデンサで直流カットする。

〇 バイアス
 Nutubeのグリッド(G1/G2)に入る前に、33kΩの抵抗を通じてバイアス電圧を与える。バイアス電圧の源は、上記電源で検討したレギュレータ経由の3.3Vである。10kΩの半固定抵抗を介して、2~3Vの範囲内で聴感で調整することになる。

〇 フィラメント
 バイアス同様の3.3Vを150Ωの抵抗で0.7Vに降圧させる。
 Nutube内の2回路を両方使用する場合、それぞれのフィラメントを直列接続するか並列接続するかの2通りが考えられる。直列接続ならば電流量が半減するが、それぞれのフィラメントの電位を揃えることができない。
 本機は電池駆動ではなく、電流量を下げる必要性が高くないので、並列接続とする。
 フィラメントとグラウンドの間にはノイズ低減のため10μF程度の電解コンデンサを入れておく。ノイズ対策という意味では、さらに0.1μFの積セラをパラってもいいかもしれない。

〇 アノード→オペアンプ
 アノードの負荷抵抗は、ゲインを稼ぐ観点から、推奨値上限の330kΩとし、12Vを印加する。
 アノードからの出力は、オペアンプのボルテージフォロワを経てパワーアンプへと向かう。
 バッファなのでおそらくどんなオペアンプを使っても良いのだろうが、ここはオーディオ用として評価が高いものを使っておきたいところである。まあ、4580DDとか5532DDで良いんじゃだろうか。え?MUSESとか使わないのかって?MUSES8820なら買えなくもないけど、所詮バッファだし…

〈回路図〉
 使用している回路図作成ソフトにはNutubeの記号がない…三極管の記号で置き換えてしまうのはちょっとな…というわけで手書きの回路図である。

見にくい…とりあえず片チャンネル分…

 実際のところ、KORGの使用ガイドに掲載されている回路図との違いは、入力部分にバッファがないことと、Nutubeのアノードから出力された信号が入るバッファがオペアンプになっていることの2点くらいのものである。

【まとめ】

 一応LTspiceでのシミュレーションも行ってみたが、とくに問題はなさそうである。
 まあ、KORGの推奨回路図からの変更点はほとんどなく、オリジナル度が極めて低いので当たり前と言えば当たり前である。

5 基板レイアウトの検討・作成

【ユニバーサル基板?プリント基板?】

 今後の発展性を見据えて、といえば聞こえが良いが、個別の修正や手直しが大掛かりなものとなり、作り直しを迫られるような事態にまで備えて(どれだけ失敗を前提に生きているのか…)、プリアンプ、パワーアンプ、電源はそれぞれブロックごとに基板を作成する。
 一番込み入っているのはプリアンプ部分であるが、それでも部品点数自体は少ないため、ユニバーサル基板で出来ないこともなさそうである。
 ユニバーサル基板で作るならば、部品さえあればすぐに作業を開始できる。しかし、ユニバーサル基板の場合、部品同士の結線にジャンパ線が必要になったりしてあっという間に複雑な物体ができあがることになる。奇跡的に作業ミスなどがなく一発で動作してくれれば良いが、動作不良の場合、不良個所を発見するためのトラブルシューティングは困難を極めることになる。ちゃっちゃとユニバーサル基板でやっつけようとして、これまでどれだけやっつけられてきたことだろうか…(そんな事態の原因が自分自身の不注意や勘違いなだけに何とも…)

  現場猫の皮を被った人でなし、ミスをするのは当たり前、というのがこの記事の製作者の本性であるのは、皆様もとっくにご承知のとおりである。そこで、パワーアンプ基板はモジュールと数個のコンデンサだけなのでユニバーサル基板で行くとして、プリアンプと電源は、プリント基板を作ることにする。もちろん、プリント基板のレイアウトをミスるという大惨事もありえなくはないのだが…

【Fritzingのススメ】

 プリント基板の自作には、Fritzingというソフトを使用している。
 同ソフトは相当前に入手しており、その際は完全無料のフリーソフトだったのだが、今はほんのちょっとだけドネーションが必要となっていると聞く。
 プリント基板のレイアウトができるソフトはほかにもいろいろあるようだが、同ソフトは日本語にも対応しており、直感的に使用できる。そもそも、直感的に使用できないような難しいソフトは使いこなせないので、私が紹介するソフトはみな素晴らしくユーザーフレンドリーなものばかりである。
 このFritzing、使い勝手が良いだけではない。UIのデザイン・配色やパーツの形状など、「電子工作」という若干まじめで堅苦しいイメージ(文系の偏見?)を払拭するような、明るくポップなのである。そんな見た目もお気に入りポイントである。

 レイアウト作業は本当に簡単で、必要な部品を配置し、結ぶべきところを結ぶだけでどんどんプリント基板の配置ができていく。
 ベタアースにするなら、アースラインなど気にせず、グラウンドに落とす場所をその旨指定しておき、最後にベタアース指定をするだけでOKである。

 以前は、方眼紙と鉛筆と消しゴムでレイアウトを考えていたが(あれはあれで頭の体操として楽しいのだが…)、このようなアプリの導入により、かなりの時間短縮が図られた。この程度の部品点数であれば、レイアウト作業は2枚で1時間もかからないくらいである。
 趣味の時間を大切にしたい、と考えながらも日々仕事や家事育児に追われる多忙なビジネスパーソンにとって、こういうアプリは本当にありがたいものである。
 まあ、PCを活用したデスクワークが多く、かつ勤務管理が緩々な弊社であれば、勤務時間中でもこっそり作業ができたりしてしまうのだが…
 さて、勤務時間中に完成に至ったプリント基板レイアウトは次のとおりである。

プリアンプ基板
電源基板

 いずれもベタアースで、プリアンプ基板では、Nutubeとの結線のしやすさ、左右チャンネルの分離の観点からの左右対称配置を意識している。

6 まとめ~次回予告

 今回はあまり難しいことをしていないため、どんどん準備作業を進めることができた。

 次回は、今回確定した基板の寸法などを元にケース(シャーシ)の寸法やデザインなどを確定させて、部品発注まで終わらせたいところである。
 前シーズンの右往左往っぷりを思い返すに、こんなにトントン拍子で進んで大丈夫だろうか、何か大事なことを忘れてはいないか、と不安になってくるが…

次回は

お楽しみに!!


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