#15 幸せな結婚とシステム開発の共通点
結婚と受託のシステム開発は似ていると思うことがあります。
提案依頼書をベンダー(システム会社)に送り提案内容を見てベンダーの一つに発注してプロジェクトを実行することを、気になる相手に声をかけお付き合いを申し込みプロポーズして結婚生活を始めることになぞらえたりします。
お金を払ってベンダーにシステムを作ってもらうので発注者と提供者の関係ではありますが、システム開発は「等価な価値を交換する取引」ではなく「両者で共に創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」にあたります。
ちなみに、共同プロジェクト型の取引とは医療などが挙げられます。
医者は専門知識や技術の提供者であり「稼ぐ人」です。
一方の患者は、病気やケガを治すため、医者にお金を払います。
しかしそれは患者が「健康をください」と言ってお金を払い、
医者が「はい、2万円です」といって健康を渡すような、
等価値交換型の取引ではありません。
患者は自分の体の状況をコト細かに説明し、
医者は問診をしたり検査をして病状を判断
薬を出したり手術をしたりします。
しかし「医者は専門家なのだから、患者が情報提供をしなくても病状を理解できるはずだ」などと言って、自分の生活習慣や症状を正直に話さなければ、医者であっても正しい診断はできません。
夫婦が互いに協力し合った先に幸せな生活がある結婚も共同プロジェクトと言えます。
同様にシステム開発も互いの協力が必要であり、発注元は実現したいことを詳細に提示し、意見を出し、一緒に考え、積極的に動いていく必要があります。
しかし実態として発注者は現場やシステムに関する知識が不十分で「わからないけどいい感じにして」と丸投げしたり、責任を取りたくないからと判断を避けたり、運用に入っても「わからないから教えて」と学習する気すらなかったりします。
「メシ、風呂、寝る」で家事も育児もしないパートナーと幸せな生活を送るのが難しいのと同様です。
そんなダメパートナーとの生活が始まるかもしれないリスクに備えるために「ウォータフォール開発」という開発手法があります。
ウォーターフォール(Waterfall)は英語で「滝」を意味します。 その言葉通り滝のように上から下へ、つまり上流工程から下流工程へと順番に開発が進められていく開発手法です。
上流で要件(作るもの)を確定し、下流で実際に作るという順番で進め、下流では要件の変更は基本的には認めません。
先に要件を出し切らないと後で困るのは発注元であることを明示し、発注元の協力を引き出すことにこの開発手法の価値があります。
「毎月ディナーに出かける」「毎年記念日に旅行に行く」のようにあらかじめ結婚の条件を合意するようなイメージでしょうか。
しかし、ダメなパートナーは後になってごねてきます。
上流で決めたことを破っているという事実を盾に交渉を進めやすくなることはあっても、ウォーターフォールで進めることはプロジェクトがうまく直接の要因にはなりません。
つまり結局は良い結婚生活・システム開発のいずれにおいても重要なのは、互いに幸せな状態を目指して協力し合うことです。
システム提供者としては、後で困るのはそっちですよというスタンスでなく、一緒に良いものを作ろうと顧客の協力を引き出していけると幸せな未来を作れるかと思います。
