医療費控除、マイナ保険証なら領収書の保存はもう不要です
「領収書、とっておくべきですか?」
薬局の窓口で、確定申告の時期になると必ず聞かれる質問があります。「医療費の領収書って、全部とっておかないとダメですよね?」というものです。これまでの答えは「はい、5年間は保管してください」でした。ところが、その前提が少しずつ変わってきています。
マイナ保険証で何が変わるのか
マイナンバーカードを健康保険証として使い、マイナポータル(行政手続きをオンラインでまとめて行える国のサイト)と確定申告を連携させると、1年分の医療費通知が申告書に自動で入力されるようになりました。
e-Tax(国税庁のオンライン申告システム)で申告すれば、自動入力された医療費は領収書の保存義務がなくなります。
前年分の医療費通知は、例年おおむね2月9日ごろにまとめて取得できます。手入力していた頃のような、レシートの山と電卓の作業から解放される仕組みです。
それでも残しておきたいもの
ただし、すべてが自動で入るわけではありません。次のようなものは医療費通知に載らないため、自分で入力する必要があります。
市販薬の購入費(セルフメディケーション税制の対象になるもの)
通院のための交通費
予防接種や健康診断、自由診療の費用(対象になる場合)
ここを取りこぼすと、戻るはずのお金が戻りません。
実際にいくら戻る?
医療費控除は、1年間の医療費が原則10万円を超えた分が対象です(所得200万円未満の方は所得の5%超)。
年収500万円・所得税率10%の方が、年間18万円の医療費を払った場合
10万円を超えた8万円が控除の対象となり、所得税で約8,000円、住民税とあわせると合計でおよそ1万6,000円が戻る計算です(税率は所得により異なります)。
薬剤師×FPとして感じること
医療費控除は「制度が複雑だから」ではなく、「集計が面倒だから」あきらめている方がとても多い印象です。その一番の壁が、今まさに低くなっています。手続きのハードルが下がった今こそ、見直す価値があります。
今日からできること
まずはマイナンバーカードを保険証として登録できているか、一度確認しておくと安心です。あわせて、自動入力されない市販薬や交通費は、メモやレシートで月ごとに残しておくと、申告のときに慌てません。
あわせて読みたい
▶ セルフメディケーション税制——OTC医薬品を年12,000円超購入したら確定申告で取り戻せる
(市販薬代を申告で取り戻す、医療費控除の姉妹制度)
https://note.com/kusuri_to_okane/n/ndf17ebfb3045
▶ 医療費と介護費、年間67万円超えたら戻ってくる——知らないと損する合算制度
(年間の自己負担を後から取り戻すもう一つの制度)
https://note.com/kusuri_to_okane/n/n8112eddf8e72
▶ 2026年8月から高額療養費の上限が変わる——増える人、減る人
(公的保険の自己負担の最新動向もあわせて)
https://note.com/kusuri_to_okane/n/n6b639bc536c4
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