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まだまだ知られていない台湾デザイン SANAA台湾初上陸【Taiwan scape ⑧】    台中緑美圖

旧正月の連休はじめ、台中一泊旅行へ。
公共建築ではSANAA初設計といわれる台中緑美圖へ行ってきた。
2025年12月にオープンしたばかりだ。

中央公園の中から かなり遠方から眺める
2025年12月にオープンしたばかり! 道路側から眺める


1)美術館×図書館!稀有なプログラ厶


まず、なんといっても美術館と図書館という二つの機能を一体化したプログラムがこの建築の特徴だ。美と知の統合、ありそうでなかった組み合わせ。

解決策として、いくつかのボリュームを組み合せ、その間をシームレスに移動できるという設計提案がとられている。そして、それがこの建築の外観的にも空間的にも大きな特徴のひとつになっている

それぞれに表情が異なるボリュームの組合せ


地下駐車場からアクセスすると、まず緑美圖ロビーと称された半屋外の大空間に出る。大きな水盤が設置されてあり、脇に円形状のインフォメーションセンターが見える。このロビーを中心として片方に美術館ロビー、もう片方に図書館へのエスカレーターが配置されている。

これは、どちらに先に行くか迷う…

地下駐車場からエレベーターで一階へ
緑美圖ロビー
ロビーの大きな水盤が来訪者を迎える
緑美圖ロビーを介して美術館と図書館へアクセスできる


2)「移動」の劇場化


美術館機能として5つある展示室がそれぞれに独立した空間のように扱われているのが面白い。そして、この5つの展示室、図書館の各閲覧室、屋上テラスの間を内部階段やスロープ、外階段、ブリッジなど、さまざまな形で「移動」をすることになる。この意図的に作り出された「距離」が、この建築の醍醐味だとも言えるかもしれない。
 
平行移動の通路、ブリッジは建築の規模に対して幅が狭く、「渡る」浮遊感と緊張感が強調される。

美術館2階から図書館へ続く浮遊感のある通路
外階段 シンボリックだ
図書館から「文化の森」へ続くブリッジ  二人並べばいっぱいの幅
写真上部 美術館から左手の「文化の森」へ続くブリッジ


上下移動では、階段は少し不親切さを感じるほどに急だ。階段を上がるというより、少し「登っていく」感覚に近い。これもあえて「距離」を感じさせるための設計なのだろうか。美術館のメインロビーをはじめとして多く採用されている螺旋型のスロープや階段は、まさにその「登っていく」行為を象徴的に視覚化しているようにも思える。

美術館のメインロビーの螺旋型のスロープ


青少年閲覧室への螺旋階段
美術館側の断面マップ
図書館側の断面マップ


この移動空間が立体的に絡み合う。
下を、上を、向かい側を「移動している人の姿」がついつい目に入ってくる。視線間で交錯することで空間が劇場化して、まるでひとつの大きな舞台装置のようだ。

立体的に交差する「移動」空間
見上げたり、下をのぞいたり
劇場化する空間
まるでひとつの大きな舞台装置だ
観察を促すような遊び心も
ついつい向かい側を移動する人の姿が目につく

3)水、風、光、緑


この建築を通して感じた自然要素で印象的だったものがいくつかある。
 
まず最初に一階の緑美圖ロビーの薄い大水盤
薄い鉄板でつくられた浅い器のような水盤は半屋外ロビー空間に対して十分すぎるほどに大きく、圧巻である。

十分すぎるほど大きな水盤


一番心地よく感じたのは、ロビー外の半屋外空間を抜ける風だ。
重要な建築空間の多くはピロティで持ち上げられ1階レベルはかなりのスペースが半屋外空間になっており、360度様々な方向にアクセスが開かれている。特に公園に面する方向からは心地よい風が抜ける。

公園の方から心地よい風が抜ける


 
美しいのは、ずらして配置された各ボリュームの間に落ちる光
時間によって変わる光の方向と強さ、それに建築を覆うメッシュなどの外皮の影が重なって、独特の表情を見せてくれる。

メッシュの影 独特の表情
異なる外皮が異なる影を落とす
まさに光のオブジェとでもいうべきか


最後に、屋上テラス「文化の森」まで登ると、強烈な空の存在感が迎えてくれる。少し視線を下ろすと、メッシュを通して遠くまで広がる公園の緑。
それは点画のような、印象派の絵のような淡いあいまいな緑だ。

強烈な空の存在感
「文化の森」
印象派の絵のように淡い公園の緑

メッシュのディテールの一つ

4)ベールを介したランドスケープ


現地で実際に感じた印象としては、ランドスケープとつながるというより、外の空気とつながるという感覚だろうか。
そこには物理的にも心理的にも、ひとつのベール(被膜)がかかっていて、その被膜を介して、水、光、空、緑といった自然要素が感じられる。

それが心地よい。

ベールをまとったやさしさが心地よい


 一方で一階レベルでは建築がダイレクトに周辺のランドスケープと向き合わざるを得ず、その不調和を感じずにはいられなかった。

それは建築のボリューム、端正さに対してのランドスケープの貧弱さ、乱雑さともいえる。公園全体は広大で豊かな設計がされているのだが、この建築と直接関わる部分に限定して見ると、明らかに大らかさ、厚みが足りない。

ランドスケープで出来ることはまだまだありそうだ…
ランドスケープの貧弱さが否めない…
ここになぜこの遊具なのか…
配置、素材、色など雑多感が…

ランドスケープアーキテクトがチームに入っていなかったのか、予算が足りなかったのか。考えられるさまざまな原因や事情が次々と想像できる。これだけの大プロジェクト、関係者の苦労を考えると頭が上がらないが、やはりちょっと残念だ。


逆に、建築が誘発した公園利用の変化もある。

要因は、分節されているとはいえ大きなボリュームであるこの建築がつくる陰だ。台中は一年を通して天気がよく、それゆえに日中は暑い。緑美圖が落とす巨大な影の下、周辺の芝生でレジャーシートを引いて自由に過ごす人の姿が多く見られた。こういう光景が建築空間の中にまで浸透してくると、さらに面白い風景が立ち上がってくるかもしれない。

建築の影を利用してくつろぐ人々
日向と日陰の過ごしやすさの差は明確だ


5)建築にランドスケープを引き込む


緑美圖では建築の内から見たときに、周辺のランドスケープをどのように「建築の方に引き込んでくる」か、それが周到に考えられていると感じた。

一方で「ランドスケープに建築を引きこむ」という全く異なるアプローチで設計された美術館が台湾の宜蘭にある。田中央聯合建築師事務所(Fieldoffice Architects )が設計した羅東文化工場だ。似ているようで全く異なるこの二つの建築の半屋外空間の扱いの対比は面白い

違いは2つ。
一つめは「規模と高さの違い」だ。
緑美圖は異なる大きさや高さの半屋外空間が重なりあい、とにかく変化が豊かだ。中を歩いていてわくわくし、美しい。天井の低い場所は落ち着いた空間になる。より建築的な印象を受け、周辺のランドスケープへの開き方も、このボリュームによってある程度制御されているのが特徴だ。
一方、文化工場は約90m×54m、高さ18mの巨大な大屋根がひとつ。周辺のランドスケープには完全にオープンで、それを大らかに受け止める。中にいると一瞬屋根の下にいることを忘れ、意識の中で建築の存在感は溶けてなくなる感じだ。

緑美圖の半屋外空間 非常に変化が豊かだ
半屋外空間の中に配置されたカフェが滞留空間となる


 
もう一つは半屋外の「配置と動線の関係」である。

緑美圖の半屋外空間は基本的に美術館及び図書館へのアクセス動線上にある。非常に合理的で、訪れる人たちの賑わいが感じられる。自由に使うには少し躊躇してしまう敷居があるが、建築に絡む利用を誘発する潜在力が高い。将来的には関連するマルシェなども開催可能だろう。
文化工場の大屋根空間は美術館のメインアクセスとは独立していて、むしろ公園側へのつながりを重点においている。

この違いが生むのは「開放性」「自由度」の差だ。文化工場は美術館に人が溢れるようなときでも、逆に美術館が閉じているときでも自由に人が出入りし、そこで滞留し、自由に使うことができる。そういう空気感がある。実際の使われ方もまさに公園のようである。一方、緑美圖は利用の仕方をある程度制御することで、空間の品格を保つことができる。

緑美圖 公園から半屋外空間を経て各建築のエントランスに誘導される
メイン動線を兼ねるため美術館や図書館に関するイベント開催にもってこいだ


台湾人の「使いたおす」姿勢は日本人に比べてずっと積極的だ。緑美圖は今オープンして2か月程度だが、時間を経て、この空間に「敷居を超えて」浸食がどんどん進んでいくだろうことは容易に想像できる。イベント的に常態的にこの半屋外空間が今後どう使われていくのか楽しみだ。

翌日、図書館は休館  「浸食」の種がすでに

6)まとめ ―大きな器―


振り返ってみて、緑美圖の印象を一言で表そうとして考えてみたところ、
頭に浮かんできたキーワードは「大きな器」だ。

今回行われていた展示自体も並々ならぬ意欲を感じ、魅力的だった。
ただ、その器の大きさに対すると、中身はまだついていっていないように感じたのも事実だ。もちろんそれを余白と捉えることもできる。

それだけ「この器」は大きく、多くの余力があり、これからの展開にわくわくさせられる。

美術館 展示室A
美術館 展示室C
美術館 展示室E


図書館 5F閲覧室
図書館 5F閲覧室から螺旋階段で6Fへ登れる
図書館ロビー
透明の壁に囲われたエリア
通気口と一体となったディテール もう唸るしかない
図書館メディアエリア
図書館 青少年閲覧エリア
図書館 児童閲覧エリア


公園、ランドスケープは季節が変わり、緑が大きくなり、時間をかけて自然に育っていくと言える。もちろんどう育っていくかは、その「手入れ」によって大きく変わる。大きな「器」の建築である緑美圖自体は、ランドスケープのように自然に育っていくことはない。建築ハードとしては完成と同時に劣化が進んでいくことからは免れられない。台湾の厳しい気候や台中のスモッグへの指摘も聞くが、それは設計段階で十分に検討されているだろう。

公園に対して一番いい位置に設置されたカフェ
カフェから公園を望む これぐらいの大らかさが欲しい



それ以上に、ハード、ソフトの両面で、その「手入れ」によって、この場所がこれからどう育っていくのか、この大きな器にどのような料理が盛られていくのか、それが楽しみでわくわくせざるを得ない。
そう強く感じさせる建築だ。

中央公園の中、緑美圖から近くの丘で行われていた屋外イベント


プロジェクト概要▼

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台中緑美圖は、台湾・台中市の水湳経貿園区中央公園内に整備された、美術館と図書館を融合させた大規模複合文化施設である。市立美術館と総合図書館を同時に整備するという都市文化政策のもと、国際コンペを経て計画。
設計コンセプトは「公園の中の図書館、森林の中の美術館」。建築は複数のボリュームが緩やかに連なり、ガラスを多用した透明性の高い外観によって、公園の緑や自然光を内部へ取り込む構成となっている。美術展示空間と閲覧空間は明確に分断されず、回遊性の高い動線の中で交差する。知と芸術が相互に触発し合う場を創出する点が最大の特徴であり、自然環境と都市文化を結び直す新しい公共建築のモデルとして位置づけられている。
 
規模:地下2階、地上7階建て、延床面積約 58,016㎡
設計:SANAAが中心となり、台湾側の建築家 劉培森事務所と協働
時期:2025年12月13日 に 正式開館
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追記:周辺おやすみスポット

食足早午餐 ー旧正月の運試しー

逢甲大学の近くにあるブランチレストラン。

今回は旧正月の休み中なので、ほとんどのお店が開いていないが、周辺には学生向けの店がたくさんあり、普段なら賑やかそうだ。

いかにも学生街のブランチレストラン。
レトロな感じ。緑も多くて、おしゃれ。

ソファの上にネコでも寝てれば100点か
中もこじんまりしていて、心地よい
いいね~、ガッツリ揚げ物スペシャル

このお店に行ったら是非、挑戦してもらいたいのが
「水浮きレモンのコイン載せ」

ルールは簡単。
水の中に浮かんだレモンの上にコインを載せて、
コインが落ちなければ成功。
コインは、1元でも10元でも50元でもなんでもよい。

成功すれば割引サービスがある。
一枚成功すれば、30%引き
二枚成功すれば、なんと50%引きに+カクテルまでついてくる!

カウンターの脇に置かれた大きなグラスにレモンが浮かぶ


これはやらない手はない。
嫁と娘に、いいところを見せなくては。
ではでは、

まず1元で失敗。火がついて10元で再チャレンジ

コインを載せると、おお、いけそう!と思ったところで、レモンは馬鹿にするようにゆったりと回り…

コインが水中下へ沈んでいく…

あとで気づく。あ、これみんな爆死した人たちのコインね


成功した人がいたら、絶対おしえてください!!
(2026年2月記)


今回も最後まで読んでいただき
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