【後半戦の戦略】50代のリアルと、三つの資産 [第62回]
前回の記事では、一つ一つの思考は凡庸でも、思考を重ねてnoteでの投稿を継続することで個性が生まれる、という事についてお話ししました。以前にも、AIを活用しながらも自分の気持ちを込めていく事が重要というお話もしています。
自分の現在地を客観的に見つめる作業は、発信の場だけでなく、実人生の人間関係やこれからの生き方を考える上でも、非常に重要な意味を持ってきます。
今週は、私にとって非常に貴重な時間を過ごす機会が重なりました。
まずは45年の付き合いになる旧友と久しぶりに会いました。彼とは小学生時代に出会って以来、同じ中学、高校で青春時代を過ごし、今でも年に数回会って近況を報告し合う仲です。彼を含む昔からの仲間達は、今となっては恥ずかしい青春の思い出や、お互いの家族のことまで知り尽くしており、友人というよりは同じ歳の「兄弟」のような関係です。高校を卒業してからは全員が全く違う世界に進みましたが、今でも会うたびに、話が尽きることはありません。
私の人生観は、彼らと過ごす長い時間の中でお互いに良い影響を与え合いながら形成されています。
そして別の日には、髪を切りに行きました。その美容師さんはお店の場所が変わっても追いかけ続け、もう20年以上の付き合いとなります。今も年に7〜8回、必ず顔を合わせます。お互いの仕事や家庭の話もしますが、私が気になっている白髪や抜け毛の話、あるいは美容関係の話など、他ではしない話を聞くことができて、私にとって大切な時間になっています。
ほとんどの時間を職場と家庭だけで過ごしがちな自分にとって、これらの異業種で活躍する古くからの友人たちとの時間は、自分の輪郭をニュートラルに保つための、かけがえのない財産になっています。
1. 50歳を過ぎて共有する、キャリア終盤のリアル
お互いに50歳を過ぎると、集まった時の話題は自然と「昔の話」から「これからの生き方」へとシフトしていきます。そこで彼らと話していて尽きないのは、やはり仕事人としてのキャリアの終盤をどう迎えるか、という共通の不安です。
寿命が伸びた現代(人生100年時代)においては、定年までに一生分の生活費を完全に確保できた一握りの富裕層を除き、どのような形であれ「70歳くらいまでは働き続けること」が必要になるという、冷厳な構造(ファクト)が存在します。
幸いにも、私の医師という職業は、大学病院を定年になっても資格自体は残るため、働き続ける道を選択することができます。私個人としても、これからのキャリアにさらに目標を持って臨むつもりです。
また、自営業や会社経営をしている者たちも、当分の間は自分の裁量で現役を続けることができるでしょう。
しかし、明確な定年の期限が決まっている会社員の友人にとっては、これから先、50代後半から60代にかけてのキャリアの受け皿や、生活設計に対する不安を抱えるのは当然のことだと言えます。それぞれの世界でどれほど第一線で活躍してきた人間であっても、組織のルールという壁の前では、誰もが等しくこれからの生存戦略を迫られるのです。
2. 後半戦を生き抜くための「三つの資産」
では、私たちが70歳まで無理なく、そして心地よく働き続けるために必要なものは何でしょうか。旧友や日々の対話を通じて、私はその基盤となる「三つの資産」の構造が見えてきました。
一つ目は、すべての基盤となる「健康」です。 どれほど働く意欲や高い専門性があっても、身体が資本であることは医療の現場でも、他のどの業界でも変わりません。後半戦の打席に立ち続けるための、最も重要な大前提です。
二つ目は、子どもが独立した後の「良好な夫婦関係」です。 これまでは「子育て」という共通のプロジェクトを中心に動いていた家庭が、子どもが巣立った後、再び夫婦二人の関係性へと戻ります。この時期にパートナーと良好な関係を保てているかどうかは、日々の幸福度やメンタルの安定に直結する、目に見えない大切な資産(人間関係)です。
そして三つ目が、定年までに「いかに資産を確保できるか」という経済的な防壁です。 お金のために無理をして身体を壊すような働き方を避けるためにも、あるいは予期せぬリスクに対抗するためにも、定年という境界線を迎える前に、エビデンスに基づいた確かな家計の仕組みと資産を構築しておくことが、絶対的な安心感をもたらします。
最後に
古くからの友人達とこれからの生き方を語り合う時間は、私に後半戦のリアルを教えてくれると同時に、自分が今取り組んでいる資産形成やキャリアのアップデートの方向性が、間違っていないことを再確認させてくれます。
キャリアの終盤は誰にも等しく訪れます。
他者のスピードや世間のノイズに流されることなく、健康、家族、そして資産という三つの基盤を自分の足元で一つずつ固めながら、これからの人生を、自分自身の歩幅でしっかりと踏みしめて進んでいきたいと思います。
