消えない声 🔥5
心が止まった私の頭の中には、
毎日同じ言葉が響くようになった。
ひとつは、少し小さくなったように感じていた 母の"あの言葉”。
「みのりは、どこに行ってもやっていけない」
「あんたなんか、だれにも相手にされない」
頭の中で、何度も繰り返される。
消そうとしても、消えない。
抗いたくて
必死でやってきたつもりだった。
でも。
「……やっぱり、無理なのかも」
ふとした瞬間に、全部がひっくり返る。
私を見る、モチノさんの目。
いくらやっても全然できない仕事。
笑われる私。
鈍臭い私。
────
お母さんの言うことは、
いつも当たる。
だからこれも、例外じゃないのかもしれない。
「みのりは、必ずひとりになる」
その言葉が、静かに沈んでいく。
私は、頭を抱えた。
「……そっか」
小さく、声が漏れた。
今までやってきたこと。
積み上げてきたつもりだったもの。
全部、意味がなかったのかもしれない。
元々私は "おかしい側の人間”なんだ。
わかっていたはずなのに。
私なんかダメだって、
何度も思ってきたのに。
それでも――
一人暮らしをして、働いて。
ちゃんと、社会に出たつもりになっていた
────
ふと目に入るのは、
机の上に積み上がったパソコンの本。
やってるつもり。
頑張ってるつもり。
でも――
何も、変わらない。
何も、変えられない。
全部、否定されているような気がする。
無駄だったのかな。
やっぱり私は、
どこへ行ってもダメなのかな。
じわっと、涙がにじむ。
悔しい。
できるようになりたい。
人とうまくやりたい。
こんな私でも、
どうにかしてこの世界で生きていきたい。
────
そして、もうひとつの言葉。
.........頑張ろう、頑張ろう。
僕は挫けないぞ……。
涙がこぼれ落ちた。
子供の頃から、
自分を走らせるために何度も発したその言葉。
いや、
それは、もう言葉ではなかった。
何かが来たときに、
勝手に立ち上がるだけの反射だった。
──────────
🫧この形の私

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
過去の私はこちら
▷ がんばろうという言葉に出会った頃【小学3年】
▷ がんばれば報われると思っていた頃【高校】
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
