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コミュニティ運営のポイントとは?

どうも、リベラルアーツ系公務員の吉崎です!
毎月第3火曜日に開催しているオンライン勉強会「地頭アップデートジム」シリーズです。
今回は、2026年5月19日に開催した内容の一部をご紹介します。

「地頭アップデートジム」って何?という方は以下の過去記事をご参照ください。

今回は参加者の方(Mさん)のお悩みを話題にして、抽象化や転用をしてみました。


高齢化と人口減少が進む町会を活性化するには

地域の現状

織物産業で栄えた歴史あるまちだが、現在は産業構造の変化に伴い高齢化と人口減少が進んでいる。
かつては、お祭りやイベントでの世代間交流、回覧板や掲示板などでの情報共有、防犯パトロールなどの防犯機能、災害時の備えとしての防災・共助機能などを町会が担ってきた。
しかし、現在はライフスタイルの多様化などの社会変容により、世代間交流が希薄となり、ご近所付き合いもなくなってきている。

Mさんの地域の現状

町会の課題

  • 加入率の低下と運営の固定化
    加入世帯は約600世帯まで減少しており、役員の高齢化と固定化により、新たな活動が困難な状況。

  • 手つかずの防災積立金 
    町会には過去に積み立てられた防災積立金があるが、何を備蓄しているか把握できておらず、倉庫の鍵の管理も不明確などといった、管理体制の形骸化が起きている。

  • 若年層とのニーズの乖離
     
    子育て世代にとって町会活動は「面倒なもの」と捉えられがちであり、ライフスタイルの多様化によって住民同士のコミュニケーションも希薄になっている。

「防災」を軸とした解決策の提案

Mさんは、これらの課題を解決するために、世代を問わず共通のニーズである「防災」をフックにしたコミュニティの再構築を提案してくれました。

  • 防災部の新設とイベント化:
    町会内に「防災部」を新設し、子育て世代が参加しやすい「楽しく学べる防災イベント」を実施することで、新規加入の促進を図る。

  • 公的支援と既存組織の活用:
    自治体の補助金を活用して資材を整えるとともに、運営ノウハウを持つPTAなどと連携し、負担感を減らしながら活動の幅を広げる。

  • 「共助」のネットワーク構築
     
    災害時に役立つ住民同士の顔が見える関係(共助体制)を築くことを最終的な目的とする。

将来的な展望

Mさんは、単なる町会の維持に留まらず、この取り組みを「地域の価値」に変えたいと考えていました。
地域の歴史的資源(水資源や古い工場跡など)と防災を掛け合わせ、防災に関心の高い外国人向けなどの「防災研修ツアー」といったビジネスコンテンツへ転用できるのではないかという展望を持っていました。
これらを「理想論」としつつも、自身のビジネススキルや地域の仲間、そして行政との繋がりを活かし、「楽しく、継続できる」コミュニティ運営へのアップデートを試みようとしているという状況を説明していただきました。

抽象化してみよう

上記の話題提供(具体的事例、具象)について、課題の本質や根本的な解決策を考える上では、まず具象を抽象化する必要があります。
読者の皆さんならどのような抽象化をしますか?

私は、抽象度の度合いに応じて、次のような3つの抽象化をしてみました。

抽象度(低):防災に関心を持ってもらうためには?

防災を単なる「備え」ではなく、地域の歴史や資源(水資源など)と掛け合わせて、子育て世代や外国人などを惹きつける地域交流イベントやビジネスコンテンツ(研修ツアー等)として再定義する視点。

抽象度(中):町会への若年層の参加を促進するためには?

「世のため人のため」という公助・共助の視点から入るのではなく、まず「自分の家族を守る」という自助の視点を入り口にし、「自分事化」からの誘導を図る視点。
その延長線上に結果として共助(地域のネットワーク)が構築されるという構造をつくる。

抽象度(高):コミュニティ運営のポイントは?

コミュニティ運営を成功させるためのポイントは何か?という視点。
メンバーの固定化、メンバーの高齢化と後継者不足などの組織やコミュニティ全般によくある課題として、新陳代謝を起こし、継続性を持たせるにはどうすればいいか?を考える。

転用してみよう

上記のような抽象化された本質に基づいて、他地域での事例や仕組みをMさんのケースにどう活かすかという「転用」のアイデアをみなさんで出し合いました。

1.東京都小金井市の雨水浸透ますの事例

小金井市の「雨水浸透ます」の設置率は世界にも誇れる数値であり、海外からも視察が来るほどであるという事例が挙げられました。

小金井市のホームページによると、平成28年3月末現在で市内の雨水浸透施設の設置軒数が15,866軒で61.6%、浸透ますの設置数が71,948個で、これまで「地方自治大賞」、「環境賞」、「日本水大賞グランプリ」など数々の賞を受賞しているんだそうです。

これを「地域資源の活用」という視点で転用し、Mさんの町会にあるかつての織物産業を支えた豊かな水資源を活用するアイデアが出ました。
150年前には水車を動力に工場が稼働していた歴史があり、現在も使われていない古い井戸が数多く残っているそうで、それらを防災井戸として整備し、「かつての産業を支えた水が、現代では地域を守る防災資源に生まれ変わった」というストーリーを持たせることで、特に知的好奇心の強い外国人観光客や視察層などをターゲットにできるのではないかというアイデアです。

2.滋賀県草津市のマンション間コミュニティの事例

防災をコンテンツ化して活用している事例として、滋賀県草津市の「南草津マンション防災委員会」を紹介していただきました。

リンク先は滋賀県ホームページです

災害時だけ繋がろうとしても機能しないため、日常的に子ども用品などの譲り合い(あげます・もらいます)を行うLINEグループを作り、日常のコミュニケーションを防災時の基盤に転用している事例でした。

特徴としては、1つのマンション内だけではなく、複数のマンションをまたいだネットワークとなっており、地域外に転出した後も繋がり続ける人がいるほど安心感のあるコミュニティであるということや、防災散歩や毎月17日に震災を思い出すために「防災おにぎり」を食べる活動、炊き出し訓練など、より具体的な防災活動へと発展していることが挙げられます。

3.自治体とつながることのメリット

補助金などの金銭的支援以外にも、町会の防災訓練に自治体の職員に来てもらい講師やサポートをしてもらったり、自治体が備蓄している食料で賞味期限が近いものを提供してもらうなど、自治体が持つノウハウ、人材、物資などを活用するアイデアも出ました。

何より、自治体とつながることで「顔の見える関係」が生まれ、いざという時にも「相談しやすい関係」となり、それが地域の防災リソースとなります。
また、行政側としても、このように意欲的な市民と繋がれることは、何かあった際の連携はもちろんのこと、まちづくりやまちの活性化などにおいて非常にありがたいことです。

コミュニティ運営のポイントとは?

3つの事例の中でも特に示唆深かったのは、「南草津マンション防災委員会」だと感じました。
この事例には、防災だけでなく、コミュニティ運営のポイントが凝縮されていると思ったからです。

参加者の皆さんとも意見が一致したのは、コミュニティ運営を成功させる最大の鍵は、運営側や参加者が楽しんでいる姿を見せることであり、「楽しさ」が参加を促すということでした。
楽しそうに活動している輪には、自然と「自分も混ざりたい」という人が集まり、結果としてコミュニティの新陳代謝が起きます。

もう一つは、継続するための仕組みがあることです。

阪神大震災の日にちなんで「毎月17日におにぎりを食べて震災を思い出す」といった活動のように、日常の中に定期的・継続的にコミュニティを思い出したり、関わったりする仕組みを組み込むことが重要だと思います。
月1回や隔月開催など、負担感が少なく、でも距離が遠くならないくらいの存在感があるのが、現代のコミュニティ運営のポイントではないでしょうか。

以上、地頭アップデートジムの紹介でした。
次回は6月16日に開催した「クリティカルシンキングしてみよう」です。
それでは、また次回をお楽しみに〜。

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