“大丈夫な人”に、私は甘えて壊していた
◎被害者の顔を被った加害者【考察】①
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これは、大人になった私が
あの頃の出来事を振り返り、読み解く話です。
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私は、私という人間には
痛みがわかる人間だと思っていた。
苦しんだ分、人の苦しみや、痛みが分かると。
でも、そうではなかったのかもしれない。
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あのとき私は、ずっと
悲しいと思っていた。
寂しくて、つらくて、
置いていかれた気がしていた。
でも、違った。
その奥には、はっきりとした感情があった。
それは、怒りだった。
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どうして私を大切にしないの。
どうして私を無視するの。
その気持ちは、彼女に向いていた。
彼女と一緒にいるあの子に対しても、
奪わないで。
私の場所に入ってこないで。
出てこないで。
そんな排他的な気持ちがあった。
その怒りは、あの子よりも、彼女に向いていた。
彼女は、私にとって「大丈夫な人」だったから。
彼女に対して私は、
安心できる感覚、
許される感覚、
「この人は大丈夫だ」と思える感覚を持っていた。
実際に本当に大丈夫だったのかは分からない。
でも、彼女は優しくて穏やかな人だったから、
私は自分の感覚で「大丈夫な人」だと思い込んでいた部分が大きかったと思う。
とにかく私は、
「この人は大丈夫」
「この人は私を受け入れてくれる」
そういう感覚を、強く持っていた。
そしてその感覚は、
今振り返ってみると、少し特殊だったと思う。
なんとなく、近くにいたい。
甘えたい。
大切にされたい。
そういう気持ちがあった。
恋愛感情とは違う。
私は女性に恋愛感情を持ったことはない。
でも、守られる側でいたい。
この人は大丈夫だと思っていたい。
そういう感覚は、確かにあった。
それは、
子どもが母親に対して持つ感覚に近いと思う。
「この人は大丈夫」
「ここにいれば安心できる」
そう思える相手に対して、
私は自分を出して、甘えるような感覚を持っていた。
わかってくれると思っていた。
言わなくても、伝わると思っていた。
私がどれだけ苦しいか、
気づいてくれるはずだと思っていた。
だから私は、
言葉にせず、態度で出していた。
黙り込む。
視線を逸らす。
空気を重くする。
「気づいてほしい」という気持ちを、
無言の圧として相手にぶつけていた。
─────
私は、自分を被害者だと思っていた。
でも実際は、
相手を怖がらせていた。
「怖い」と言われたときの衝撃は、
自分が見えていなかった証拠だった。
そして、もう一つ気づいたことがある。
それは、父にされていたことと、
私が彼女にしたことが
あまりにもよく似ていたことだった。
言葉にしないまま圧をかける。
機嫌で相手を縛る。
「わかれ」と無言で押しつける。
私は、それを一番嫌っていたはずなのに、
同じことを、そのまま他人に向けていた。
被害者だと思っていた私が、
気づかないうちに、加害者になっていた。
そしてそれは、
「悲しい」だけでは終わらない感情の裏に、
確かに「怒り」があったからだった。
─────
大切にしてほしかった。
見てほしかった。
分かってほしかった。
その気持ちが強すぎて、
私は、相手を縛ろうとしていた。
そしてこの感覚は、
この彼女だけに対してのものではなかった。
これから先も、
相手を変えながら、
何度も同じように出てくる感覚だったと思う。

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