ステージゲート制度の論文に触れ、考察する。(4)これは受験ではない
ステージゲート制度とは何か
― 目的・機能・背景を体系的に整理しています。
自分のまとめ目的。
1.ステージゲート制度とは?
■定義
ステージゲート制度(Stage-Gate)は、
カナダの経営学者ロバート・G・クーパー(Robert G. Cooper)によって
提唱された新製品・新規事業開発の管理フレームワーク。
■論文:あり(1990年)
■タイトル:“Stage-Gate Systems: A New Tool for
Managing New Products”(Business Horizons)
■概要:新製品開発を多段のステージに分け、
ステージの終了ごとに意思決定ポイント(ゲート)を設けるプロセス。
その後の著書『Winning at New Products』などでも体系化され、
現在では世界中の企業で採用されている。
■原文
■モデルの基本構造
ステージ:仮説検証、市場調査、技術開発などを実施する活動フェーズ
ゲート:その成果を評価し、Go/Kill/Hold/Recycleなどの判断を行う意思決定ポイント
重要なのは、この制度が単なる「投資継続の可否判断」だけを目的
としているわけではなさそう。
クーパーの説明では、ゲートは「質の高いプロジェクトを選抜し、弱いプロジェクトを早期に排除するための判断点」とされている。つまり、
したがって、ステージゲート制度は「審査制度」というよりも、
「開発プロセスを構造化する意思決定フレームワーク」と
理解する方が本質に近い。
■これまでの要約はこちら
今回はこのつづき。
6. Parallel Processing(並行処理)
Stage-Gateは直列型ではない。
Cooperはリレー走に例え、
従来の開発は「バトンを渡す方式」だと批判的スタンス。
代わりにラグビーのスクラムに例え、
複数部門(R&D、マーケ、製造)が同時に動く
ことで時間圧縮になると言っています。
つまり、これは単なる審査制度ではなく、
組織横断型マネジメント設計です。
7. Gate評価の中身
1:止まらない“特急列車”問題
調査によれば、
プロジェクトの37%はR&D段階で事業分析や財務分析を実施しておらず、
65%は製品化直前でも十分な事業分析を行っていなかった。
アイデアは限定的な情報と曖昧な基準でスタートし、
一度走り出すと市場投入という最終目的地まで止まらない
「特急列車」になる。
途中の指摘は障害とみなされ、乗り越える対象になる。
2:ゲートの本来機能
Stage-Gateでは、評価完了まで次フェーズに進めない。
事前に設定された基準で一貫・公平に判断し、後半では強い財務志向を導入する。
適切に機能すれば、負け犬案件の暴走を防ぎ、有望案件へ資源を集中できる。
3:ゲートキーパーの役割
上級管理職が即断でき、資源承認も迅速に行う。
ゲートキーパーは単なる審査者ではなく、
プロジェクトの方向づけを支援する存在とされる。
4:論文を読んで思うこと
■事業を強化いたいのか、説得したいのか
ゲートにあるチェックリストは事業性検証の道具と捉えるべきだが、
多くの当事者(とくに検証を支持されたサラリーマン的企画人間)は
チェックリストや数々の指摘を「次へ進むための説得材料」と
見ることが多いのではないか。
イヤな言い方だと経営視点か、雇われ視点。
この認識差が制度の形骸化を生む。
この認識になるのは、決して受験者の思考がそもそもそうなのではなくて、
ゲートチェックを受けることがKPIになっているから、かもしれない。
(手段が目的になっている)
■前提を承認した責任
最初のゲートを超えたなら、上級管理職は支援者となる、と書いてある。
つまり、前提が崩れない限り支援を続けるべきだ。
いわゆる「はしごはずし」は起きてはいけない。
適切に評価すれば機能する、という前提こそが制度の核心だと感じた。
次回は、このステージゲート制度の批評論文を読んでみようと思う。
次回↓↓
