【完全版】障害年金——いくら・誰が・どう請求するか

障害年金は「老後の年金」ではありません

「年金」と聞くと、多くの方が老後に受け取るものを思い浮かべます。けれど、現役世代でも受け取れる年金があります。それが障害年金です。

病気やけがで生活や仕事に支障が出た状態になったとき、現役世代の暮らしを支える仕組みです。1級なら障害基礎年金だけで年約106万円、会社員の方ならさらに上乗せがあります。それなのに、「自分には関係ない」「障害者手帳がある人だけのもの」と思われて、見過ごされやすい制度でもあります。

今日は、この障害年金を「いくら・誰が・どう請求するのか」まで、保存版として整理します。万一のときに思い出せるよう、ブックマークしておくと安心です。


なぜこの制度があるのか

公的年金は「老後のため」だけのものではありません。現役のうちに、病気やけがで働きづらくなったときにも備える保険の役割を持っています。その柱の一つが障害年金です。

会社員が病気で休むと、まず健康保険の傷病手当金(給与のおおむね3分の2)が最長1年6か月支えてくれます。ただ、療養が長引いて傷病手当金が終わったあとに、収入の空白が生まれることがあります。障害年金は、ちょうどこのあたりから暮らしを下支えする制度として用意されています。

▶ 【完全版】傷病手当金——いくら・いつまで・退職後はどうなる


障害年金の全体像——「2階建て」で考える

障害年金は、公的年金と同じ「2階建て」で考えると分かりやすいです。

  • 1階:障害基礎年金……国民年金の部分。自営業・フリーランス・専業主婦(夫)・学生なども含め、幅広い方が対象。等級は1級・2級

  • 2階:障害厚生年金……厚生年金の部分。会社員・公務員など、厚生年金に加入中に初診日がある場合に上乗せ。等級は1級・2級・3級(さらに軽いものに一時金の「障害手当金」)

どちらになるかは、「初診日にどの年金制度に入っていたか」で決まります。会社員なら障害厚生年金+障害基礎年金、自営業なら障害基礎年金、という形です。

受け取るための3つの要件

障害年金は、次の3つをすべて満たすかで判断されます。

  1. 初診日……その病気・けがで初めて医師にかかった日。この日に公的年金に加入していること(どの制度かで1階・2階が決まる)

  2. 保険料の納付……初診日の前々月までで、保険料の納付済み+免除の期間が、加入期間の3分の2以上あること。または特例として、初診日に65歳未満で、直近1年間に未納がないこと

  3. 障害の状態……障害認定日(原則、初診日から1年6か月後)に、定められた障害の状態(等級)にあること

3つ目の「1年6か月」は、ちょうど傷病手当金が終わる時期と重なります。だからこそ、療養が長引きそうなときは、早めに障害年金を意識しておくと切れ目を防ぎやすくなります。

なお、保険料を払うのが難しい時期も、**「未納」ではなく「免除」**にしておけば、この納付要件を満たしやすくなります。

▶ 国民年金が払えないとき——「未納」ではなく「免除」を


いくらもらえる?(金額と試算)

令和8年度(2026年度)の障害基礎年金は、次の金額です。

  • 1級:年 1,059,125円(月 約88,260円)

  • 2級:年 847,300円(月 約70,608円)

  • 子の加算:第1子・第2子は各 243,800円、第3子以降は各 81,300円(18歳到達年度末までの子など)

会社員の方は、ここに障害厚生年金(報酬比例)が上乗せされます。1級は報酬比例の1.25倍、2級は報酬比例そのまま、3級は報酬比例のみ(年 約63万円の最低保障あり)。1級・2級では、条件を満たす配偶者がいると配偶者の加算 243,800円もつきます。

具体的にイメージしてみます。

試算例:会社員(平均的な月収30万円・厚生年金加入中)に初診日があり、2級と認定され、18歳までの子が2人いる場合。
障害基礎年金 847,300円 + 子の加算 約487,600円 + 障害厚生年金(報酬比例)約49万円 = 年およそ182万円ほど。

金額は加入状況や報酬で変わりますが、「年に100万円を超える支えになり得る」と知っておくだけでも、いざというときの選択肢が変わります。

よくある3つの誤解

  • 「障害者手帳がないともらえない」……これは誤解です。障害年金は手帳とは別の年金制度で、手帳の有無や等級とは判断が異なります

  • 「身体の障害だけが対象」……政府広報でも案内されているとおり、がんや糖尿病などの内部の病気、心の不調なども、生活や仕事への支障の程度によっては対象になり得ます

  • 「老後の年金でしょう?」……対象は主に現役世代。20歳から原則65歳になる前までの間に初診日がある場合が中心です

ただし、実際に受け取れるか・どの等級かは、診断書などをもとに一人ひとり個別に審査されます。「必ずもらえる」ものではない点も、あわせて知っておきたいところです。

薬剤師×FPだからこそ伝えたいこと

薬局で長くお薬を続ける方や、体調を崩して働き方を変えた方とお話しするなかで感じるのは、「制度はあるのに、自分から動かないと始まらない」ということです。障害年金は、申請しなければ1円も振り込まれません。

そして、つまずきやすいのが初診日の証明です。何年も経ってから請求しようとすると、最初にかかった病院のカルテが残っていない、ということが起こります。だからこそ、療養が始まった段階で「最初に受診した日と病院名を控えておく」だけでも、将来の自分を助けます。これは現場で何度も「もっと早く知っていれば」と聞いてきた、いちばんお伝えしたい一手です。

今日からできること

  1. 「障害年金は現役世代の制度」「手帳とは別物」と覚えておく

  2. 病気やけがで長く療養しそうなときは、初診日(最初にかかった日と病院名)をメモしておく

  3. 保険料が払えない時期も、未納のままにせず免除・猶予の手続きをしておく

  4. 受け取れそうか迷ったら、年金事務所か社会保険労務士に早めに相談する(請求は自分から行う必要があります)


参考にした情報源

この記事は、次の公的情報をもとに作成しています(2026年6月時点)。年金額は毎年度改定され、受給可否・等級は個別審査です。最新の取り扱いと自分のケースは、年金事務所等でご確認ください。


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