勉強が続かない人の共通点─意志ではなく「続かない理由」がある
「勉強が続かない。」
そう悩んだことはありませんか。
資格の勉強を始めても三日坊主で終わる。
英語を勉強しようと思って参考書を買ったものの、本棚に並んだままになってしまう。
最初はやる気に満ちていても、いつの間にか勉強すること自体がおっくうになってしまう。
そんな経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。
そして、そのたびに「自分は意志が弱いから続かないのだ」と自分を責めてしまいます。
実は、私にも同じ経験があります。
高校を卒業した後、両親が経理の仕事をしていたこともあり、私も簿記の勉強を始めました。
簿記3級、2級は比較的順調に合格し、その勢いで簿記1級、そして将来は税理士になろうと考えていました。
ところが、その頃ちょうど大学生活が始まりました。
新しい友人との出会い、サークル活動、さまざまな遊びや経験。
学生生活は想像以上に楽しく、私の興味は少しずつ勉強以外のことへ向かっていきました。
最初は、「今日は疲れたから明日勉強しよう」と思う程度でした。
しかし、その「明日」が何日も続くうちに、机に向かうこと自体が苦痛になっていきました。
以前は面白いと感じていた簿記も、だんだん興味を失い、勉強への意欲も低下していきました。
そして私は、税理士になるという夢をあきらめました。
当時は、「自分は意志が弱かったから続かなかったのだ」と思っていました。
しかし、今振り返ると違います。
勉強が続かなかったのは、能力が足りなかったからでも、才能がなかったからでもありません。
勉強を続けられなくなる「理由」が、そこにはあったのです。
これまでこのシリーズでは、
「人はなぜ忘れるのか」
「学びとは何か」
「勉強時間と成績の関係」
「勉強ができる人の共通点」についてお話ししてきました。
今回は、その反対側から学びを考えてみたいと思います。
なぜ勉強は続かないのか。
その原因を知ることができれば、勉強は決して根性や気合いだけで続けるものではないことが分かります。
そして、その原因を一つずつ取り除いていけば、誰でも「続けられる学び方」に近づくことができます。
勉強が続かない人には、実は共通する特徴があります。
今回は、その共通点を一つずつ見ていきましょう。
<第1章> 勉強する目的が曖昧になっている

勉強が続かない原因として、最も見落とされがちなのが「何のために勉強するのか」が曖昧になっていることです。
人は、意味を感じられないことを長く続けることはできません。
例えば、「英語を勉強しよう」と決意したとします。
しかし、その理由が「何となく英語ができたほうがいいと思うから」という程度であれば、忙しくなったり疲れたりしたとき、勉強は真っ先に後回しになります。
一方で、「海外旅行で現地の人と自由に話したい」「仕事で海外とやり取りができるようになりたい」「好きな映画を字幕なしで楽しみたい」といった具体的な目的がある人は、多少大変でも勉強を続けやすくなります。
資格試験も同じです。
「合格したい」という気持ちはもちろん大切ですが、それだけでは長い勉強期間を支えるには少し弱いのです。
「なぜ、その資格を取りたいのか。」
「その資格を取って、どんな人生を送りたいのか。」
そこまで考えられている人ほど、途中で挫折しにくくなります。
私自身も、簿記3級、2級に合格した頃は、次々と新しいことを学べるのが楽しく、自然と勉強を続けることができました。
しかし大学生活が始まると、興味の対象が少しずつ勉強以外へ移っていきました。
新しい友人との交流や学生生活の楽しさが広がる一方で、「税理士になりたい」という目標は少しずつ遠のいていきました。
すると、それまで感じていた勉強の意味も薄れ、「今日は勉強しなくてもいいか」という日が増えていったのです。
今振り返ると、あの頃の私は勉強そのものをやめたのではなく、「勉強する目的」を見失っていました。
目的を失えば、勉強は単なる作業になります。
作業は疲れます。
疲れるから続きません。
反対に、目的がはっきりしている人は、勉強そのものが未来への投資になります。
多少難しい内容でも、「これは自分が目指す未来につながっている」と思えるからです。
ここで一つ考えてみてください。
あなたは、なぜ勉強していますか。
試験に合格するためでしょうか。
会社で評価されるためでしょうか。
もちろん、それも立派な理由です。
しかし、それをもう一歩掘り下げてみてください。
試験に合格したその先に、どんな自分になりたいのでしょうか。
知識を身につけて、何を実現したいのでしょうか。
その答えが見えてくると、勉強は「やらされるもの」ではなく、「自分で選ぶもの」に変わります。
そして、その小さな意識の変化が、勉強を続ける大きな力になるのです。
<第2章> ゴールが遠すぎる

勉強が続かないもう一つの大きな原因は、ゴールが遠すぎることです。
人は、大きな目標を立てることは得意です。
「税理士になりたい。」
「英語を話せるようになりたい。」
「偏差値を70まで上げたい。」
「難関資格に合格したい。」
どれも素晴らしい目標です。
しかし、その目標だけを見続けていると、だんだん苦しくなってきます。
なぜなら、ゴールがあまりにも遠く感じるからです。
例えば、富士山の頂上を目指す人がいるとします。
登り始めたばかりなのに、ずっと山頂だけを見上げていたらどうでしょう。
「まだあんなに遠いのか。」
「本当にたどり着けるのだろうか。」
そんな気持ちになってしまいます。
勉強も同じです。
税理士試験に合格するまでには何年もかかることがあります。
英語を自由に話せるようになるにも、長い時間が必要です。
そのゴールだけを見ていると、「まだ全然できない」「こんなに勉強しているのに進んでいない」と感じ、やる気を失ってしまいます。
では、勉強が続く人は何を見ているのでしょうか。
実は、ゴールではなく、今日の一歩を見ています。
「今日は10ページ読もう。」
「今日は英単語を20個覚えよう。」
「今日は30分だけ集中しよう。」
このように、今すぐ達成できる小さな目標を積み重ねています。
小さな目標には、大きな力があります。
達成すると、「できた」という満足感が得られます。
その満足感が次の行動につながり、「もう少しやってみよう」という気持ちを生み出します。
この小さな成功体験の積み重ねが、勉強を続ける原動力になるのです。
反対に、大きな目標しか持っていない人は、「まだ合格できない」「まだ話せない」「まだ成績が上がらない」と、できないことばかりに目が向いてしまいます。
その結果、「自分には向いていないのではないか」と思い込み、途中であきらめてしまうのです。
勉強は、短距離走ではありません。
マラソンのようなものです。
42.195キロ先のゴールだけを見て走る人はいません。
「次の電柱まで走ろう。」
「次の給水所まで頑張ろう。」
そうやって一歩ずつ前へ進むからこそ、最後まで走り切ることができます。
勉強も同じです。
遠いゴールは、進む方向を示してくれる大切な目標です。
しかし、毎日見るべきなのは、そのゴールではありません。
今日何をするのか。今日何が一つできるようになるのか。
その小さな目標を積み重ねた先に、気が付けば大きな目標が待っています。
勉強が続く人は、決して特別な人ではありません。
大きな夢を持ちながらも、毎日は「今日の一歩」を大切にしている人なのです。
<第3章> 完璧を目指してしまう

勉強が続かない人に共通する特徴として、完璧を目指しすぎることが挙げられます。
一見すると、完璧を目指すことは良いことのように思えます。
「毎日2時間は勉強しよう。」
「参考書を最初から最後まで完璧に理解しよう。」
「一度覚えたことは絶対に忘れないようにしよう。」
このような目標を立てる人は少なくありません。
しかし、実はこれが勉強を続けられなくなる原因になることがあります。
例えば、「毎日2時間勉強する」と決めたとします。
ところが、仕事や学校で疲れて帰宅した日や、急な予定が入った日は、2時間も勉強できないことがあります。
「今日は30分しかできなかった。」
すると、完璧主義の人はこう考えてしまいます。
「今日は失敗した。」
「決めたことを守れなかった。」
「こんな自分では続けても意味がない。」
そして翌日も勉強を始める気持ちが弱くなり、やがて勉強そのものをやめてしまいます。
本当は30分でも勉強できたのです。
昨日の自分より少しでも前に進んでいるのです。
それなのに、「100点でなければ0点と同じ」と考えてしまうため、自分で自分のやる気を失わせてしまうのです。
勉強が続く人は、この考え方が違います。
「今日は忙しかったけれど、30分できた。」
「1ページしか進まなかったけれど、昨日より理解が深まった。」
そんなふうに、小さな前進をきちんと認めています。
だから、翌日も自然と机に向かうことができるのです。
私は以前の記事で、「勉強時間の長さよりも理解の深さが大切」というお話をしました。
この考え方は、ここでも当てはまります。
2時間机に座っていても集中できなければ、その時間の多くは学びになっていません。
反対に、30分でも集中して一つのことを理解できれば、それは価値のある30分です。
つまり、大切なのは「どれだけ長く勉強したか」ではなく、「何を理解できたか」なのです。
完璧を目指す人は、「今日は100ページ読めなかった」と落ち込みます。
しかし、勉強が続く人は、「今日はこの1ページをしっかり理解できた」と考えます。
この違いは、とても小さいようでいて、長い時間がたつと大きな差になります。
勉強は、一日で人生を変えるものではありません。
毎日の小さな積み重ねが、半年後、一年後に大きな成果となって現れます。
だからこそ、100点を目指すよりも、昨日より一歩前へ進むことを目標にしてください。
もし忙しい日があれば、5分だけでも本を開いてみる。
問題を1問だけ解いてみる。
参考書を1ページだけ読んでみる。
それで十分です。
勉強は、「完璧に続ける人」が成功するのではありません。
途中で止まっても、また歩き始める人が最後までたどり着くのです。
完璧主義を手放し、「今日はこれだけできた」と自分を認めることが、勉強を長く続けるための大切な秘訣なのです。
<第4章> やる気に頼っている

「今日はやる気が出ないから勉強はやめておこう。」
こう考えたことがある人は、多いのではないでしょうか。
私自身も、勉強が続かなかった頃は、「やる気が出たら勉強しよう」と考えていました。
しかし、今振り返ると、この考え方こそが勉強を続けられなかった大きな原因だったと思います。
私たちは、「やる気があるから行動できる」と考えがちです。
ところが実際には、その順番は逆なのです。
行動するから、やる気が生まれる。
これは勉強だけでなく、仕事や運動でも同じです。
休日に部屋の掃除をしようと思っていても、「やる気が出ないな」と感じることがあります。
ところが、試しに5分だけ掃除を始めてみると、不思議なことに「せっかくだから、もう少しやろう」という気持ちになり、気が付けば部屋全体を片付けていたという経験はないでしょうか。
勉強もまったく同じです。
最初の5分が一番大変なのです。
教科書を開く。
ノートを出す。
問題を1問解いてみる。
そこまでできると、脳は少しずつ勉強モードへ切り替わっていきます。
「もう少しだけやろう。」
そんな気持ちが自然に生まれてきます。
ところが、「やる気が出るまで待とう」と考えていると、いつまでたっても勉強は始まりません。
なぜなら、何もしない状態では、やる気はなかなか生まれないからです。
勉強が続く人は、「やる気がある人」ではありません。
やる気がなくても、とりあえず始める人です。
「今日は30分やろう」と考えるよりも、「まず5分だけやってみよう」と考えるほうが、ずっと始めやすくなります。
5分だけのつもりが、気が付けば30分、1時間と集中していたということも珍しくありません。
反対に、「今日は2時間勉強しなければならない」と考えると、それだけで気持ちが重くなり、机に向かうことすら嫌になってしまいます。
ここで大切なのは、「始めること」と「続けること」を分けて考えることです。
勉強が続かない人は、「2時間勉強する」という大きな壁を越えようとします。
勉強が続く人は、「教科書を開く」「問題を1問解く」という小さな壁だけを越えようとします。
始めるハードルが低いほど、行動は起こしやすくなります。
そして、行動がやる気を生み、そのやる気が次の行動につながります。
この良い循環ができると、「勉強しよう」と気合いを入れなくても、自然と机に向かえるようになります。
「今日はやる気がない。」
そんな日があっても構いません。
大切なのは、やる気がある日を待つことではなく、やる気がなくても始められる仕組みを作ることです。
勉強は、やる気のある人だけが続けられるものではありません。
「まずは5分だけやってみよう。」
そう考えられる人が、最終的には大きな成果を手にするのです。
<第5章> 始めるまでの準備が多すぎる

「よし、勉強しよう。」
そう思ったのに、気が付けば30分も経っていた。
そんな経験はないでしょうか。
机の上を片付ける。
参考書を探す。
ノートを用意する。
ペンが見当たらないので探す。
飲み物を入れる。
スマートフォンで少しだけ天気を見ようと思ったら、そのままSNSを開いてしまう。
そして気が付けば、「今日はもう時間がないから明日やろう」となってしまいます。
実は、勉強が続かない人ほど、勉強を始めるまでの手順が多くなっていることがあります。
一つひとつは小さなことです。
しかし、その小さなことが積み重なると、「勉強を始める」という行動が、とても面倒なものになってしまいます。
反対に、勉強が続く人は、始めるまでの準備が驚くほどシンプルです。
机の上には、その日に使う教材だけが置かれている。
筆記用具もすぐ手に取れる場所にある。
参考書を開けば、前回勉強したページからすぐに始められる。
つまり、「勉強しよう」と思ってから数十秒で始められる環境を作っているのです。
これは決して几帳面だからではありません。
始めるハードルをできるだけ低くするためです。
人は面倒なことを避けるようにできています。
「参考書を出すのが面倒。」
「机を片付けるのが面倒。」
「どこから始めればいいか考えるのが面倒。」
この「面倒」が積み重なるほど、勉強から遠ざかってしまいます。
ですから、「頑張ろう」と気持ちを奮い立たせる前に、まずは環境を整えてみてください。
例えば、
寝る前に翌日使う参考書とノートを机の上に置いておく。
しおりを挟んで、次に学ぶページを開きやすくしておく。
筆記用具を一か所にまとめておく。
たったこれだけでも、勉強を始めるまでの負担は大きく減ります。
もう一つ大切なのは、「何を勉強するか」を前もって決めておくことです。
「今日は何をやろうかな。」
このように考え始めると、それだけで時間が過ぎてしまいます。
勉強が続く人は、「今日は問題集を10ページまで解く」「英単語を20個覚える」というように、始める前から内容を決めています。
だから迷いません。
迷わないから、すぐ行動できます。
私たちは、「勉強が続かないのは意志が弱いからだ」と考えがちです。
しかし実際には、意志の問題ではなく、始めるまでの仕組みに問題があることが少なくありません。
勉強を続ける秘訣は、「頑張ること」ではなく、「始めやすくすること」です。
「やろう」と思ったら、すぐ始められる。
そんな環境を作るだけで、勉強は驚くほど続けやすくなります。
勉強が続く人は、特別に強い意志を持っているわけではありません。
意志に頼らなくても始められる環境を、上手につくっている人なのです。
<第6章> 分からないことを放置している

勉強が続かなくなる原因の中でも、特に見逃されやすいのが、「分からないことを、そのままにしてしまうこと」です。
最初は意欲的に勉強を始めた人でも、少し難しい内容に出会うと手が止まることがあります。
教科書を読んでも意味が分からない。
先生の説明を聞いても頭に入らない。
問題を解いても、なぜその答えになるのか理解できない。
すると、「とりあえず先へ進もう」と考え、その分からない部分を残したまま勉強を続けてしまいます。
しかし、この「分からない」が少しずつ積み重なると、やがて勉強そのものが苦痛になってしまいます。
例えば、本を読んでいて、一ページごとに知らない言葉が出てきたらどうでしょう。
最初は何とか読めても、十ページ、二十ページと進むうちに内容が分からなくなり、本を閉じたくなるはずです。
勉強もまったく同じです。
理解できない部分を放置すると、その上に新しい知識を積み重ねることができません。
土台がぐらついた家が危険なのと同じように、理解があいまいなままでは、学びも不安定になってしまいます。
私は、このシリーズの第2回で、「学びとは暗記ではなく理解すること」だとお話ししました。
理解している知識は、忘れにくく、応用もできます。
反対に、意味が分からないまま暗記した知識は、試験が終わればすぐに忘れてしまいます。
つまり、「分からない」を放置することは、勉強が続かなくなるだけでなく、学んだことを忘れやすくする原因にもなるのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
答えは、とてもシンプルです。
「分からない」を、その日のうちに一つでも減らすことです。
もちろん、すべてを完璧に理解する必要はありません。
一つ疑問があれば調べてみる。
先生や友人に質問してみる。
別の参考書で説明を読んでみる。
インターネットやAIを活用して、自分が納得できるまで説明してもらう。
大切なのは、「分からないままで終わらせない」という姿勢です。
不思議なことに、一つ理解できると、その前後の内容までつながって見えてくることがあります。
「そういうことだったのか。」
この瞬間が、勉強の一番楽しい時間です。
理解できた喜びは、「もっと知りたい」という気持ちを生み出します。
その好奇心が、次の勉強への意欲につながっていくのです。
反対に、理解できない状態が続くと、「自分には向いていない」「勉強は苦手だ」という思い込みが生まれてしまいます。
しかし、それは能力の問題ではありません。
理解する機会がなかっただけなのです。
勉強が続く人は、「分からないことがない人」ではありません。
分からないことを、そのままにしない人なのです。
そして、この違いこそが、「暗記する勉強」と「理解する勉強」を分ける大きな分岐点になります。
理解できるから面白い。
面白いから続けたくなる。
勉強を長く続けるために最も大切なのは、根性でも気合いでもありません。
「分かった!」という小さな感動を、一つずつ積み重ねていくことなのです。
<第7章> インプットばかりしている

勉強が続かない人には、もう一つ共通する特徴があります。
それは、インプットばかりで終わってしまうことです。
参考書を読む。
授業を聞く。
動画を見る。
講義を受ける。
これらはすべて大切な勉強です。
しかし、それだけでは「勉強した気分」にはなっても、本当の意味で理解したとは言えません。
例えば、料理の本を何冊も読んだとしても、それだけで料理が上手になるわけではありません。
実際に包丁を持ち、野菜を切り、料理を作ってみるからこそ、本当に身につきます。
スポーツも同じです。
野球のルールを覚えるだけでは上達しません。
何度もバットを振り、ボールを投げ、体を動かして初めて技術になります。
勉強もまったく同じです。
読むだけでは、知識は自分のものになりません。
知識を使って初めて、本当の理解へと変わります。
私はこれまでの記事で、「理解すること」が学びの本質だとお話ししてきました。
では、自分が本当に理解しているかどうかは、どうすれば分かるのでしょうか。
一番簡単な方法があります。
誰かに説明してみることです。
家族でも、友人でも構いません。
相手がいなければ、声に出して自分自身に説明してみるだけでも十分です。
説明している途中で言葉に詰まったり、「なぜそうなるのだろう」と感じたりしたら、それはまだ理解が十分ではないということです。
逆に、難しいことを分かりやすく説明できるようになれば、その知識は自分のものになっています。
問題を解くことも、大切なアウトプットです。
最初は間違えても構いません。
間違えることで、「どこが理解できていないのか」が分かります。
それは失敗ではなく、自分の弱点を教えてくれる大切な情報です。
また、ノートに自分の言葉でまとめることも効果的です。
教科書の文章をそのまま書き写すのではなく、「つまり、こういうことだ」と自分の言葉で書いてみる。
すると、理解できている部分と理解できていない部分がはっきりしてきます。
勉強が続く人は、インプットとアウトプットのバランスがとても上手です。
学んだら使う。
理解したら説明する。
覚えたら問題を解く。
この繰り返しによって、「分かる」が「できる」へと変わっていきます。
一方、勉強が続かない人は、「もっと参考書を読めば分かるはず」「もっと動画を見れば理解できるはず」と考えがちです。
もちろん、新しい知識を得ることは大切です。
しかし、知識は入れるだけでは定着しません。
水を入れるだけで出口のないコップは、やがてあふれてしまいます。
学んだことを外へ出すことで、知識は整理され、記憶に定着し、本当の理解へと変わっていくのです。
勉強は、「たくさん知ること」が目的ではありません。
学んだことを使えるようになることが、本当の目的です。
だからこそ、読むだけで終わらせず、問題を解く、説明する、書いてみるというアウトプットを意識してみてください。
その小さな積み重ねが、「勉強しなければならない」という義務感を、「分かることが楽しい」という喜びへと変えてくれるはずです。
<第8章> 誘惑が多い環境にいる

「勉強しようと思って机に向かったのに、気が付けばスマートフォンを見ていた。」
そんな経験はないでしょうか。
「通知が来たから少しだけ確認しよう。」
「動画を一本だけ見よう。」
「SNSを五分だけ見たら勉強を始めよう。」
そう思っていたはずが、気が付けば30分、1時間と時間が過ぎてしまう。
これは、決してあなただけではありません。
実は、人間の脳は誘惑に弱いようにできています。
スマートフォンやSNS、動画サイト、ゲームなどは、「もっと見たい」「もう少しだけ」という気持ちを引き出すように作られています。
そんな環境の中で、「自分の意志だけで誘惑に勝とう」とするのは、とても難しいことなのです。
勉強が続かない人は、「もっと意志を強くしなければ」と考えます。
しかし、勉強が続く人は違います。
意志ではなく、環境を変えることを考えます。
例えば、勉強を始めるときはスマートフォンを別の部屋に置いておく。
通知をオフにする。
テレビのない部屋で勉強する。
机の上には、その日に使う教材だけを置く。
たったこれだけでも、集中力は大きく変わります。
私たちは、「自分は誘惑に負けない」と思いたいものです。
しかし、本当に勉強が続く人ほど、自分の弱さを知っています。
「スマートフォンが近くにあれば見てしまう。」
「テレビがついていれば気になってしまう。」
「お菓子が目の前にあれば食べてしまう。」
だからこそ、最初から誘惑を遠ざけるのです。
これは勉強だけではありません。
ダイエットをする人がお菓子を買わないようにするのも同じ考え方です。
禁煙したい人が灰皿を処分するのも同じです。
意志の力に頼るよりも、誘惑そのものを減らしたほうが、ずっと成功しやすいのです。
また、勉強する場所も大切です。
リビングでは家族の話し声が聞こえる。
テレビが目に入る。
スマートフォンの通知も気になる。
それでは集中し続けるのは難しくなります。
もし可能であれば、自分が「ここに座ったら勉強する場所」と決められる場所をつくってみてください。
図書館でも、自分の部屋でも、静かなカフェでも構いません。
場所が変わるだけで、気持ちも切り替わりやすくなります。
勉強を続けるために必要なのは、「誘惑に勝つ強い心」ではありません。
誘惑に負けても困らない環境をつくることです。
環境は、人の行動を大きく左右します。
勉強が続く人は、自分の意志を過信しません。
「どうすれば自然と勉強できるだろう。」
そんな視点で環境を整えています。
勉強は、自分との戦いだと言われることがあります。
しかし実際には、自分を責め続ける必要はありません。
少しだけ環境を工夫するだけで、勉強は驚くほど続けやすくなるのです。
<第9章> 勉強する時間と場所が毎回違う

「今日は朝に勉強しよう。」
そう思ったものの起きられず、夜に変更する。
翌日は夜に予定が入ったので昼に勉強する。
休日はカフェで勉強し、平日は自宅で勉強する。
一見すると、その日の都合に合わせて勉強しているだけのように思えます。
もちろん、生活の中では予定が変わることもありますから、毎日まったく同じ時間に勉強することは難しいでしょう。
しかし、勉強が続く人には、一つの共通点があります。
それは、できるだけ「勉強を始める条件」を一定にしていることです。
私たちの脳は、「習慣」を作るのが得意です。
例えば、毎朝起きたら顔を洗う人は、「今日は顔を洗おう」と毎日考えているわけではありません。
食事の前に「いただきます」と言う人も、「今日は言おう」と意識しているわけではありません。
長年の習慣になっているから、自然に体が動くのです。
勉強も同じです。
毎日、夕食の後に机へ向かう。
毎朝、出勤前に30分だけ勉強する。
休日は午前9時から図書館へ行く。
このように時間や場所をある程度決めておくと、脳は「この時間は勉強する時間だ」と覚えてくれます。
すると、「今日は勉強しようかな、どうしようかな」と迷う時間が減ります。
実は、勉強が続かない人ほど、「いつ勉強するか」を毎日考えています。
「今日は夜にしようかな。」
「やっぱり明日の朝にしようかな。」
「今日は疲れたから休もうかな。」
こうして判断を繰り返しているうちに、結局勉強しないまま一日が終わってしまうことがあります。
一方、勉強が続く人は、「考えること」を減らしています。
「夕食を食べたら机に向かう。」
「コーヒーを飲んだら参考書を開く。」
「朝起きたら英単語を10分勉強する。」
このように、毎日の生活の中に勉強を組み込んでしまうのです。
これは「習慣の力」を利用しています。
習慣になると、勉強は特別なことではなくなります。
歯を磨くことと同じように、「やるのが当たり前」になります。
もちろん、毎日同じ時間に勉強できない人もいるでしょう。
仕事がシフト制だったり、家事や育児で予定が変わったりする人もいます。
その場合は、「時間」を固定するのではなく、「行動」と結び付ける方法がおすすめです。
例えば、
「朝食を食べ終わったら10分勉強する。」
「お風呂から上がったら問題を3問解く。」
「寝る前に参考書を5ページ読む。」
このように、毎日必ず行う行動の後に勉強を組み込むと、習慣にしやすくなります。
勉強は、やる気がある日だけするものではありません。
生活の一部になったとき、初めて無理なく続けられるようになります。
「今日は勉強するかどうか」を毎日考えるのではなく、「この時間、このタイミングになったら自然と始める」。
そんな仕組みを作ることが、勉強を長く続けるための大きな秘訣なのです。
<第10章> 他人と比べすぎる

勉強が続かなくなる原因の一つに、他人と比べすぎてしまうことがあります。
学生の頃は、テストの順位や偏差値で比べられることが少なくありません。
社会人になってからも、資格試験の合格者や英語が話せる人、難しい試験に合格した人を見て、「自分はまだまだだ」と落ち込むことがあります。
最近では、SNSの影響も大きいでしょう。
「毎日5時間勉強しました。」
「資格試験に一発合格しました。」
「半年でTOEIC900点を取りました。」
そんな投稿を目にすると、「それに比べて自分は……」と思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。
私たちは、他人の「結果」だけを見ているということです。
その人が、そこへたどり着くまでにどれだけ努力したのか。
何度失敗したのか。
どれだけ時間をかけてきたのか。
そこまでは見えていません。
結果だけを見て自分と比べても、公平な比較にはならないのです。
また、人にはそれぞれ置かれている環境も違います。
学生と社会人では自由に使える時間が違います。
仕事をしながら勉強している人もいれば、育児や介護をしながら学んでいる人もいます。
健康状態も違えば、得意・不得意も違います。
同じ条件の人など、一人としていません。
それなのに、他人の成果だけを見て自分を責めるのは、とてももったいないことです。
勉強が続く人は、比較する相手が違います。
比べるのは、昨日の自分です。
昨日より10分長く集中できた。
昨日は分からなかった問題が解けた。
昨日より一つ多く知識が増えた。
その小さな成長を喜ぶことができます。
以前の記事でもお話ししましたが、勉強は短距離走ではありません。
一歩一歩積み重ねていく長い道のりです。
だからこそ、大切なのは「誰が一番前を走っているか」ではなく、「昨日の自分より前へ進めたか」です。
私自身も、税理士を目指して勉強していた頃は、「もっと勉強ができる人」「もっと早く理解できる人」を見て焦ることがありました。
しかし今思えば、比べる相手を間違えていました。
本当に比べるべきだったのは、他人ではなく、自分自身だったのです。
もし昨日より一つ理解できたことがあるなら、それは確かな成長です。
もし昨日より5分長く机に向かえたなら、それも立派な前進です。
その積み重ねが、半年後、一年後には大きな差になります。
他人と比べることは、自信を失う原因になります。
しかし、昨日の自分と比べることは、自信を育てる力になります。
勉強とは、誰かに勝つためにするものではありません。
昨日の自分より少し成長し、なりたい自分に近づくためにするものです。
そのことを忘れなければ、周りの人の速さに振り回されることなく、自分のペースで学び続けることができるでしょう。
<第11章> 小さな成長に気づいていない

勉強が続く人と続かない人の違いは、能力だけではありません。
もっと大きな違いがあります。
それは、自分の成長の見つけ方です。
勉強が続かない人は、「大きな成果」が出なければ成長したとは思えません。
試験に合格した。
100点を取った。
資格を取得した。
偏差値が大きく上がった。
こうした結果だけを「成功」だと考えてしまいます。
もちろん、それらは素晴らしい成果です。
しかし、そのような大きな成果は毎日得られるものではありません。
資格試験の合格発表は数か月後かもしれません。
偏差値も、一回勉強しただけで大きく上がるものではありません。
もし、大きな成果だけを楽しみに勉強していたら、その間はずっと「まだ何も成長していない」と感じることになります。
これでは勉強を続けることは難しいでしょう。
一方、勉強が続く人は、小さな成長を見つけるのがとても上手です。
昨日は解けなかった問題が今日は解けた。
英単語を10個覚えられた。
参考書を10ページ読み終えた。
以前より集中できる時間が少し長くなった。
先生の説明が前より理解できた。
こうした小さな変化を、「今日も前へ進めた」と喜ぶことができます。
一つひとつは小さなことかもしれません。
しかし、その小さな成長が積み重なることで、大きな成果へとつながっていくのです。
赤ちゃんが歩けるようになるまでを考えてみてください。
最初から歩ける子はいません。
寝返りができるようになり、はいはいを覚え、つかまり立ちをし、何度も転びながら少しずつ歩けるようになります。
そのたびに家族は、「できたね」と喜びます。
もし、「走れるようにならなければ成長ではない」と考えていたら、その子の努力はすべて無駄になってしまいます。
勉強も同じです。
毎日の小さな成長こそが、本当の成長なのです。
私たちは学校で、「テストの点数」という結果ばかりを評価されてきました。
そのため、「結果が出なければ努力は意味がない」と思い込みやすくなっています。
しかし、学びとは本来、昨日できなかったことが今日できるようになることの積み重ねです。
その積み重ねがあるからこそ、試験にも合格し、資格も取得できるのです。
私は、勉強をしている人に一つおすすめしたいことがあります。
それは、一日の終わりに自分へ問いかけることです。
「今日、新しく分かったことは何だろう。」
「昨日の自分より成長したことは何だろう。」
どんなに小さなことでも構いません。
一つでも見つかれば、その日は前進しています。
そして、その前進を自分自身が認めてあげてください。
人は、成長を実感すると、「明日もやってみよう」という気持ちになります。
心理学では、このような「自分ならできる」という感覚を自己効力感と呼びます。
自己効力感は、生まれつきの才能ではありません。
小さな成功体験を積み重ねることで育っていくものです。
勉強が続く人は、自分を過大評価しているわけではありません。
ほんの少しの成長でも見逃さず、「今日も前へ進めた」と認めることができる人です。
その積み重ねが自信となり、やがて大きな成果へとつながっていきます。
勉強は、一日で人生を変えるものではありません。
昨日より一歩成長することを積み重ねた人が、気が付けば大きく成長しているのです。
<第12章> 勉強は苦しいものだと思い込んでいる

「勉強は苦しいもの。」
そう思っている人は少なくありません。
机に向かうのはつらい。
参考書を開くのは面倒。
試験勉強は苦痛。
このようなイメージを持っている人は、とても多いでしょう。
では、なぜ私たちは勉強を苦しいものだと感じるのでしょうか。
私は、その大きな理由は学校教育の影響にあると思っています。
学校では、テストで良い点を取ることが求められます。
順位が付きます。
偏差値で評価されます。
受験では合格と不合格にはっきり分かれます。
もちろん、それらが必要な場面もあります。
しかし、その結果、「勉強とは点数を取るために我慢してやるもの」というイメージが、多くの人の心に残ってしまいました。
本来、勉強とはそういうものではありません。
赤ちゃんは、誰かに言われなくても周りのものに興味を持ちます。
「これは何だろう。」
「あれはどうして動くのだろう。」
「触ってみたい。」
「やってみたい。」
そんな好奇心があるから、人は言葉を覚え、歩けるようになり、成長していきます。
つまり、人は本来、「知ること」が好きなのです。
では、なぜ大人になるにつれて勉強が嫌いになってしまうのでしょうか。
それは、「理解する楽しさ」よりも、「覚えなければならない苦しさ」のほうが大きくなってしまうからです。
意味も分からないまま暗記する。
試験が終われば忘れてしまう。
また新しいことを暗記する。
これでは、勉強が楽しいはずがありません。
このシリーズで、「学びとは暗記ではなく理解すること」だとお話ししたように、理解できた瞬間こそが、勉強で最も楽しい瞬間なのです。
「そういうことだったのか。」
「だからこうなるのか。」
「なるほど、全部つながった。」
この瞬間を経験すると、勉強は「やらされるもの」ではなく、「もっと知りたいもの」へと変わります。
私自身も、勉強が面白いと感じるようになったのは、「覚えること」よりも「理解すること」を意識するようになってからでした。
一つの知識が別の知識とつながる。
バラバラだった点が一本の線になる。
さらにその線が広がり、大きな知識の地図になっていく。
その感覚を味わうようになると、勉強は苦痛ではなくなります。
興味は、最初からあるものとは限りません。
理解が深まることで、興味は育っていくのです。
「面白いから理解できる」のではありません。
「理解できるから面白くなる」のです。
これは、多くの人が勘違いしていることかもしれません。
だから、今勉強が面白くないと感じている人も、心配する必要はありません。
まだ十分に理解できていないだけかもしれないのです。
一つ理解する。
また一つ理解する。
その積み重ねが、「もっと知りたい」という気持ちを育ててくれます。
勉強が続く人は、特別に我慢強い人ではありません。
理解する喜びを知っている人です。
そして、その喜びこそが、勉強を続ける最高の原動力になります。
もし今、「勉強は苦しいものだ」と思っているなら、その考えを少しだけ変えてみてください。
勉強とは、自分の世界を広げるためのものです。
知らなかったことが分かる。
できなかったことができるようになる。
昨日とは違う自分に出会える。
その喜びを感じられたとき、勉強は義務ではなく、一生続けたくなる「学び」へと変わっていくのです。
<第13章> 結果を急ぎすぎる

勉強が続かない人の最後の共通点は、結果を急ぎすぎることです。
勉強を始めると、多くの人はすぐに成果を期待します。
「一週間勉強したのに、まだ覚えられない。」
「一か月英語を勉強したのに、まだ話せない。」
「毎日勉強しているのに、成績が上がらない。」
こうした思いが積み重なると、「こんなに頑張っているのに意味がない」と感じ、勉強をやめてしまうことがあります。
しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。
勉強の成果は、努力したその日に現れるものではないということです。
種をまいた翌日に花が咲かないように、勉強もすぐには結果が見えません。
毎日少しずつ水を与え、時間をかけて育てるからこそ、やがて芽が出て花が咲きます。
知識も同じです。
一つの知識を学ぶ。
それを理解する。
何度か使ってみる。
他の知識と結び付く。
そうして初めて、本当に使える知識になります。
この過程には時間が必要です。
これまでお話ししたように、勉強は「知識を集めること」ではなく、「理解を積み重ねること」です。
理解は、一日では完成しません。
最初はぼんやり分かる程度でも、何度も学び直すことで少しずつ深まっていきます。
だから、焦る必要はありません。
私は勉強を、筋力トレーニングによく例えます。
ジムへ行って一日運動しただけで、筋肉が大きくなる人はいません。
一週間でも、大きな変化は感じられないでしょう。
しかし、何か月も続けると、少しずつ体が変わってきます。
勉強もまったく同じです。
毎日の変化は小さくても、半年後、一年後には大きな差になっています。
ところが、結果を急ぐ人は、その途中でやめてしまいます。
「まだ成果が出ない。」
「自分には向いていない。」
「もう無理だ。」
そう判断してしまうのです。
もし、その人があと一か月続けていたら、あと三か月続けていたら、大きく成長していたかもしれません。
本当にもったいないことです。
以前記事に書いたエジソンの言葉にも次のようなものがあります。
「私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ。」
「人生に失敗した人の多くは、諦めたときに自分がどれほど成功に近づいていたか気づかなかった人たちだ。」
「他の発明家の弱点は、ほんの一つか二つの実験でやめてしまうことだ。わたしは自分が求めるものを手に入れるまで決してあきらめない。」
勉強が続く人は、「結果」よりも「過程」を大切にしています。
今日は予定どおり勉強できた。
昨日より理解が深まった。
新しいことを一つ学べた。
そんな毎日の積み重ねを大切にしています。
だから結果が出るまで待つことができます。
そして、待っている間にも着実に成長を続けています。
このシリーズでは、「忘れる理由」「学びの本質」「理解することの大切さ」「勉強ができる人、続かない人の共通点」についてお話ししてきました。
そのすべてに共通していることがあります。
それは、学びは一日で完成するものではないということです。
理解は少しずつ深まり、知識は少しずつ積み重なり、人は少しずつ成長していきます。
だから、結果を急がないでください。
昨日より少し理解できた。
昨日より少し前へ進めた。
その積み重ねが、やがて大きな成果となってあなたの前に現れます。
勉強は、短期間で結果を求める競争ではありません。
一歩ずつ学びを積み重ねた人だけが、本当の力を身につけることができる長い旅なのです。
<最終章> 勉強は才能ではなく「続ける仕組み」で決まる

ここまで、勉強が続かない人に共通する特徴を見てきました。
●勉強する目的が曖昧になっている。
●ゴールが遠すぎる。
●完璧を目指してしまう。
●やる気に頼っている。
●始めるまでの準備が多すぎる。
●分からないことを放置している。
●インプットばかりしている。
●誘惑の多い環境にいる。
●勉強する時間や場所が決まっていない。
●他人と比べすぎる。
●小さな成長に気づいていない。
●勉強は苦しいものだと思い込んでいる。
●結果を急ぎすぎる。
こうして並べてみると、一つの共通点が見えてきます。
どれも「能力」の問題ではないということです。
勉強が続かない人は、頭が悪いからでも、才能がないからでもありません。
意志が弱いからでもありません。
勉強が続かなくなる原因は、考え方や環境、そして勉強の仕組みにあるのです。
この記事の最初に、私は税理士を目指して勉強していた頃の話をしました。
簿記3級、2級には順調に合格しましたが、大学生活が始まると勉強への意欲が少しずつ薄れ、簿記1級の勉強が続かなくなり、最終的には税理士への道をあきらめました。
当時の私は、「自分は意志が弱かったからだ」と思っていました。
しかし、今ならはっきりと言えます。
あの頃の私は、能力が足りなかったのではありません。
勉強を続けるための「仕組み」を知らなかったのです。
勉強する目的が少しずつ曖昧になり、大学生活という新しい環境に興味が移り、「理解する楽しさ」よりも「やらなければならない勉強」という気持ちが強くなっていました。
もしあの頃、このことを知っていたら、違う結果になっていたかもしれません。
だからこそ、今私はこの「学校では教えてくれない 学びの教科書」を書いています。
学校では、教科の内容は教えてくれます。
しかし、「どうすれば学び続けられるのか」「どうすれば理解する楽しさを失わずに勉強できるのか」ということは、あまり教えてくれません。
けれども、本当に人生で役に立つのは、こちらではないでしょうか。
受験勉強が終わっても、社会に出れば新しい知識を学び続ける必要があります。
仕事でも、資格でも、趣味でも、人生は学びの連続です。
だからこそ、一生使える学び方を身につけることが、自分への最高の投資になるのです。
勉強が続く人は、特別な才能を持った人ではありません。
理解する喜びを知り、続けられる仕組みを作っている人です。
そして、その仕組みは誰でも身につけることができます。
次回はいよいよ、このシリーズのまとめとして、『学校では教えてくれない 暗記しない勉強法 ― 理解型学習で一生忘れない知識を作る ―』を書くことにします。
これまでの記事では、「なぜ忘れるのか」「学びとは何か」「なぜ成績が伸びないのか」「勉強ができる人・続かない人の共通点」など、学びの本質について考えてきました。
次はいよいよ、その理論を実践へとつなげる段階です。
暗記に頼らず、理解によって知識を積み上げる方法。
忘れにくく、応用でき、一生使える知識を身につける方法。
私が長年の学びと経験の中でたどり着いた「理解型学習」の実践法を、できるだけ具体的にお伝えしたいと思います。
勉強は、決して苦しいものではありません。
理解できると面白くなる。
面白くなると続けたくなる。
続けるから力がつく。
そして、力がつくから、人生の選択肢が広がっていく。
この好循環こそが、本当の学びです。
勉強が続かない人は、意志が弱い人ではありません。
続かないやり方で勉強していただけです。
今日からは、「頑張る勉強」ではなく、「続けられる勉強」を始めてみませんか。
その先には、学校では教えてくれなかった、本当の学ぶ喜びが待っています。
以上最後までお読みいただきありがとうございます。
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