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🦋メイ&カレン01|メイのちょっと得した日

メイの部屋には、相変わらず服や
未開封の雑貨が散らかっている。

でも、レシートだけは違った。
家計講座に参加し、透明な袋に入れるように
してから、床に増えなくなったのだ。

「……あれ? これ、家計のためっていうより、部屋の治安が守られてない?」

「一石二鳥じゃん!」

メイは袋を軽く抱え、
ちょっと得した気分になる。

その日の週末。

「マダム〜、最近前より散らからなくなったんです。レシート大作戦のおかげかも!」

マダムは穏やかに微笑んだ。

「いい変化ざます。家計は数字だけではなく、
生活動線の問題ざますから」

メイは笑顔でうなずいた。



家計講座に参加するようになってから、
メイの暮らしは少しだけ変わっていた。

レシートを集める生活が、習慣となりつつあったこの頃──

久しぶりに街を歩いていたら、
たまたま可愛いお店を見つけた。

ガラス張りの小さな店で、棚には色とりどりの焼き菓子。クッキーも、ケーキも、
全部、ちょっとどころじゃなく可愛い。

「……なにここ!」

メイは足を止めて、そのまま吸い寄せられるように中へ入った。

甘い匂い。やわらかい照明。
木の棚に並ぶクッキーは、
ひとつひとつ丁寧に包まれている。

(え、待って)
(かわいすぎない?)

気づけばスマホを取り出していた。

ピカピカのショーケース。
ぎゅっと並んだお菓子と、
ガラスの中で、やさしく溶ける色。

角度を変えては、ぱしゃり。
もう一枚、ぱしゃり。

「これはさすがに……映えすぎでしょ!」

満足したところで、ようやく値札に目がいく。

「……あ、ちょっとお高い」

そう思ったのに、
なぜかすぐには店を出られなかった。

一歩前に出て、また一歩戻る。
それを何度か繰り返し、
迷った末に、一番小さな袋に目を留めた。

「まあ、最近頑張ってるし。これくらいなら…」

会計を済ませ、レシートを財布にしまう。

店を出る前に、買ったばかりの袋を手に、もう一枚だけパシャリ。

「かわいすぎる♡」

袋を持ち直し、
ほんの少しだけ立ち止まって考える。

「でもこれ……一人で食べるのは、
ちょっともったいないかも」

(どうせなら、誰かと)

店の外に出ると、午後の光が
街をやわらかく染めている。

「あっ!そうだ。久しぶりに顔見に行っちゃお」

そうつぶやいて、来た道とは違う方向へ歩き出した。


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