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作業療法士が職場で3分でできる、身体のリセット術(道具なし・勤務中版)

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仕事の合間に、ストレッチポールはない。広いスペースもない。でも身体はじわじわ固まっていく。
作業療法士として16年、特養という現場で働いてきた。利用者さんのリハビリをしながら、書類を書き、多職種と連携し、HSP気質で周囲の空気を拾い続ける。気づけば夕方には身体がガチガチになっている。
でも職場にはストレッチポールはない。更衣室で横になる時間もない。
だからこそ、私は「今いる場所で、今すぐできる」リセット術を少しずつ積み上げてきた。道具もスペースも要らない。必要なのは3分と、ちょっとした知識だけだ。


なぜ「勤務中のリセット」が必要なのか
HSP気質の支援職は、身体の疲れ方が人より早い。
利用者さんの表情、職員間の空気、ミーティングでの言葉、廊下でのひそひそ話。それを全部無意識に拾い続けているから、脳も身体も午後には限界に近い。
しかも支援職は姿勢が崩れやすい。書類を書く前傾姿勢、介助時の前かがみ、長時間の立ち仕事。気づかないうちに骨盤がズレ、腰が固まり、首が前に出ている。
その積み重ねが、夕方の消耗を加速させる。
だからこそ必要なのは、崩れた身体を「その日のうちに」こまめにリセットすること。1回5分でなくていい。30秒を何度も入れる方が、ずっと効く。


①階段の段差を使った内転筋ストレッチ
タイミング:昼前・仮眠後など「疲れる前」に
階段を使うついでにやる。誰もいないことを確認してから(笑)、段差の端に片足を乗せて股関節を開くように内転筋を伸ばす。
これが地味に効く理由が3つある。
ひとつは骨盤のリセット。内転筋は骨盤底筋群や体幹のインナーマッスルと深く連動している。ここが硬くなると骨盤が不安定になり、腰や首に過剰な力みが生じる。内転筋をゆるめることで、骨盤が本来の位置に戻りやすくなり、夕方以降の腰痛や肩こりを根本から防げる。
ふたつ目は全身の循環アップ。内転筋の付け根である鼠径部には太い血管とリンパ節が集中している。同じ姿勢が続くとここが圧迫されて下半身に疲労物質が滞るが、股関節を開いて伸ばすことでポンプ作用が働き、脳への血行も促されて頭がスッキリする。
みっつ目がグラウンディング効果だ。内転筋は身体の中心軸を保つ大きな筋肉。ここに「伸びている」という感覚を入れることで、外へ向いていた意識が自分の身体へと引き戻される。周囲の情報で神経が張り詰めている時に特に効く。


②椅子を使った大腿直筋ストレッチ
タイミング:休憩室・デスクワークの合間に
椅子の端に片膝をつくようにして、後ろ足のももの前面をしっかり伸ばす。デスクワークや立ち仕事で股関節が屈曲したまま固まっているのをリセットする。
支援職はほぼ一日中、股関節が曲がった状態にある。これが続くと大腿直筋が短縮し、骨盤を前に引っ張ってしまう。いわゆる「反り腰」だ。これが腰への慢性的な負担になる。
ここを伸ばすと骨盤がニュートラルに戻り、歩く時の脚の動きがスムーズになる。さらに、大腿四頭筋は人体の中でも体積の大きい筋肉だ。ここに「しっかり伸びている」という強い刺激を入れることは、神経系にとってリセットボタンになる。情報過多で頭が疲れている時、意識が「外の刺激」から「自分の身体」へ引き戻される。
内転筋ストレッチと組み合わせると、骨盤周りの前後・内側のバランスが整い、身体の軸を保つ効果が高まる。


③パーミング タイミング:トイレの個室で・目が疲れた時に
両手をこすり合わせて温め、カップ状にして両目をすっぽり覆う。光を完全に遮断した状態で、1分ほどゆっくり深呼吸するだけ。
特養の現場は視覚情報が多い。利用者さんの表情、書類の文字、パソコンの画面、廊下の動き。HSPはそれを全部、人より深く処理している。目の疲れは単なる視覚の問題ではなく、神経系全体の過負荷のサインだ。
パーミングで完全に光を遮断することで、視覚からの情報入力がゼロになる。この「何も入ってこない状態」が、過興奮した神経系をスッと落ち着かせる。トイレという密閉空間との相性もいい。1分あればできる。


④耳ひっぱり タイミング:ミーティング後・気分転換したい時に
両耳を軽くつまんで、斜め上や横に優しく引っ張りながら回す。これだけ。
耳には迷走神経の枝が通っている。迷走神経は副交感神経の主役で、心身をリラックスモードに切り替えるスイッチだ。耳を優しく引っ張ることでこの神経が刺激され、緊張状態からリラックスへの切り替えが促される。
ミーティングや多職種間のやり取りで張り詰めた後、トイレや廊下の端でこっそりやるだけで、頭の中がふっと軽くなる感覚がある。


組み合わせるとさらに効く
これら4つは単独でも効くが、組み合わせると相乗効果がある。
昼前に階段で内転筋ストレッチ。仮眠後に椅子で大腿直筋ストレッチ。ミーティング後にトイレで耳ひっぱり+パーミング。
特別な時間を作る必要はない。「ついで」に組み込むだけでいい。


道具がなくても、身体はリセットできる
ストレッチポールがなくても、更衣室がなくても、身体はリセットできる。
必要なのは「今この場所でできること」を知っていることだけだ。
作業療法士として16年、現場で学んできたことがある。身体が整うと、気持ちが落ち着く。疲れてから回復するより、疲れる前にこまめにリセットする方が、ずっと長く働き続けられる。
今日もどこかで消耗しながら働いているあなたへ。階段の端で、トイレの個室で、椅子の横で、ほんの30秒だけ自分の身体に戻ってきてほしい。
それだけで、今日の後半が変わるから。


作業療法士16年目|特養・ユニットケア勤務|元認知症ケア指導管理士|HSP・ISFJ


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