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17.木の実は、明日の分も落ちている

森に暖かな日差しが差し込む。
草の上には、ころころと木の実。
昨日の風が落としていった、小さなごちそう。

モコはしゃがみこみ、
カゴに木の実を集めていた。

「これ、おいしいモコ!」

ひとつ拾って、かじる。
またひとつ拾って、かじる。
拾っては食べ、拾っては食べ。

その様子を、少し離れた木陰から、
マダム・ザマスが見ていた。
日傘をくるりと回しながら、ゆっくり近づく。

「……モコ」

「ザマスー!」
モコは口いっぱいのまま手を振る。

「その木の実、全部食べたらどうなるざます?」

モコはきょとんとする。

「えっと……なくなるモコ?」

「そうざます」

マダムは草の上にしゃがみ、
ひとつ木の実を拾う。

「森の実は、“今日の分”と“明日の分”が
混ざっているざます」

モコは手を止める。

「……?」

「全部食べたら、今日のお腹は満たされる。
でも明日の自分は少し困るざます」

「でも、お腹すいたら食べたいモコ……」

「それも正しいざます」

モコはしばらく木の実を見つめていた。

風が吹く。
またひとつ、木の実がころんと落ちた。

モコはそれを拾い、少し考えてからカゴに入れる。もう一つもカゴへ。
そして最後の一つだけを口に入れた。

もぐもぐ。

「……おいしいモコ」

マダムは微笑む。

「森は奪わなければ、だいたい足りるざます」

モコも小さくうなずき、
もう一度カゴを見る。

「こっちは、だいじに取っておくモコ」

マダムはゆっくり立ち上がり、
日傘をくるりと回した。

「それが“備える”ということ。
明日の分を残せる人は、困らないざますから」

#モコ森
#マダム・ザマス




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