《闇夜に刻まれた印》外伝:言いかけたこと/《烙印於黑夜之印》外傳:差點說出口的事(和訳付き)
ガイドブック(はじめのあなたに)
作者便り(26年3月)
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日本語訳
【外伝:言いかけたこと】
何気ない会話の中に、
ときどき――触れてはいけないものが紛れ込むことがある。
武器の手入れ。任務の話。
そして、いつもの軽口。
だが、その合間に差し込まれる言葉のいくつかは、
本来、語られるべきではない過去に触れている。
すでに起きたこと。
まだ明かされていない真実。
そして――
知っていながら、あえて口にしないもの。
それは忘却ではなく、
選ばれた沈黙だ。
黄昏の光が、窓辺から斜めに差し込んでいる。
エルールは団部のホールで、魔導弩の手入れをしていた。
そのとき——
意識の奥から、気だるげな声が響く。
「……こんにちは、クールマ。」
「ん? エルール?」
クールマは大きく伸びをしながら言う。
「武器の手入れか?」
「うん。」
エルールはそう答えながら、向かいの壁に開けられた小さな穴へと照準を合わせる。
「——っ」
放たれた魔力の矢は、その穴を貫いた直後、ふっと霧散した。
それはクールマが彼女の訓練用に作った矢だった。
「へえ、いい感じじゃない。」
クールマはどこか気の抜けた口調で言う。
「魔力、安定してきた?」
「うん。最適な状態に調整できた。」
エルールは軽く頷いた。
「明日、オルフィーナと模擬戦だから。」
一瞬、言葉を切る。
「ただ……少し、魔力がぶれる。」

クールマはちらりと彼女を見た。
「その程度じゃ、百年は死なないよ。」
「……百年?」
「他に何があるの?」
肩をすくめながら、クールマは(意識の中で)彼女の肩にもたれかかる。
「本当に危なくなったら、また身体を繋ぎ直してあげればいい。」
「どうせ、まだ借りは返しきれてないしね。」
エルールは何も答えず、ただ視線を逸らした。
クールマは、くつくつと笑った。

「そういえば——リゼの消息が入った。」
エルールがふと口にした。
「ん?」
「ピアツェの方で、領主家のメイドとして働いてる。」
クールマはわずかに眉を上げた。
「副官は知ってるの?」
「知ってる。」
エルールは頷く。
「それに……たぶん、一番“もう何も起きてほしくない”って思ってる人。」
「当然だね。」
クールマは淡々と答えた。
エルールは少し迷うように言葉を選ぶ。
「……まだ分からない。
クレアの父親、どうしてあんなことをしたのか。」
クールマは小さく笑った。
「観察力が足りない。」
「“あの子”にすら見えてるものが、見えてなかったんだよ。」
軽く伸びをしながら続ける。
「権力なんてものは、人を簡単に盲目にする。」
「リゼがクレアが出ていくまで持ちこたえた理由も、
ただ“どちらが正しいか”分かっていただけのことだ。」
「要するに——」
一拍置く。
「クレアは、たまたま“自分を理解してくれる人間”に出会えたってこと。」
さらに、付け加える。
「しかも——闇夜の人間にね。」
エルールはしばらく黙っていた。
それ以上は、何も聞かなかった。
しばらくしてから、エルールが口を開いた。
「そうだ……リシナのこと。」
クールマは彼女の方を向く。
「途中、何度か目は覚めてたけど……ちゃんとは把握してないんだよね。」
「ヴァルレーナに聞いた。」
エルールは声を落とし、出来事を簡単に説明した。
部屋の中が、一瞬だけ静まり返る。
クールマはすぐには答えなかった。
「……どうしたの?」
エルールは眉をひそめる。
クールマは小さく息を吐いた。
エルールは振り向く。
「そんな“歴戦の”魔王でも、ため息なんてつくんだ。」
わざと「歴戦」をはっきり発音する。
「私だって、仲間くらいいたよ?」
クールマは片目を細めた。
「召喚されたばかりの頃なんてさ——」
彼女は少し笑う。
「まだセーラー服も脱いでないうちに、いきなり魔王やらされてたんだから。」
「まあ、その後に魔王領をまとめるのは順調だったけど、
犠牲がなかったわけじゃない。」
「それで——」
「ストップ!」
エルールが慌てて遮る。
「それ、もう何万回も聞いた。次は“二度の蜂起”でしょ? もう暗唱できるから。」
「というか、あの時“魔王領史”通ったの、誰のおかげだと思ってるの?」
二人は同時に笑い出した。
ひとしきり笑ったあと、クールマはやはり小さく息を吐いた。
「……なんだか、似てると思ってさ。」
「似てる?」
「ノットディス。」
エルールは一瞬、言葉を失う。
「……あの首無し騎士?」
「どっちもさ、誰かのために生きてる。」
クールマは淡々と言った。
「ただ、向いてる方向が違うだけ。」
「一人は、弟のために。」
「もう一人は、街そのもののために。」
エルールはわずかに眉をひそめる。
「……まぜ“神罰日”を知ってる?」
クールマはくすりと笑った。
「私、ずっと寝てるわけじゃないよ。」
少し首を傾ける。
「君の前にも、一度だけ“器”を使ったことがある。」
「……器?」
「教士の身体を使ってた。」
エルールの声がわずかに低くなる。
「……教士?」
「うん。」
クールマは頷いた。
「あいつ、結構いろいろ知っててさ。」
少し間を置く。
「“神罰日”の頃、その教士のさらに前の世代が、ここで下級司祭をやってたらしい。」
「だからまあ——“公式の話”くらいは、だいたい分かる。」
クールマは、ふいに吹き出した。
「……どうしたの? 急に笑い出して。」
エルールはきょとんとする。
「いや……ちょっと、面白いこと思い出してさ。」
しばらく笑ったあと、
エルールの訝しげな視線を受けながら、ゆっくりと呼吸を整える。
そして——
「ノットディスと……エリュンディス。」
クールマは一拍置いた。
「その教士のところに、一緒に来たことがある。」
エルールは思わず身を乗り出した。
「え……あの天使!?」
クールマは少し考える。
「たしか……百年くらい前かな。」
「天使が、教士に?」
エルールは眉をひそめる。
「何か用があったみたいだよ。」
クールマは軽く笑いながら続ける。
「天界と魔界の間には“相互不干渉条約”があってね——私の前の代が結んだやつ。」
「とはいえ、教士の身体はさすがに立場が微妙だったから、
気配は少し隠したけど。」
「向こうも多少は違和感を持ってたみたいだけど……まあ、なんとか誤魔化せた。」
「それで……天使は何を?」
エルールは、当然の疑問を口にする。
「“神罰日”についてだよ。」
クールマは軽く伸びをしながら答えた。
「当時、天界は何が起きたのか全然把握してなくて、
冥界に聞いても完全にしらばっくれられたらしい。」
「だから仕方なく、人を下に降ろしたってわけ。」
そして、少し楽しそうに付け加える。
「それで、その時の話なんだけど——」
「宿を取ってなくて、“事件の張本人”に拾われたらしい。」

エルールは、それを聞いて思わず吹き出した。
「……ふふっ。」
それでも、すぐに顔を戻して言う。
「でも、普通の人がノットディスを見たら……驚かない?」
「このあたりじゃ都市伝説みたいな存在でしょ。」
「でも“存在してる”なら、実在してるってことだよね。」
クールマは肩をすくめた。
「そいつ、知ってただけじゃないよ。」
「ノットディスのこと、ちゃんと“顔見知り”だった。」
「じゃあ……」
「考えてる通りだよ。」
クールマは軽く言った。
「“神罰日”の件——」
指先で、軽く壁を叩く。
「教会は知ってるよ。」
エルールの身体が、一瞬で強張った。
「……何、それ。」
クールマは、ただ小さく笑った。
「誰も口にしないだけだよ。」
部屋の中に、数秒の沈黙が落ちる。
エルールは何か言おうとして——
その前に、クールマは背を向けた。
「ほら、もういいでしょ。」
ひらりと手を振る。
「明日、模擬戦なんでしょ。」
「今は、生きることに集中しな。」
エルールは、その場に立ち尽くした。
しばらくしてから、ようやく小さく呟く。
「……それ、余計に気になるんだけど。」
クールマは、もう何も答えなかった。
オルフィーナって、誰?
リゼについて
天使とデュラハンの出会い
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もし文体や語調などに不自然な箇所がありましたら、ぜひご指摘いただけますと幸いです。
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中国語本文
【外傳:差點說出口的事】
有些對話,看似只是日常。
武器的調整、任務的閒談、
還有夥伴之間習以為常的玩笑。
但在那些輕描淡寫的話語之間,
總會混入幾句——
本不該被提起的過去。
關於已經發生的事,
關於仍未說明的真相,
以及那些——
明明知道,卻選擇不說出口的部分。
那不是遺忘,
而是刻意保留下來的沉默。
黃昏的光從窗邊斜斜落進來,
艾露爾正在團部大廳整理魔導弩。
然後,慵懶的聲音從意識中傳來。
「午安,庫爾瑪。」
「嗯?艾露爾?」庫爾瑪在伸懶腰,
「在整理武器啊?」
「嗯,」艾露爾邊應聲,邊向對面牆壁一個小洞發射。
「咻~」魔力箭射穿洞後不久就消失,
那是庫爾瑪作給她練習的箭。
「還滿不錯的嘛。」庫爾瑪語氣懶散,
「魔力穩定了?」
「嗯,調到最佳狀態了。」艾露爾點頭,「明天要跟奧菲娜模擬戰。」

她停了一下。
「只是……魔力有點抖。」
庫爾瑪瞥了她一眼。
「那種程度,百年內都死不了。」
「……百年?」
「不然呢?」她聳聳肩,然後(意識中)靠在她肩上,
「真有狀況,我再幫妳做個身體接續就好。」
「畢竟我欠妳的,還沒還完。」
艾露爾沒接話,只是轉開視線。
庫爾瑪喀喀的笑著。

「對了,莉潔有消息了。」艾露爾忽然說。
「嗯?」
「在皮亞策那邊,領主家當女僕。」
庫爾瑪微微挑眉。
「副官知道?」
「知道。」艾露爾點頭,「而且……大概是最不希望再出事的人。」
「理所當然。」庫爾瑪淡淡地說。
艾露爾猶豫了一下。
「我還是不太懂……克雷亞的父親,為什麼要那樣做。」
庫爾瑪笑了一聲。
「觀察力太差。」
「連那孩子都看得出來的東西,他看不到。」她伸了個懶腰,「權力這種東西,會讓人變瞎。」
「莉潔會撐到克雷亞離開,也只是因為她知道誰是對的而已。」
「只能說,克雷亞剛好遇到懂他的人。」
庫爾瑪頓了一下。
「還剛好是闇夜的人。」
艾露爾安靜了一下,沒有再追問。
過了一會兒,她才開口。
「對了……露西娜的事。」
庫爾瑪轉頭看她。
「我中間斷斷續續醒來,不太清楚。」
「我有問瓦爾蕾娜。」艾露爾低聲說,把事情簡單說了一遍。
房間安靜了一瞬。
庫爾瑪沒有馬上回話。
「……怎麼了?」艾露爾皺眉。
庫爾瑪輕輕嘆了一口氣。
艾露爾轉頭看她,
「這麼『老』資格的魔王,還會感嘆啊?」
艾露爾故意把「老」字唸的字正腔圓。
「我也是有過夥伴的,好嗎?」
庫爾瑪擠眼,
「那年剛被召喚來——」
她笑了一下。
「連水手服都還沒脫,就被推去當魔王。」
「雖然説後來統一魔王領算順利,但是不是沒有犧牲。」
「然後--」
「停!」艾露爾趕緊叫停,「妳已經提了幾萬次了,接下來是兩次起義對吧,我都能背了。」
「要不然當年『魔王領史』能過,不知道是誰幫忙歐?」
兩個人都笑了起來。
笑完,庫爾瑪還是嘆了口氣,
「只是覺得,很像。」
「像?」
「諾烏蒂斯。」
艾露爾愣了一下。
「……那位無頭騎士?」
「一樣是為了別人活著。」庫爾瑪淡淡地說,「只是方向不同而已。」
「一個為了弟弟。」
「一個為了整座城。」
艾露爾皺起眉。
「妳怎麼會知道神罰日的事?」
庫爾瑪笑了。
「我又不是一直都在睡覺。」
她側過頭,
「在妳之前,我有用過一個教士的身體。」
「……教士?」
「嗯。」她點頭,「那傢伙知道得不少。」
她停了一下,像是在想什麼。
「『神罰日』那時候,他的前幾代還在這邊當小司祭。」
「所以大概知道『官方說法』。」
庫爾瑪突然笑了起來。
「怎麼了?突然笑起來。」艾露爾滿頭問號。
「不是......我突然想到很有趣的事。」
又笑了一陣之後,
才在艾露爾疑惑的眼神中調整呼吸,然後,
「諾烏蒂斯……和艾琳迪斯。」
庫爾瑪停了一下。
「有一起來找過那個教士。」
艾露爾差點跳起來。
「那...那個天使嗎?」
庫爾瑪想了一下,
「大約一百年前吧。」
「天使來找教士?」
艾露爾皺了皺眉頭。
「好像是有事找他。」
庫爾瑪便笑著邊說,
「雖然天界和魔界有簽互不干涉的條約–我上一代簽的。」
「但是教士的身分有點敏感,我還是花了一點工夫隱藏氣息。」
「雖然她感覺還是有點疑惑,但總算矇混過去了。」
「那...天使是要?」
艾露爾還是問了一定會有的疑問。
「問『神罰日』的事,」庫爾瑪邊伸展邊說,
「當時天界好像連發生了什麼事都不知道,問冥界也推的一乾二淨,他們只好派人下來。」
「然後據當時她説,沒訂旅館被『事件本人』撿回去了。」

艾露爾聽到這邊,也「噗哧」笑了出來。「但是,普通人看到諾烏蒂斯,不是應該會嚇到?」艾露爾說道。「她在這邊算是都市傳說的存在,但是『存在』就表示是有的。」「其實他不止知道有諾烏蒂斯的存在,而且還認識她。」
「那......」
「你想的沒錯。」
「神罰日那件事——」
她輕輕敲了敲牆。
「教會是知道的。」
艾露爾整個人僵了一下。
「……什麼?」
庫爾瑪只是笑了一下。
「只是沒人說而已。」
房間裡靜了幾秒。
艾露爾還想開口。
庫爾瑪已經轉過身,
「好了,別想太多。」她揮了揮手,「妳明天還要打架。」
「專心活著就好。」
艾露爾呆在原地。
過了一會兒,才低聲說:
「……這樣反而更在意好嗎。」
庫爾瑪沒有回答。
