刺繍を纏いたい。「Louvre Couture(ルーヴル・クチュール)」 part 2 / パリ⑨
こんにちは。
さて、「ルーヴル・クチュールpart 1」の続きです。
カール・ラガーフェルドによるクロエ。シノワズリなタペストリーとドレスの柄が美しく呼応していました。



ん?美しい工芸品の中にジャックムスのバッグが。

あっどうしよう、屏風のイヴニングコート!!!!!!!しかも、狼みたいなマイセンのワンコといるし。
ひとりで拍手喝采。シノワズリなキャビネット、マイセン磁器…ここ以上にこのドレスが似合う場所があるのだろうか。

憧れのコロマンデルスクリーン(屏風)のイヴニングコート。

800時間を要したというルサージュ(Maison Lesage)の刺繍。


'COROMANDEL' evening coat embroidered by Maison Lesage
18歳の時に中国屏風に魅了されたというガブリエル・シャネル。
コロマンデルスクリーンを「纏える」形にしたのがこのコートなんです。

(記事「シャネルとゴッサンス / パリ①」)
この展示空間の持つ深みに驚嘆。
これは…膨大なルーヴルの美術工芸品の特性を把握し、その上で服が語る物語、その背景を理解していなければ、導き出すことが出来ない世界。

磁器は東洋から伝わったのだ。
中国景徳鎮を起源とする中国磁器、そして日本の伊万里焼が東インド会社を通じてヨーロッパにもたらされたのです。磁器というものが存在しなかった当時のヨーロッパの王侯貴族たちは、この白く光沢のある器に夢中になります。しかし、当時のヨーロッパでは磁器を作るための良質な粘土が採れず、東洋磁器の屈指の蒐集家であったドイツのザクセン選帝侯、アウグスト強王の命により、ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーが1709年にヨーロッパ初の硬質白磁を誕生させます。マイセンです。
(記事「デルフトブルーに会いに「ロイヤル デルフト ミュージアム(Royal Delft Museum)」へ / デルフト・オランダ①」)
そう、ここは東洋の美に魅了された者たちが創り上げたオブジェクトが集う空間。

ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーにより生まれたマイセンの白磁、ハンブルク出身のカール・ラガーフェルド。共通項はドイツ。

'Bolognese dog'
Manufactory: Meissen Manufactory Modeler: Johann Gottlieb Kirchner


そして、カールが愛した18世紀、その時代のキャビネットから着想を得たドレス。

ルマリエ(Lemarié)の羽根細工、ルサージュの刺繍。


花々が咲き乱れたシーズンでした。
スキャパレリのバッグがちょこんと立っていました。カワイイ。

クリストバルのバレンシアガ。


と、デムナのバレンシアガ。

18世紀の鳥さんキャビネットの美しかったこと!



鮮やかな青と水色、椅子の張り地とタペストリー。色とテキスタイルが、マルジェラの18世紀の生地を使用したボディスーツと共鳴。


「オートクチュールは刺繍の為にあるようなもの。刺繍は身に纏えないでしょ。だからドレスにしてあげるの。」
15年近く前、ルサージュで刺繍を学んだ方から教えていただいた言葉が蘇る。マルジェラの 'Artisanal Collection'と呼ばれるこのシーズンはその言葉に浸りながら眺めたコレクションでした。

Maison Margiela Fall 2014-2015 Haute Couture Collection


Maison Margiela Fall 2014-2015 Haute Couture Collection
芝生の上に寝そべったパグがキャビアビーズで刺繍された、記憶に新しいロエベのドレス。


デュロ・オロウのコートのメタリックなピンクと、時代を経て良い感じにくすんだ絨毯や椅子の張り地のピンクが見事な調和を成していました。

ミケーレのグッチ。フローラルジャカードのコートが

18世紀の美しい水色たちの中で楽しそうでした。


ルブタンのブーツ。
ウエッジウッドから多くのインスピレーションを受けたというルブタン。

ニコラによるLV。

リック・オウエンス独自の美学が光る、ファラオのようなヘッドドレスとドレープが麗しいドレス。

質感と色!生地を最高の状態に高めたクリエイションに驚嘆。

ラクダやスフィンクスが登場するオリエンタルな装飾が施されたインテリアに、完璧にマッチしていたヴェルサーチェのドレス。


コートドレスのシルクの光沢と絵画のマットさ、シルクの柔らかなピンクに絵画のくすんだピンク。対比が美しかったルイーズ・トロッターのカルヴェン。

紛れ込み方がカワイイ!シャネルのコスチュームジュエリー。

ガリアーノのディオール。


おおっ!ルブタンのアントワネットシューズ!

やっと実物にお目にかかれた。マリー・アントワネットに着想を得たというこの靴には、ルサージュの刺繍が施されています。

枠(メディエ)に布地を張り、出来上がりの「裏」を上にして、かぎ針で糸をすくうように刺していくルサージュの刺繍。裏から刺すのでとても丈夫なんだそう。

この靴の存在を知ってから、ルサージュの刺繍靴をいつか履いてみたい、と思った。そして出会った大切な一足。ルブタンのルサージュ。

ああ、ルブタン×サビヤサチも忘れられない美しさでした。


そしてイヴ・サンローランのウエディングドレス。

背中のドレープ、絞られたウエストから広がる美しいボリューム。椅子の張り地の花たちと優しく溶け込んでいました。

part 3 に続く。
