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長時間勉強しても成績が伸びない本当の理由

前回の記事では、「学びとは暗記ではなく、理解することである」というお話をしました。

理解した知識は互いにつながり、忘れにくくなります。
一方で、意味も分からず丸暗記した知識は、試験が終わればすぐに忘れてしまいます。

だからこそ、本当の学びとは「覚えること」ではなく、「理解すること」なのです。

では、理解を深めるためには、長時間勉強すればよいのでしょうか。

多くの人は、「勉強時間が長い人ほど成績が伸びる」と考えています。
そのため、朝から晩まで机に向かい、睡眠時間を削ってまで勉強する人も少なくありません。

しかし、現実には、何時間も勉強しているのに思うように成績が伸びない人がいる一方で、短い時間でも効率よく学び、大きな成果を上げる人もいます。

この違いは、能力の差ではありません。
勉強に対する考え方と、脳の仕組みに合った学び方をしているかどうかの違いなのです。

私自身、通関士試験を受験したとき、法律を一条一条暗記するような勉強はしませんでした。
もちろん条文を読むことは必要ですが、それ以上に意識したのは、「なぜこの法律があるのか」「この制度は何を目的としているのか」という趣旨を理解することでした。

趣旨が理解できると、一つひとつの条文がバラバラの知識ではなく、一本の線でつながって見えてきます。
その結果、すべてを暗記しなくても全体像を把握できるようになり、短期間でも効率よく学ぶことができました。

また、長時間無理に勉強を続けることもしませんでした。
集中できる時間は集中し、疲れたら休む。そして十分な睡眠をとり、翌朝もう一度復習する。

この繰り返しが、知識を確実に自分のものにしてくれました。
勉強は、長く続ければ成果が出るものではありません。
大切なのは、限られた時間の中で脳が最も学びやすい状態をつくることです。

今回は、「勉強時間が長くても成績が伸びない理由」をテーマに、効率よく学ぶための考え方についてお話ししていきます。


<第1章> 勉強時間=成果ではない

「今日は8時間勉強した。」
そう聞くと、「よく頑張ったね」と言いたくなります。

反対に、「今日は2時間しか勉強できなかった」と聞くと、「もっと勉強しなければ」と焦ってしまう人もいるでしょう。

私たちは子どもの頃から、「勉強時間が長いほど成果が出る」という考え方を自然と身につけてきました。
学校でも、「もっと勉強しなさい」「勉強時間を増やしなさい」と言われることはあっても、「どう勉強すれば効率よく身につくのか」を教わる機会はほとんどありません。

そのため、多くの人は「長時間机に向かうこと」そのものが勉強だと思ってしまいます。
しかし、本当にそうでしょうか。

例えば、本を開いたままスマートフォンが気になってしまったり、何度も同じページを読んでいるのに内容が頭に入っていなかったりした経験はないでしょうか。

あるいは、「今日は一日勉強した」と思っていても、翌日になるとほとんど思い出せないということもあります。

これは決して珍しいことではありません。
なぜなら、「机に向かっていた時間」と「脳が学んでいた時間」は同じではないからです。

勉強で本当に大切なのは、何時間机に向かっていたかではなく、どれだけ集中し、どれだけ理解できたかです。

極端な例ですが、集中して2時間学んだ人と、疲れた状態で何となく8時間机に向かっていた人では、前者のほうが多くのことを身につけている場合が少なくありません。

つまり、「勉強した時間」と「学んだ量」は必ずしも比例しないのです。

もちろん、一定の勉強時間は必要です。
何もしなくても知識が身につくわけではありません。
しかし、ただ時間だけを増やしても、集中力が切れた状態では学習効率は大きく下がってしまいます。

長時間勉強していることに満足してしまい、「今日はこれだけ勉強したから大丈夫」と安心してしまうこともあります。
ですが、本当に確認すべきなのは、「何時間勉強したか」ではなく、「何を理解し、何ができるようになったか」です。

勉強とは、時間を積み重ねることではありません。
知識を理解し、自分の力として積み重ねていくことです。

成績を伸ばす人は、勉強時間だけを追いかけるのではなく、「今日、何を身につけたのか」を大切にしています。
この考え方が、学びの効率を大きく変える第一歩なのです。

<第2章> 理解すれば勉強量は減らせる

勉強時間が長くなってしまう大きな理由の一つは、「すべて覚えよう」としてしまうことです。

学校では、教科書を最初から最後まで読み、重要なところに線を引き、何度も繰り返して暗記する勉強をすることが少なくありません。

もちろん、覚えなければならない知識はあります。
しかし、すべてを同じように暗記しようとすると、勉強は終わりの見えない苦しい作業になってしまいます。

そこで大切になるのが、「理解する」という視点です。

私は通関士試験を受験したとき、法律を一条一条丸暗記する勉強はしませんでした。
法律の条文は数も多く、細かな例外規定まで含めると、すべてを暗記しようとするだけでも膨大な時間がかかります。

そこで私が意識したのは、「この法律は何のために作られたのか」「この条文はどんな目的を持っているのか」という趣旨を理解することでした。
法律には、一つひとつ必ず目的があります。
その目的が分かると、「なぜこのような決まりになっているのか」が見えてきます。
すると、それまでバラバラに見えていた条文が、一つの流れとして理解できるようになります。

例えば、地図を見るときも同じです。
道路を一本一本暗記しようとすると大変ですが、町全体の地形や主要な道路のつながりを理解すると、細かな道も自然と覚えやすくなります。

勉強もまったく同じです。
全体像を理解すると、一つひとつの知識が意味を持ち始めます。
すると、覚える量が減るわけではありませんが、「無理に暗記する量」は確実に減っていきます。

知識同士がつながることで、「思い出せる知識」に変わるからです。

これは法律だけではありません。
数学であれば公式がなぜ成り立つのかを理解すること。
英語であれば文法のルールや語順の意味を理解すること。
歴史であれば出来事の背景や因果関係を理解すること。

どの教科でも、「なぜそうなるのか」を理解した人ほど、知識を長く、そして深く身につけることができます。

理解とは、単に暗記を減らす技術ではありません。
知識を点ではなく線で結び、さらに線を面へと広げていく学び方です。

だからこそ、勉強時間をむやみに増やさなくても、効率よく学べるようになるのです。

「すべてを覚えよう」とするのではなく、「まず理解しよう」と考える。
その意識の変化こそが、勉強時間を成果へと変える大きな分かれ道になるのです。

<第3章> 人間の集中力には限界がある

「今日は10時間勉強しよう。」
そんな目標を立てたことがある人もいるでしょう。

もちろん、試験前などには長時間勉強しなければならない日もあります。
しかし、長く机に向かっていることと、集中して学んでいることは同じではありません。

私たちの脳は、何時間も高い集中力を維持できるようにはできていません。
勉強を始めたばかりの頃は頭がよく働いていても、時間が経つにつれて疲れがたまり、集中力は少しずつ低下していきます。

すると、本を読んでいても内容が頭に入らなかったり、同じページを何度も読み返したり、問題を解いていてもケアレスミスが増えたりします。
それでも、「まだ勉強時間が足りないから」と無理に続けてしまう人は少なくありません。

しかし、その時間は本当に学習効果の高い時間だったのでしょうか。
疲れた状態で何時間も続けるより、一度休憩を取り、頭をリフレッシュさせたほうが、結果として短い時間で多くのことを理解できる場合があります。

私自身も、通関士試験の勉強では、ただ長時間机に向かうことは意識しませんでした。
集中できるときは一気に学び、疲れてきたら思い切って休む。その代わり、勉強している時間は内容をしっかり理解することに集中しました。

「長く勉強すること」ではなく、「集中して勉強すること」を大切にしたのです。

勉強は、マラソンのように一定のペースで走り続けるものではありません。
むしろ、短距離走を何本も繰り返すようなイメージです。
私は中学時代陸上部でしたが、マラソンのような長距離は苦手で、もっぱら短距離でした。
そういう体質なのでしょう。

集中して学び、適度に休み、また集中する。
このメリハリがあるからこそ、脳は高いパフォーマンスを維持できます。

「今日は何時間勉強したか」を目標にするのではなく、「今日はどれだけ集中して理解できたか」を目標にしてみてください。
その小さな意識の変化が、勉強の効率を大きく変えてくれるはずです。

<第4章> 睡眠は勉強時間の一部である

「試験が近いから、今日は夜遅くまで勉強しよう。」
そう考えた経験がある人は多いのではないでしょうか。

確かに、勉強時間を増やせば、その分だけ知識が増えるように思えます。
しかし、睡眠時間を削ってまで勉強することが、本当に効率の良い学習法とは限りません。

実は、私たちの脳は眠っている間にも働いています。
日中に学んだことを整理し、必要な情報を長く記憶として残せるようにまとめているのです。

つまり、睡眠は勉強を中断している時間ではありません。
学んだことを定着させるための大切な時間なのです。

反対に、睡眠不足の状態では集中力が低下し、新しいことを理解する力も弱くなります。
昨日は理解できた問題なのに、今日はなぜか解けない。
文章を読んでも内容が頭に入ってこない。

そんな経験がある人は、睡眠不足が原因だったのかもしれません。

私が通関士試験を勉強していたときも、睡眠時間はできるだけ確保するようにしていました。
夜遅くまで無理をして勉強を続けるよりも、その日はしっかり眠り、翌朝にもう一度復習するほうが、内容がよく頭に入ることを何度も経験したからです。

「頑張る人ほど睡眠を削る」という考え方がありますが、本当はその逆です。

成果を出す人ほど、脳が最も力を発揮できる状態を大切にしています。
睡眠を十分にとることは、決して怠けていることではありません。
むしろ、効率よく学ぶための積極的な戦略なのです。

勉強は、机に向かっている時間だけで決まるものではありません。
理解し、集中し、そして眠る。
この一連の流れがあって初めて、知識は自分のものになっていきます。

「睡眠時間を削って勉強する」のではなく、「睡眠を味方につけて勉強する」。
その発想の転換が、学習効率を大きく変えてくれるでしょう。

<第5章> 翌朝の復習が記憶を定着させる

では、理解し、集中して勉強し、十分な睡眠をとった後は、何をすればよいのでしょうか。

私がおすすめしたいのは、翌朝に短時間でも復習することです。

勉強というと、「新しいことをどんどん覚える」ことばかりに意識が向きがちです。
しかし、本当に大切なのは、覚えたことを自分の知識として定着させることです。
そのために効果的なのが、翌朝の復習です。

私は通関士試験の勉強をしていた頃、夜に学んだ内容を翌朝もう一度確認するようにしていました。
すると、不思議なことに、前日の夜よりも内容が理解しやすくなっていることが何度もありました。

前日は難しく感じた条文の意味がすんなり理解できたり、問題の解き方が自然と思い出せたりすることも少なくありませんでした。

これは特別な才能ではありません。
睡眠によって整理された記憶を、もう一度思い出すことで、知識がさらに強く定着するからです。

また、翌朝の復習にはもう一つ大きなメリットがあります。
それは、「自分が理解したつもりになっていた部分」が分かることです。

夜には「覚えた」と思っていても、翌朝に説明しようとして思い出せなければ、それはまだ十分に理解できていないということです。
逆に、自分の言葉で説明できるのであれば、その知識は確実に身についています。

つまり、復習とは単に読み返すことではありません。
「思い出す」「説明する」「理解を確かめる」ことが、本当の復習なのです。

私がおすすめする学習の流れは、とてもシンプルです。

↓*1日目の夜に、新しい内容を理解する。
↓*その日は無理をせず、十分な睡眠をとる。
↓*そして翌朝、短時間で構わないので、前日に学んだ内容を思い出しながら復習する。

このサイクルを繰り返すだけで、知識は少しずつ確実に積み重なっていきます。

勉強ができる人は、特別な才能を持っているわけではありません。
脳の仕組みに合った学び方を続けているだけなのです。

長時間勉強することよりも、理解し、眠り、翌朝に復習する。
この習慣こそが、効率よく学び、一生忘れにくい知識をつくる第一歩になるのです。

<おわりに>

「勉強時間が長い人ほど成績が伸びる。」
多くの人が当たり前のように信じているこの考え方は、必ずしも正しいとは言えません。

もちろん、知識を身につけるためには一定の勉強時間は必要です。
しかし、本当に大切なのは、何時間勉強したかではなく、その時間をどれだけ有効に使えたかです。

*理解しながら学ぶ。
*集中できる時間にしっかり学ぶ。
*十分な睡眠をとる。
*そして翌朝に復習して記憶を定着させる。

こうした学習の積み重ねが、知識を「覚えたもの」から「使えるもの」へと変えてくれます。

私自身、通関士試験に挑戦したときも、「長時間勉強すること」より、「理解して学ぶこと」を大切にしました。
その結果、法律の条文が一つひとつ独立した知識ではなく、目的や趣旨でつながった知識となり、短期間でも効率よく学ぶことができました。

勉強は、努力の量だけで決まるものではありません。
正しい方法で努力することが、成果への近道になります。

このシリーズでは、「学校では教えてくれない学び方」をテーマに、誰でも実践できる理解型学習をお伝えしています。

勉強は才能ではなく、学び方で大きく変わります。
もしこれまで、「長時間勉強しているのに成績が伸びない」と悩んできたのであれば、今日からは勉強時間だけを追いかけるのではなく、「どれだけ理解できたか」を意識してみてください。

その小さな意識の変化が、これからの学びを大きく変えてくれるはずです。
次回は、「勉強ができる人の共通点」をテーマに、成績が伸びる人が共通して身につけている考え方や学習習慣について解説します。

才能や特別な能力ではなく、誰でも今日から実践できる「伸びる人の学び方」を、一緒に見ていきましょう。
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