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《闇夜に刻まれた印》外伝:処刑人日記II(下):持ち帰られた名(処刑人シリーズ)/《烙印於黑夜之印》外傳:處刑人日記II(下):送回來的名字(處刑人系列)(和訳付き)

作者便り(26年2月)

前篇


日本語訳

【処刑人日記II(下):持ち帰られた名】

真実は回収され、任務は完了した。
それでも、重さが消えることはない。

夜の果てで、
処刑人にできるのは、
同胞を然るべき場所へ送り届け、
制度の許す限り、
彼女に「名」を残すことだけだった。

棺の前に立ち、しばらく黙した。
――そうだ。もう一通、報告書がある。

私は室内を見渡す。
隅に置かれた簡素な机は目立たない。
だが、まるで意図的に残された印のようだった。

近づいて、引き出しを開ける。

一番上に、音もなく横たわる封筒。
宛名はない。

開く。
中には、二枚の便箋。
やはり、もう一つの報告書だった。

こちらは、さらに詳細だ。
文面には、
執行者を庇うかのような言い回しさえ混じっている。
――ヴァルリック。
その名が、行間に繰り返し現れる。

恋人か。
それとも、幼なじみか。

この報告書は、
「見つかる場所」に置かれていた。

そして、
決して奪われてはならないものは、
自らのスカートの内側に縫い込まれていた。

リシナは、
家宅捜索を受ける覚悟を、
とっくに決めていたのだ。

同時に――
真実を、自分の身体ごと外へ持ち出す覚悟も。

胸の奥に込み上げる熱を、
私は押し殺す。
「……だめだ。
 全部、王都に戻ってからだ。」

私はヘレンへ、魔導通信を繋ぐ。

「ヘレン。こちらは完了した。」
「了解。すでに離陸準備に入っている。」

地面を踏み鳴らす、重い振動。
――もう、竜の姿に戻っているのだろう。

私は扉を押し開けた。

居間では、
ヴァルレーナがアストルの傍らから立ち上がるところだった。

私は彼女に、小さく合図した。
「見つかった。」
二通の報告書を差し出す。

「一つは引き出しに。
 もう一つは、スカートの内側に縫い込まれていた。」

ヴァルレーナは、
大きい方を即座に受け取り、懐へ収めた。

「こちらは私が写しを取り、王都へ送る。」
「小さい方は、殿下へ直接渡す。」

「遺体の処置は完了した。
 ヘレンも、待機している。」

私は、テーブルのそばに座るアストルに一度視線を向けた。
「……話したのか?」
「ええ。伝えたわ。受け止めている。」
「了解。」

その一言と視線だけで、
ヴァルレーナは私と共に部屋へ入る。
扉が、背後で静かに閉じられた。
――そして、私はもう一度、扉を開ける。

私とヴァルレーナは前後に分かれ、棺を持ち上げた。

リシナの身体は、決して重くはない。
竜鱗で作られた棺も、可能な限り軽量化されている。

それでも――
腕に伝わる重みは、異様なほどだった。

棺を抱えたまま、部屋を出る。

「クレア。」
私は声をかける。
「扉を開けてくれ。それから、アストルをこちらへ。」

彼は慌てて扉を開け、
私たちは棺を抱えたまま、足早に外へ出た。

広場の脇には、すでにヘレンが待機している。

私は街角へ一度、視線を走らせた。
――よし。
パン屋には、まだ灯りがない。

急いで、棺を竜の背へ載せる。
固定用の台座が、すでに用意されていた。
おそらく、ヘレンが用意したものだろう。

私は先に竜の背へ上がり、
棺が確実に固定されたことを確認してから、
ヴァルレーナへ合図を送った。

彼女はすぐに、アストルを抱き上げ、私へ渡す。

「アストル、頼むわね。」
私は小さく頷く。

「……お、姉ちゃん?」
子どもの声は、かすかだった。

「大丈夫。」
私は低く、しかしはっきりと告げる。
「しっかり掴まって。今から、飛ぶ。」

ヘレンが合図を送る。
竜の翼が、ゆっくりと動き始め、
やがて力強く空気を打った。

次の瞬間、
私たちは再び――
星空の中へと舞い上がった。


王都へ戻る途中、
前方の空に、次々と竜影や魔導箒が現れた。

私たちとは逆方向――
南へ向かって飛んでいく。

すれ違う竜騎士や魔導士たちは、
ある者は拳を胸に当て、
ある者は帽子を脱いで、静かに敬意を示す。

「リシナ……」
私は、誰にも聞こえない声で呟いた。
「あなたは、独りじゃない。」

そのとき、
胸元に、じんわりとした湿り気を感じた。

視線を落とすと、
アストルが、ずっと泣いていた。
声も上げず、
ただ、涙だけを流し続けている。

私は、どう言葉をかけていいか分からず、
ただ――
彼を、強く抱きしめることしかできなかった。

「……もうすぐ王都だ。」
ヘレンが、低く告げる。

私は副官へと魔導通信を繋ぐ。
「副官。こちら、まもなく王都へ到着する。」
「了解。第一飛行場へ降下してください。」
「受け入れの準備は整えます。」

王都上空へ差しかかると、
ヘレンは一度、旋回した。

そして、
小さく、息を吐いた。

眼下には、
武装女官と騎士たちの姿。

誰一人、言葉を発さず、
ただ頭を垂れ、
逝った同袍へと、静かな黙祷を捧げていた。

私たちは、
第一飛行場へとゆっくり降下した。

着地した瞬間、
副官と、二人のサキュバスがすでに待機していた。
――ミルダイアと、フレイディス。

私はすぐに意図を理解し、
腕の中のアストルへ視線を落とす。

彼はもう、
嗚咽することしかできず、
身体から力が抜けきっていた。

「……まずい。泣きすぎてる。」
そう声を上げた瞬間、
二人のサキュバスが即座に駆け寄ってきた。

アストルを受け取り、
素早く状態を確認する。
「だめね。先に眠らせたほうがいい。」

フレイディスが即断する。
二人はその場で術式を展開し、
アストルを強制睡眠へと導いた。

「アストルはこちらで預かるわ。」
ミルダイアは、眠りに落ちたその顔を見つめながら言う。
「処刑人さんは、リシナの件を。」

私は頷き、
二人がアストルを抱いて離れていく背中を見送った。

そのまま、
ヘレンの背から地上へ降りる。
副官が、すぐに私の前へ出てきた。
「お疲れさまでした。」

私は報告書を副官へ手渡す。
視線の端では、
武装女官たちが棺を台車へと慎重に降ろしている。

「……殿下は?」
私は問いかけた。
「先ほど、練武場から戻られたところです。」

副官は報告書に目を走らせ、
苦笑した。
「どうやら、練武場の人形が、また何体か犠牲になりそうですね。」

「報告書は二通あります。」
私は補足する。
「詳細なほうは、ヴァルレーナが所持しています。
 写し次第、こちらへ送ると言っていました。」
「了解しました。」

副官は顔を上げる。
「あなたは、リシナの対応を優先してください。
 殿下も、時間が取れ次第向かわれるそうです。」

そのとき、
すでに人の姿へ戻ったヘレンが近づいてきた。

「じゃあ、私はこれで戻るよ。」
彼女は、
武装女官たちに運ばれていく棺を見やり、
静かに言った。

「時間ができたら……
 私も、会いに行く。」


私は台車に付き添い、
処刑室へと戻った。

処刑室の奥には、
遺体処置用の処置室が設けられている。

女官たちは棺をそこまで運び入れると、
棺に向かって一礼し、
私に軽く会釈してから静かに退出した。

私は棺を開け、
遺体袋を抱えて石の処置台へ移す。

袋を開く。
……状態は、悪くない。
長距離輸送による損傷も見られなかった。

私は遺体袋を外し、
まず全身の清拭を行う。

机の上には、
すでに一式の闇夜の制服が用意されていた。

身体を丁寧に拭き上げてから、
私は彼女に制服を着せ始める。
――生前、
一度も袖を通すことのなかった制服。

吸血鬼の血は、
竜血ほどの活性はないが、
およそ一か月は状態を保てる。
当面、死後硬直を心配する必要はない。

襟元を整え、
髪を梳き、
姿勢を整える。

それから、
彼女を隣のストレッチャーへと抱き移した。

最後に、
清め終えた黒剣を、
そっと彼女の傍らへ置く。

そのとき、
控えめなノックの音がした。

扉の向こうに、
闇夜の制服をまとった殿下が立っていた。

「殿下……」
「リシナの様子を、見に来た。」

殿下は遺体へと視線を向け、
しばらく黙って確認する。
「……穏やかな顔ね。」
私は、何も答えなかった。

「お疲れさま。」

殿下はそれだけを告げ、
静かに部屋を出ていった。

私は最後の確認を済ませ、
器具をすべて元の位置へ戻す。

――その頃には、
涙はすでに、
溢れ出す寸前だった。

処置室を出ると、
処刑室の長椅子に、
殿下が崩れるように腰掛けていた。

虚ろな表情。

……こんな殿下を見るのは、
少なくとも、
彼女が「監国」となってからは初めてだった。

そして――
私自身も、もう限界だった。
私は彼女の隣に腰を下ろし、

声を落として言う。

「殿下……
 一杯、飲みに行ってもいいですか。
 ……もう、耐えられそうにありません。」

「“もうすぐ”」などではなかった。
言葉にした時点で、
涙はすでに頬を伝っていた。

「……いいわ。
 でも……飲みすぎないで……」

殿下の声も、
ところどころ、途切れている。

隣を見ると、
殿下の頬は、すでに涙で濡れていた。

「リシナ……
 ア……アストルも……
 私たちを、待っている……」

処刑室に残ったのは、
抑えきれない嗚咽の音だけだった。


こちらは”裏”の物語、”表”の物語も一緒に読むことがおすすめです。


以上の翻訳は ChatGPT による翻訳文をもとに、自ら校正・監修した形でお届けしています。
もし文体や語調などに不自然な箇所がありましたら、ぜひご指摘いただけますと幸いです。
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中国語本文

【處刑人日記II(下):送回來的名字】

真相已被帶回,任務也已完成。
但有些重量,不會因為撤離而消失。

在夜色的盡頭,
處刑人所能做的,只有把同袍送回該去的地方,
並在制度允許的範圍內,
為她留下一個名字。

我望著棺材,靜了一會兒。
——對了,還有另一份報告書。

我環視房間。
角落的書桌並不顯眼,卻像刻意留下的標記。 

走過去拉開抽屜。

最上方,安靜地躺著一個信封。
封面沒有字。

打開。 裡面是兩張信紙。
果然是另一份報告書。 

這一份更詳細。
筆跡裡甚至帶著為執行者辯解的語氣。

瓦爾利克。 名字出現在字裡行間。 
看來不是戀人,就是青梅竹馬。

東西被放在「可被找到」的位置。 
而真正不能被奪走的, 縫進了自己的裙內。

露西娜早已做好被搜家的準備。 

也做好了—— 用身體把真相帶出去的準備。

我壓下湧上的熱意。
「不行。先回王都再說。」

我接通赫倫的魔導通訊。
「赫倫,我這邊完成了。」 
「了解。我已經準備起飛。」

地面傳來一聲沉重的踏動。 
她已恢復成龍形了吧。

我推開門。
瓦爾蕾娜正從阿斯托爾身旁起身。

我對她招了招手。

「找到了。」 我將兩份報告書遞過去。 
「一份在抽屜。一份縫在裙內。」

瓦爾蕾娜立刻收起大的那份。 
「大的由我抄錄之後送王都。」 
「小的交給殿下。」

「遺體已整理完成,赫倫也在待命。」
 
我看了一眼坐在桌旁的阿斯托爾。 
「你跟他說了?」
「說了。他能接受。」 
「明白。」

一個眼神,瓦爾蕾娜隨我進入房間。
門在身後輕輕闔上。
我又把門打開。

我和瓦爾蕾娜前後把棺材抬起來,
雖然露西娜不怎麼重,
龍鱗變成的棺材也是最輕量化的了,
但是我還是感覺無比沉重。

我們抬著棺材走出房間,

「克雷亞。」
我開口,「幫我開門,然後牽阿斯托爾過來。」

他趕忙開門,我們就抬著棺材快步走了出去。
赫倫已經在廣場旁邊等著我們,

我掃過街角,
還好,麵包店還沒有亮光。

我們趕緊先把棺材放上龍背,
那邊已經有固定棺材用的平台,
應該是赫倫變出來的吧。

我先騎上龍背,
確定棺材已經固定之後,
向瓦爾蕾娜示意,
她趕緊把阿斯托爾抱給我。

「阿斯托爾,就拜託了。」

我點了點頭。
「大……姊姊?」
孩子的聲音很小。

「別怕。」
我輕聲說,「抱緊我,我們要起飛了。」

赫倫給了個信號,
龍翼開始緩緩拍動,

不一會兒,我們再一次飛進星空。


回王都的途中,
前方開始出現龍影和魔導掃帚,
跟我們錯向,往南方飛去。

沿途看到迎面而來的龍騎士和魔導士,
有人握拳抵胸。
有人脫帽致意。

「露西娜,妳不是一個人。」
我悄悄說著。

然後感覺身前濕濕的,
往下一看,阿斯托爾一直在流淚。

我不知道怎麼安慰他,只能緊緊抱住他。

「快到王都了。」
赫倫提醒我。

我接通副官。
「副官,我快到王都了。」
「了解,請降落在...第一飛行場。」
「我們會準備好東西。」

到了王都,
赫倫先盤旋在上空,
低低嘆了一聲。

只看到下方的武裝女官和騎士們,
垂下頭,
一起為逝去的同袍默哀。

我們緩緩降落在第一飛行場,

剛降落,副官與兩名魅魔已在等候。
——彌爾黛雅與弗蕾迪斯。

我馬上明白用意,往下看阿斯托爾,
他已經只會抽噎著,身體軟軟的了。

「糟糕,他哭過頭了!」
我一喊,兩位魅魔馬上衝過來,

接過阿斯托爾,
「不行,要先讓他睡一覺。」弗蕾判斷道,

她們立刻施法,讓他進入強制睡眠。

「阿斯托爾我們會照顧,」黛雅看著那張睡臉,
「妳去忙露西娜的事吧。」

我邊目送她們抱著阿斯托爾離去,
一邊從赫倫身上下來。

副官馬上到我面前。
「辛苦了!」

我把報告書交給副官,
一邊看著把棺材卸到推車上的武裝女官們,
一邊說:「殿下她?」

「她剛從練武場回來,在整理一下,」
副官掃過報告書,苦笑了一下。
「看來練武場的假人又要報廢一批了。」

「有兩份,比較詳細的在瓦爾蕾娜那邊」我補充,「她說會盡快把抄本送回來。」
「了解,」副官抬頭,「妳趕快去忙露西娜的事情吧,殿下説她有空會過去。」

赫倫也已經變身完,湊了過來,
「那我也先回去了,」她看著武裝女官推過來的棺材,
「我有空也會去看看她。」

我跟著推車回到了處刑室。

處刑室裡面有間處置室,是用來處理遺體用的。

女官們幫我把棺材推到裡面之後,向著棺材鞠了躬,跟我打了聲招呼就離開了。


我打開棺材,將遺體袋抱到石床上,
打開袋子,露西娜的狀況還不錯,
長途運輸沒有傷到。

我把袋子移除,先把她的遺體作徹底清潔。

一套闇夜的制服已經在桌子上準備好。

把她的身體擦乾之後,
我開始幫他穿上闇夜的制服
––那套她生前都沒穿過的制服。

吸血鬼的血雖然不像龍血那麼有活性,
但是可以撐大約一個月,
所以暫時不用擔心屍僵問題。

我幫她整理好衣襟,梳好頭髮,
把她抱到一旁的推床上。

然後把清理好的黑劍放在她身旁。

這時,敲門聲響起,

殿下穿著闇夜的制服出現在門前。

「殿下。」
「我來看一下露西娜。」

她看了一下遺體的情況,
「她看起來...很安詳。」
我沒有說話。

「妳辛苦了。」
她只說完這句話,就離開了房間。

我確認完最後的細節,
把器具都歸位之後,
眼淚其實已經快奪眶而出。

當我出了處置室,
看到殿下攤在處刑室的長椅上,

神情呆然。

我沒看過這樣的殿下––至少在她「監國」之後。

但是我也快撐不住了。
我坐到她身邊,低聲道,
「殿下,我可以去喝一杯嗎?我快撐不住了。」

說是"快",其實眼淚已經流下來了。

「可以,但是不要...喝太多。」
殿下的聲音變得斷斷續續。

我一看旁邊,殿下臉上已經滿是淚水。

「露西娜......阿...阿斯托爾...都在等我們...」

處刑室,只有啜泣聲。

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