国民年金が払えないとき——「未納」ではなく「免除」を
「払えないから、そのまま」がいちばん損
退職して収入が減った、自営業で売上が落ちた、学生でまだ働いていない——国民年金の保険料(2026年度は月額およそ1万7千円台)が負担に感じる時期は、誰にでもあります。
そんなとき、いちばん避けたいのが「払えないから、そのまま放置(未納)」です。実は、同じ「払わない」でも、未納と免除はまったく別物。免除の手続きをしておけば、将来の年金や、いざというときの保障を守れます。この記事で、その仕組みを整理します。
「未納」と「免除」はどう違う?
ここが、この記事でいちばん大事なところです。
未納:手続きをせず、ただ払っていない状態。年金の受給資格の期間にも入らず、万一のときの障害年金・遺族年金が受けられなくなるおそれがある
免除:申請して認められた状態。受給資格の期間にカウントされ、障害年金・遺族年金の対象も維持できる。さらに、全額免除でも将来の老齢年金に一部が反映される
全額免除の期間は、保険料を払っていなくても、老齢年金の額に「国が負担する分(2分の1)」が反映されます。未納だと、これがゼロです。
つまり「払えない」なら、放置ではなく、まず免除を申請するのが正解です。
免除・猶予の種類
前年の所得などに応じて、免除には4段階あります。
全額免除/4分の3免除/半額免除/4分の1免除
所得が基準を超えて全額免除にならなくても、一部免除が使える場合があります。また、50歳未満の方には、所得を本人と配偶者だけで判定する「納付猶予」という仕組みもあります(猶予は受給資格には入りますが、老齢年金の額には反映されないため、追納が前提です)。
申請は、お住まいの市区町村の窓口で行います。失業したときは、離職票などで失業特例の対象になることもあります。
学生・出産のための特例
ライフステージに応じた特例もあります。
学生納付特例:学生は、申請すれば在学中の保険料納付が猶予されます。社会人になってから追納できます
産前産後期間の免除:出産予定日(出産日)の前月から4か月間(多胎は3か月前から6か月間)の保険料が免除されます。この期間は、免除でも「保険料を納めた期間」として満額に算入され、デメリットがありません。付加保険料を納めることもできます
あとから納める「追納」
免除や猶予・学生納付特例を受けた期間は、10年以内なら、あとからさかのぼって納める(追納)ことができます。追納すると、その分、将来の年金額が増えます。
全額免除の期間を1年分追納:老後の年金が年間で約1万円増える目安
納付猶予・学生納付特例の期間を1年分追納:年間で約2万円増える目安
家計に余裕が出てきたら、追納で「将来の自分への仕送り」をしておく、と考えると分かりやすいかもしれません。
薬剤師×FPとして感じること
年金の保険料は、つい「老後のためのもの」と思いがちですが、実は今のあなたを守る保険でもあります。免除をしておけば、もし病気やケガで障害が残ったときの障害年金も維持できます。「払えないから未納」で、いざというときの保障まで失ってしまうのは、いちばんもったいない。払えないときこそ、放置せず窓口に相談してほしいと思います。
今日からできること
保険料が払えないと感じたら、未納にせず、市区町村の窓口で「免除・猶予」を申請する
学生なら学生納付特例、出産前後なら産前産後免除を確認する
過去に免除・猶予・学生特例を受けた期間があれば、10年以内の追納を検討する
参考にした情報源
この記事は、次の公的情報をもとに作成しています(2026年6月時点)。所得基準や金額は改正で変わるため、最新の取り扱いは日本年金機構・市区町村でご確認ください。
日本年金機構 国民年金保険料の免除・納付猶予制度
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html日本年金機構 追納制度
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html
あわせて読みたい
▶ 退職・転職で迷うお金まとめ——保険・年金・失業給付・住民税
(退職時の年金の切り替えとセットで)
https://note.com/kusuri_to_okane/n/n3510f65d15c9
▶ 出産・育児でもらえるお金まとめ——一時金・手当金・育休給付
(産前産後の免除とあわせて知りたい)
https://note.com/kusuri_to_okane/n/n58a490527049
▶ 【完全版】傷病手当金——いくら・いつまで・退職後はどうなる
(働けないときの収入の支え)
https://note.com/kusuri_to_okane/n/n49f2de4eb6d4
いいなと思ったら応援しよう!
記事が役に立ったら、応援していただけると励みになります。
いただいたぶんは、書籍や資料の購入にあてて、次の記事に還元します。
もちろん、読んでいただけるだけで十分うれしいです♪