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🦋メイ&カレン02|はじめての来客

昼下がりの午後。
アパートの前に、ひとつの人影があった。
メイだ。

「確か、この辺だったよね」

少し立ち止まり、周囲を見渡す。

風に揺れた手提げ袋が、かさりと音を立てた。
袋の中には可愛くラッピングされたクッキー。

「居るかな……」

そうつぶやいて、ドアをノックする。

コンコン。

少し間があって、ガチャリと扉が開いた。

「あら!まあ!メイさん!」

お嬢様の顔が、ぱっと明るくなる。

「お久しぶりですわ」

メイは少し照れたように笑う。

「元気してた?
近くまで来たからさ、寄ってみた」

「もちろんですわ。どうぞ」

靴を脱ぎ、部屋に入る。
その瞬間、メイの足が止まった。

ダンボール。
シンク。
床。

「……あちゃー」

「あの……今、ちょっと立て込んでおりまして」

お嬢様は視線を少し逸らす。

「うん。見ればわかる」

メイはくすっと笑った。

「大丈夫。うちといい勝負だから」

「えっ」

「むしろ、うちの方がひどい日あるし」

メイは部屋を見回す。

「座れる場所、ある?」

「あ、こちらなら……!」

ダンボールをどけて、ようやく腰を下ろす。

「一人暮らしってさ。
気抜くと、すぐこうなるよね」

「本当に……。屋敷にいた頃は、考えたこともありませんでしたわ」

メイは思い出したように袋を差し出す。

「あっ、そうだ、これお土産」

「まあ……!なんて可愛らしいクッキー」

お嬢様は、ぱっと顔をほころばせる。

「今、紅茶を淹れますわ」

しばらくして、温かいカップが二つ並ぶ。
クッキーをひとつ。それから紅茶をひとくち。
午後の光が、部屋にゆっくり広がる。

お嬢様は、クッキーの包みを眺めながら
ぽつりと言った。

「……こんなにかわいいお菓子。
今度はお店にも行ってみたいですわね」

メイは一瞬きょとんとして、すぐに笑った。

「いいじゃん!今度一緒に見に行こ。ついでにカフェとかさ」

「まぁっ!嬉しいですわ。ぜひ」

メイはカップを置いた。

「あのさ、また遊びに来てもいい?」

お嬢様は迷わずうなずく。

「もちろんですわ」

メイは立ち上がる。

「じゃ、とりあえず次はカフェだね」

「ええ。楽しみですわ」

扉が閉まる。

テーブルの上には、包み紙と空のカップ。
お嬢様は、そっと包み紙に手を触れた。

「……ふふ」

小さく、笑みがこぼれる。

部屋は、さっきより少し静かで、少しだけ明るくなっていた。


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