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「脳トレをやれば大丈夫」は間違い。元認知症ケア指導管理士の作業療法士が教える、本当の認知症予防

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※youtubeでのポッドキャスト始めました。ぜひこちらも聞いていただけると幸いです。下にスクロールしてもらえるとテキスト版があります。



95歳の祖父がいる。
2年前に祖母を亡くして、今は1人暮らしだ。要支援1。それでも今でも自分で車を運転して、将棋の大会に出ている。最近は自炊にも挑戦して、ごはんを炊いたり簡単な料理を作ったりできるようになった。
もともとモノづくりが得意で、自作で神棚を昇降させる装置を作ったり、1階から屋根裏部屋までウィンチで物を運ぶ仕組みを作ったり、はんだごてで溶接をしたりと、今でも様々なことにチャレンジしている。先日は私の娘の誕生日プレゼントも用意してくれた。
この祖父を見ていて、私は確信している。
多趣味でいろいろなことにチャレンジし続けること。それが認知症予防の本質だと。


「脳トレ」だけでは足りない理由

私は作業療法士として16年働いてきた。特養での機能訓練指導員として100人近くを看取ってきた。そして以前は認知症指導管理士の資格も持っていた。
その経験から言える。
認知症予防において最も効果的なのは、単調な「脳トレ」を義務的にこなすことではない。
自分が心から楽しいと思える「意味のある活動」を通じて、自然に脳と身体を動かしている状態を作ることだ。
作業療法の世界では「意味のある作業」という概念がある。義務でやらされる活動より、自分が意味を感じてやる活動の方が、脳への刺激が圧倒的に大きい。


認知症について知っておいてほしいこと

認知症を「記憶がなくなるだけの病気」と捉えている人が多い。でもそれは大きな誤解だ。
実際には「段取りが組めなくなる(実行機能障害)」「今いる場所や時間がわからなくなる(見当識障害)」といった症状が複雑に絡み合っている。
「ご飯を食べたこと」自体を忘れてしまう。それがご本人の頭の中では「ご飯をもらっていない」というパニックや不安になる。そのパニックが周囲からは不可解に見える行動(徘徊や怒りなど)として現れる。
そしてもう一つ、重要なことがある。
記憶は忘れても、感情は残る。
「怖い思いをした」「自尊心を傷つけられた」という負の感情は、ずっと心に残る。認知症が進んでいても、周りの空気や人の態度には敏感だ。だからこそ、関わり方が大切になる。
さらに、「できないことをただ手伝う」ことは実は逆効果になることがある。自分でやる機会を奪ってしまうと脳への刺激がなくなり、認知機能や身体機能の低下(廃用症候群)を急激に早めてしまう。「どうすればその人自身の力でできるか」を考えて環境を整えることが、本当のケアだ。


科学的に効果的な認知症予防の習慣

【①デュアルタスクで歩く】
身体を動かしながら同時に頭を使う「デュアルタスク」は、脳の血流を大きく促進させる。
ただ歩くだけじゃなく、毎日少しずつ違うルートを頭の中で計画しながら歩く。ポケモンGOなどの位置情報ゲームを取り入れて、目標地点までのルートを考えながら歩く。空間認識能力を鍛えながら運動量も確保できる、理にかなった予防法だ。
いつもより歩幅を少し広めにして、早歩きのリズムを作ることも効果的だ。
【②駆け引きのある対人ゲームを楽しむ】
人とコミュニケーションを取りながら、相手の心理を読んだり論理立てて推理したりする時間は、脳の幅広いネットワークを活性化させる。
麻雀は特におすすめだ。手先を使い、周りとコミュニケーションを取りながら、常に上がりを目指しつつあがらせないようにするという柔軟な思考が求められる。世代を超えて家族と人狼ゲームや謎解きゲームを楽しむことも、高度な認知トレーニングになる。
【③手先を使ってゼロから何かを作る】
指先を繊細に使い、構想を練って形にする活動は、脳の幅広い領域を使用する。
編み物、料理、モノづくり、園芸。何でもいい。「誰かのために何かをする」「自分の作品を世に出す」という役割や目標を持つことが、意欲の低下(アパシー)を防ぐ。
【④食事と睡眠を整える】
青魚の脂(DHA・EPA)や抗酸化作用の高い緑黄色野菜を日々の食事に取り入れる。日中にしっかり活動して、夜は6〜8時間の質の良い睡眠を確保する。睡眠中に脳の老廃物が洗浄されることがわかっている。質の高い睡眠は認知症予防の基本だ。


20〜40代が今すぐできること

若いうちに脳の神経ネットワークをどれだけ複雑に太く構築できるかが、将来の鍵になる。
決まりきったルーティンだけでなく、常に新しいことや少しハードルの高い課題に挑戦すること。他者と関わり相手の心理を読み取る活動で前頭葉を刺激し続けること。
そして見落としがちなのが生活習慣病の管理だ。高血圧・糖尿病・脂質異常症は脳の細い血管を徐々に傷つけ、将来的な血管性認知症の直接的な原因となる。20〜40代はこの血管の健康状態が決まる重要な時期だ。
若い頃からの「知的好奇心を伴う趣味」と「日々の運動習慣」の積み重ねが、将来の脳を守る何よりの防具になる。


95歳の祖父が教えてくれること

冒頭に書いた祖父の話に戻る。
将棋、モノづくり、自炊、ひ孫へのプレゼント。これらはすべて「意味のある活動」だ。誰かに言われてやっているんじゃない。自分がやりたいからやっている。
それが95歳でも脳を動かし続けている理由だと私は思っている。
認知症予防に特別なことは必要ない。
好きなことを続けること。人と関わること。手を動かすこと。新しいことに挑戦すること。
それだけで、脳は応えてくれる。


作業療法士・16年目。特養勤務。元認知症指導管理士。HSP・ISFJ。95歳の祖父に毎日元気をもらっています。


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この記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。 認知症予防の本質は「脳を鍛えること」以上に、「好奇心を持ち、人との繋がりの中で生きること」にあります。

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100人近くの看取りを経験した作業療法士の視点から、最期まで自分らしく生きる人の共通点をまとめています。

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