【医師国試バイブル50】第1回:国試合格への全体戦略──合格から逆算する7ヶ月ロードマップ【リーフェ医学情報】
要約: 第121回医師国家試験(2027年2月6・7日)まで残り7ヶ月。
本記事は合格ラインの構造を正しく理解し、そこから逆算して7ヶ月を6つのフェーズに分ける「戦略地図」を描く回です。
何から手をつけるべきか、その羅針盤を最初にお渡しします。
「そろそろ国試勉強、始めなきゃ」——そう思いながらQBを開いては閉じ、映像講座のマイページを眺めては溜め息をつく。
6年生の夏、多くの人がこの宙ぶらりんな状態にいます。
焦りだけが募るのに、手が動かない。
その理由はシンプルで、「ゴールまでの地図」を持っていないからです。
ゴールが見えない道は、一歩目が一番重い。
この第1回では、まず合格という到達点を解剖し、そこから今日までの道のりを引き直します。
地図さえ手に入れば、明日からの勉強は驚くほど軽くなります。
この記事でわかること
医師国家試験の合格ラインが「絶対基準」と「相対基準」の二層構造でできていること
合格から逆算して7ヶ月を6フェーズに分ける「国試バイブル50」全体設計の考え方
夏・秋・冬それぞれで「やること」と「やってはいけないこと」の優先順位
著者:原田
所属:株式会社リーフェホールディングス 経営企画室 部長
資格・経歴:
法学部卒|政治学研究科 修士・博士|政治学者、政治学教員、学生指導歴20年以上
医学生に特化した個別指導塾「医学生道場」のファウンダー
自己紹介:
幼少期より病気がちで、こんにち無事に生活できているのは、医療とそれに関わる人たちのお陰です。将来の医療者として、社会に貢献できる医療系学生の方を積極的にサポートしていきます。
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はじめに——なぜ「勉強法」より先に「戦略」なのか
医師国家試験の対策記事は世の中に無数にあります。
「循環器の覚え方」「公衆衛生の裏ワザ」——どれも有益です。
しかし、それらは全て戦術(tactics)であって、戦略(strategy)ではありません。
戦術は「個々の戦いにどう勝つか」、戦略は「どの戦いを、いつ、どの順で戦うか」を決めるものです。
戦略なき戦術は、地図を持たずに個々の街の歩き方だけを覚えるようなもの。
いくら各論に詳しくても、全体のどこにいるのかがわからなければ、時間は無限に溶けていきます。
私たちリーフェ医学情報が掲げてきた哲学は一貫しています。
「医学は暗記するな、理解せよ」。
この哲学は国試対策においても変わりません。
ただし国試には、理解を得点へ変換するための「ルール」があります。
試験の設計を理解せずに闇雲に知識を詰め込むのは、ルールを知らずにスポーツをするのと同じです。
ですのでこの第1回では、あえて個別の医学知識には一切触れません。
代わりに、試験そのものの構造と、残り7ヶ月という時間の使い方を徹底的に設計します。
医師国家試験は、2027年2月6日(土)と2027年2月7日(日)の2日間、各日3コマ構成で実施される第121回です。
試験形式はマークシート方式の全400問を2日間・計6コマで解くもので、この規模感を最初に体に入れておくことが第一歩になります。
本記事を読み終えたとき、あなたの頭の中には「2月のゴール」から「今日」までを結ぶ一本の線が引かれているはずです。
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本論——合格ラインの解剖と、7ヶ月ロードマップの設計
1. 合格ラインは「二層構造」でできている
戦略を立てる前に、まず「勝利条件」を正確に把握しなければなりません。
医師国家試験の合格基準は、性質の異なる二つの層から成り立っています。
この二層を混同すると、勉強の力点を間違えます。
第一層:必修問題——「絶対基準」の世界
必修問題は、医師として絶対に外してはならない基本事項を問う領域です。
ここには80%という絶対的なボーダーが引かれています。
第120回の合格基準を見ると、必修問題は160点以上/200点、すなわち8割が要求されることがわかります。
周りが何点を取ろうと関係ありません。
80%に届かなければ、他がどれだけ高得点でも不合格。
これが「絶対基準」です。
必修は、いわば足切りライン。
ここでの失点は「取り返せない失点」だと考えてください。
第二層:一般・臨床問題——「相対基準」の世界
一方、必修を除いた一般問題・臨床実地問題には、その年の受験生全体の出来によってラインが動く相対基準が採用されています。
第120回では一般問題及び臨床実地問題で224点以上/300点が要求されたように、毎年ボーダーは変動します。
ここでは「満点」を目指す必要はありません。
目指すべきは「受験生の上位集団に入ること」。
全体の平均より確実に上にいれば合格できる世界です。
そして忘れてはならないのが第三の条件、禁忌肢です。
禁忌肢問題の選択数は3問以下でなければならないとされ、医師として選んではいけない選択肢を一定数以上選ぶと、点数に関わらず不合格となります。
この二層+禁忌肢構造から導かれる戦略的結論は明快です。
必修は「落とさない勉強」、
一般・臨床は「差をつけられない勉強」、
禁忌肢は「地雷を踏まない訓練」。
この三つは対策の質が異なります。
2. 「敵を知る」——第121回の出題傾向
戦略を精緻化するために、直近の傾向も押さえておきましょう。
出題の指針となるのが厚生労働省の出題基準(ブループリント)です。
現行の出題基準は第118回試験から適用され、第119回・第120回でも継承されており、第121回(2027年2月実施予定)も同基準が適用される見込みとされています。
つまり、第118〜120回の過去問が、第121回対策の最良の教材になるということです。
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傾向として重要なのは、単純な過去問の焼き直しが減っていることです。
第120回では知識のアップデートを問う問題の比重が増し、選択肢の複雑化により最後の2〜3択で迷う問題が増加したと分析されており、過去問で問われた知識を、少し角度を変えて考えさせる問題や、医師として必要な判断が問われる問題が増えている傾向にあります。
ここで冒頭の哲学が効いてきます。
丸暗記した知識は「角度を変えられる」と途端に使えなくなる。
しかし理解した知識は、角度が変わっても応用が効く。
近年の国試は、まさにリーフェが訴え続けてきた「暗記より理解」を、出題側が要求する時代になっているのです。
合格率そのものは第120回で91.6%と高水準を維持しており、「落ちる試験」ではなく「落ちてはいけない試験」。
だからこそ、正しい戦略で淡々と積み上げた人が確実に受かります。
3. 7ヶ月を6フェーズに分ける——「国試バイブル50」全体設計
いよいよ本題、ロードマップです。
2027年2月上旬のゴールから逆算し、残り約7ヶ月を6つのフェーズに切り分けます。
このシリーズ「医師国試バイブル50」は、この設計に沿って全50回を配信していきます。
第1期:戦略設計期(7月)
教材選び、計画立案、試験構造の理解に充てる時期。
ここで土台の設計を誤ると、後の6ヶ月が非効率になります。
急がば回れの期間です。
焦って各論に飛びつく前に、まず武器(教材)と地図(計画)を揃えます。
第2期:メジャー科目I(8月)
循環器・呼吸器・消化器という、出題数が多く配点の大きい「主戦場」から着手します。
夏のまとまった時間を、最も費用対効果の高い領域に投資する狙いです。
第3期:メジャー科目II(9月)
腎・内分泌・血液・神経。メジャーの後半戦。
ここまでで得点の大きな幹を作り終えます。
第4期:マイナー・周辺領域(10月)
膠原病・感染症・小児・産婦人科へ。範囲は広がりますが、一つひとつは幹に接続する枝葉です。
幹ができているからこそ、効率よく吸収できます。
第5期:マイナー完成・公衆衛生(11月)
残るマイナー科を仕上げつつ、計算問題の宝庫である公衆衛生を得点源に変えます。
この時期に出願(11月)という実務も重なるため、手続きの抜け漏れ対策も並行します。
第6期:演習・直前期(12月〜2月上旬)
回数別過去問の演習、必修対策、禁忌肢トレーニング、そして直前の総まとめ。
インプットからアウトプットへ完全に軸足を移し、本番と同じ形式で「解ききる力」を鍛えます。
この6フェーズは、「幹から枝葉へ」「インプットからアウトプットへ」という二つの流れで貫かれています。
メジャー(幹)を先に固めるのは、マイナー(枝葉)や公衆衛生の理解が、実はメジャーの病態理解の上に成り立っているからです。順番には意味があります。
4. 夏の分岐点——「やること」と「やってはいけないこと」
最後に、今この瞬間、7月のあなたが取るべき行動を絞り込みます。
戦略とは「何をやるか」を決めることであると同時に、「何をやらないか」を決めることでもあります。
7月にやるべきこと
第一に、教材を1つに決めて浮気をやめること。
QB、映像講座、レビューブック——選択肢は多いですが、あれこれ手を出すのが最大の時間浪費です。
第3回で選び方を詳説しますが、まずは「これで最後までいく」という主軸教材を確定させます。
第二に、メジャー科目から着手すること。
マイナーや公衆衛生から始めたくなる誘惑を断ち、配点の大きい幹から攻めます。
7月にやってはいけないこと
第一に、完璧主義に陥ること。
1周目から全てを理解・暗記しようとすると、必ず息切れします。
国試対策は最低でも複数周する前提で、1周目は「全体像をつかむ」だけで十分です。
第二に、模試の結果に一喜一憂すること。
夏の模試の判定は、まだ助走段階のスナップショットにすぎません。
E判定でも、これから伸びる人はいくらでもいます。
判定の数字ではなく、間違えた問題の中身を見てください。
この「やらないことリスト」を守れるかどうかが、7ヶ月後に効いてきます。
結論 & むすびに代えて
ここまでの内容を、一枚の地図として畳み込みます。
医師国家試験の合格ラインは、必修(絶対基準80%)・一般臨床(相対基準)・禁忌肢(3問以下)の三条件で構成されています。
だから対策は「落とさない・差をつけられない・地雷を踏まない」の三本立てになります。
そして残り7ヶ月は、戦略設計→メジャー→マイナー→公衆衛生→演習という6フェーズを、「幹から枝葉へ」「インプットからアウトプットへ」の流れで進んでいきます。
近年の国試が「角度を変えた問題」を増やしている以上、暗記ではなく理解こそが最大の戦略になります。
今日、あなたにやってほしいことはたった一つです。
この6フェーズの地図を、机の前に貼ってください。
そして自分が今どのフェーズにいるのかを、毎朝確認する習慣をつけてください。
地図を持つ者は、もう迷いません。道に迷う不安から解放されたぶんのエネルギーを、目の前の一問に注げるようになります。
「医師国試バイブル50」は、この地図の各フェーズを、あなたと一緒に一歩ずつ踏破していくシリーズです。
次回・第2回では、第121回医師国家試験そのものの全体像——日程、出題基準、合格発表までのスケジュールを、受験生の実務目線で徹底解剖します。地図の縮尺を、さらに細かくしていきましょう。
医師国家試験を、暗記ではなく理解で突破する。
その第一歩を、今日ここから。
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FAQ
Q1. 7月から始めて、本当に間に合いますか?もう遅いのではと不安です。
A. 十分に間に合います。
むしろ7ヶ月は、メジャーからマイナー、演習まで一通り回すのに適した標準的な期間です。
第120回の合格率は91.6%で、国試は正しい順序で継続すれば大多数が合格する試験です。
大切なのは開始時期の早さより、フェーズ設計に沿って迷わず進むこと。
今日から地図通りに動けば、遅れは取り戻せます。
Q2. メジャー科目から始めると本記事にありますが、苦手なマイナー科目を先に潰すべきでは?
A. 気持ちはわかりますが、順序としては非効率です。
マイナー科目や公衆衛生の理解は、メジャー科目(特に循環器・腎・内分泌など)の病態生理の上に成り立っている部分が多いためです。
幹を先に作ると枝葉の吸収が速くなる——これがフェーズをこの順に組んでいる理由です。
苦手意識のあるマイナーは、このシリーズの第4〜5期(10月11月)でむしろ効率よく攻略できます。
Q3. 必修と一般・臨床、どちらを優先して勉強すべきですか?
A. 時期で使い分けます。
夏〜秋の前半は、配点が大きく相対基準の一般・臨床(メジャー科目)に軸足を置きます。
必修は基本事項の集合体なので、各科目の学習を通じて土台が自然に積み上がっていきます。
そのうえで、直前期(第6期)に必修対策と禁忌肢トレーニングを集中的に行い、80%の絶対ラインを確実に超える仕上げをします。
必修は「最後に落とさないよう固める」領域と考えてください。
参考文献・出典
※合格基準・出題基準は第120回時点の情報に基づく記載です。
第121回の正式な施行要領は、例年夏〜秋に厚生労働省より告示されます。
出願・日程の最終確認は必ず厚生労働省の公式発表をご参照ください。
関連リンク
【医師国試バイブル50】第2回:第121回国試の全体像──日程・出題基準・合格ラインの仕組み(次回配信予定)
【CBTバイブル】シリーズ(低学年からの接続編)
【暗記しない医学】シリーズ(本記事の哲学的土台)
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医師国試バイブル50 byリーフェ医学情報
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