#311 エンジニアリングマネージャーが大切にする"スモールジャイアントの考え方"
2025年7月のジブン株式会社ビジネススクールのテーマは「スモールジャイアント」です。
「スモールジャイアント」とは、大きくなることよりも、自分たちが本当に大切にしたい価値にこだわり抜く企業の姿勢。
売上や人数の拡大ではなく、エンジニアとして何を大切にし、どう働くか。自分にとってとても腑に落ちる考え方でした。
今回は私にとっての規模よりも大切なことについて考えます。
理想を信じて、ここまできた
今、私が勤めている会社には、「エンジニアがリスペクトされるフェアな世界をつくる」という価値観があります。
システム開発の現場において偏りがちな、単なる工数ビジネスではなく、エンジニア自身が価値あるものをつくり、顧客と対等に向き合い、フェアな関係を築いていく。
私もその理念に共感し、ずっとこの環境で努力してきました。
規模の拡大も、その価値観を社会に広げるための手段として必要なことだと思っています。
一人のエンジニアとして、より大きな課題を解決できるようになりたくて、要件定義や設計や実装の力を磨いてきました。
そしてマネージャーとしても、チームを導き、プロジェクト全体を支えられるようになりたいと考え、成長してきました。
だから、「拡大を目指すこと」自体に疑問を感じているわけではありません。
ただ、今の組織で起きているのは、「価値の追求のための拡大」ではなく、「拡大のための拡大」になっているという違和感を、最近とても強く感じています。数字、目標、売上、成長率、それらを追うことが目的化し、かつて共有していたはずの価値観が、組織の隅々まで届かなくなっていると。
マネジメントで見える景色
私は今、マネージャーとして、各メンバーにプロジェクトを任せる立場にあります。かつてのように手を動かして直接サポートするのではなく、「プロセスの整備」や「価値観のすり合わせ」を通じて、チームが自走できる仕組み作りに力を入れています。
でも正直に言うと、これは今の会社の中では少数派です。
成果や数字、スピードを重視する空気の中で、プロセスや関係性に向き合う時間は、どうしても軽視されがちです。
それでも私は、このやり方を大切にしたいと思っています。
どう進むか、どんなやり方をするか。そのプロセスにこだわることが、本当に価値のあるものを提供できるチーム作りに繋がると信じているからです。
サッカーで気づいた自分の価値観
私は趣味でサッカーをしています。ゴールや勝敗ももちろん大事ですが、それ以上に私が楽しいと感じるのは、チームで戦術や意図を共有しながら、プレーを組み立てていくことです。
「このタイミングでのポジションに合わせてパスを出して」
「この局面では中盤に厚みを持たせよう」
そういったプレーイメージを、仲間とすり合わせながら共通認識を作り、狙い通りのプレーが実現できたときの快感は何物にも代えがたいものです。
振り返ってみると、私がエンジニアとして、マネージャーとして大切にしている価値観は、まさにこれでした。
「チームで意図を共有し、狙いを持って動くこと」。
自分にとってのスモールジャイアント
だから、私にとってのスモールジャイアントとは、「小さくあること」ではありません。
たとえ規模が大きくなっても、自分たちが信じる価値ややり方を手放さず、誠実に、地に足をつけて、丁寧に価値を届けようとする姿勢のことだと思っています。
エンジニアが自ら考え、顧客と向き合い、つくり、チームとして意思を持って動いていく。そんな働き方が、私にとって大きな意味があります。
なぜなら、これまでに私が開発してきた良かったと思えたシステムは、顧客とコミュニケーションを積み重ね、「何のために何を作るか」を一緒に考えて作ったものだからです。
顧客と対等な立場で一緒により良いものを作っていくことこそ、エンジニアがリスペクトされるフェアな世界の実現のための一歩だと実感しています。
たとえそれが今の会社の中では少数派でも、やり方が正しく伝わらなくても、信じているものは曲げずにいたいと思っています。
プロセスや関係性、価値観のすり合わせを大切にし、売上やKPIと同じように、文化や信頼も「資産」だと考え、見えにくいものを見えるようにする。
それが、私が目指すマネジメントであり、エンジニアリングです。
組織の中で、信じることを続ける
会社は成長し、上場し、組織が大きくなりました。
それと引き換えに、かつてあったはずの「想い」や「価値観」が薄れていくのを感じる場面も増えています。
でも私は、ただのノスタルジーとして片づけず、今日も1on1や振り返りの場で、価値観を伝えています。それが、スモールジャイアントの実現に近づくと信じているからです。
たとえ全体をすぐに変えられなくても、自分のチームから始めることはできる。
日々の会話の中で、設計レビューの中で、評価の中で、小さな実践を重ねていくことで価値観を共有し、スモールジャイアント的な在り方を体現することは出来る。それができる仲間を少しずつ増やしていけば、価値観はまた広がっていくと信じています。
おわりに
スモールジャイアントという言葉を聞いたとき、胸が少しざわつきました。
「自分が大事にしてきたことは、これだった」と改めて振り返るきっかけになりました。
「売上」や「拡大」ももちろん大切です。
でも、「どうやって」「誰と」「何のために」進むのかを見失ってはいけない。
これからも私は、エンジニアとして、マネージャーとして、チームプレイヤーとして、信じる価値を問い直しながら進んでいきます。
たとえそれが目立たなくても、すぐに評価されなくても、自分にとってのスモールジャイアントであり続けようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、また!
