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#13【Taiwan scape】隈研吾×海を渡った4900枚の日本ヒノキ / 逢甲大学共善樓

台中緑美図、秋紅谷公園を訪れた台中一泊旅行

帰路へ向けて車を運転中、脇に気になる建築が。
なんだか隈研吾建築の匂いがする建築だなあっと思って、車を止める。
Googleで調べてみると逢甲大学の新しい建築棟の「共善樓」だった。

道路から見ても、傾斜が重なり合うそのフォルムは特殊だ

え、本当に隈研吾氏の設計ではないか。
しかも2025年2月に開館したばかり。これは見に行かない手はない。
ということでちょっと拝見。


1)建築そのものを地形に


歩いて近づいていくと、直線的な地形の造形と建築が融合し、一体的にデザインされているのが、まず印象的だ。

車を運転していて目にとまったのも、この傾斜する屋根の重なりの美しさだ。建築のレベルが地下レベルまで落ち込むことで、この変化はより豊かになり、グランドスケープとより一体感が出ている

地下へ潜っていくような大きなスロープ
スロープの左手 大階段から見下ろす
スロープ脇の収まり

ただ、前に別の記事でも書いたが、建築やランドスケープを地下レベルまで下げることには、それなりのリスクがある。

特に最近急な豪雨に見舞われることが多い台灣では、その排水の処理に注意が必要だろう。

排水と植栽の収まり
スロープ最下部 一部排水がうまくいっていないのか


それにしても、この屋根の重なり。
空へ向けて伸びていくような感じ、台中の青空を背景に美しい。やはり個人的はかなり好きだ。

大学のキャンパス側から見る

2)強烈な水平への伸び感


キャンパス自体は非常にオープンで一般人でも入ってくることができる。共善樓についても同じで、非常にオープンな設計になっている。(もちろん建物の中までは自由には入れないと思う。今回は旧正月中なので、建物の中は施錠がされていた。)

自由に入ってこれるオープンスペース
室内はガラス越しに見ることしかできなかった

そんなオープンな雰囲気をより強めているのが、伸びやかな屋根と屋根ルーバー、そしてグランドレベルの大スロープ空間だ。

建築の真ん中を通るようにしてL型の大スロープが続く。そのうち比較的緩い方は、屋根の一直線に対して、スロープの傾斜が段階的に変化しており、より空間の奥行き感と上昇感が強調されている

スロープ勾配が段階的に変化している、たまらないデザイン
屋根ラインが大学内の樹林の緑を斜めに切り取る
立ち上がった台地が空へ向かっていく

3)垂直ルーバーと水平ルーバーの共演


建築の立面において垂直ルーバーが作り出す表情が特徴的だが、それ以外に日射をコントロールするために屋根から張り出した部分に水平ルーバーが採用されている。そのルーバーが地面や立面に落とす影が織りなす交錯がまた美しい。

水平ルーバーが地面に落とす影
垂直ルーバーとの共演

4)日本産ヒノキで作った4900枚のルーバー


建物の外装には 4,900枚もの檜ルーバーが設置されており、そのディテールは3,400以上の異なる仕様サイズで構成されているらしい。

設計段階で素材の選定において 「デザインと質感、耐候性、細かな加工性」 が重視され、台湾の木材でなく、日本ヒノキが採用されたとのこと。

木材と恐らくアルミパネルの組み合わせの変化
ルーバーのディテール-1
一面は木目調のアルミパネル
もう一面に日本ヒノキ材


5)まとめ ーバリエーションの鬼ー


やはり隈研吾氏の設計で圧倒されるのは、ルーバーに代表される、その異なるディテールバリエーションから紡ぎ出される建築立面の独自性だ。そして、それによってもたらされる建築の内と外との透過性の魅力だ。
ただ、今回は建築内部に入ることはできず、その空間体験をすることはできなかったのが残念。

道路側にはV字型平面の大きなグリーンエリア 室内からこの空間はどのように感じられるのか
厚み20mm
別のルーバーのディテール

ただ、日差しが強く、湿気の多い台灣で、20mmのヒノキ材のルーバー、大丈夫だろうかとやはり少し不安になる。

無理に探したわけではないが、屋根の排水の処理がうまくいっていないのか、そこから水が漏れて、ルーバー木材に影響が出ているところがあった。

恐らく屋根部分からの水漏れ

ただ、そういう特殊な状況の箇所以外は、今のところルーバー木材の状況は比較的良好で、木材らしい経年変化がはじまりかけているところだ。

東西南北の向きや雨に当たりやすいかどうかで、その経年変化の違いが出て、美しいグラデーションが表れる様子を楽しみにしたい。

また「そういう木材の経年変化の美しさ」というものが、台灣でどのように受け入れられるかも気になるところである。今後、注目したい。

(2026年2月記)


プロジェクト概要▼

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逢甲大学の共善樓は、台中市水湳経貿園区に位置するキャンパス施設で、教育と交流の新たな中心拠点として建設された。講堂、大ホール、多機能室、教室、国際学院・EMBA用空間を備え、教育機能と共に市民や学生の交流を促す開放的な公共空間も整備されている。
 
規模:地上2階、延べ床面積約14,677㎡
設計:隈研吾
時期:2022年7月に着工、2025年2月に完成
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追記:周辺おやすみスポット

Les aqua 水相餐聚苑

妻が予約してくれたレストラン。

建物は5階建てで、レストランエリアは1~3階まで。
各フロアは決して広くはないが、それによって親密感やプライベート感があり、各フロア異なった配置がされており、丁寧にデザインされた空間が心地よい。毎回どのフロアで食事をするのかで異なった雰囲気を楽しめる。

曲線と白いメッシュが特徴的だ
エントランス
受付のカウンター 基本予約でいっぱいのよう
一階席 屋外テラス席もある
2階席 客席は3階まである
各階フロアそこまで大きくはないが、それが心地よい
料理は間違いなしです!


台中に寄った際には、行ってみてください。ただし予約してから行くことをお勧めします。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


SANAA台湾初上陸、台中緑美図の記事です▼


10年越しの再訪、秋紅谷公園の記事です▼


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