ステージゲート制度の論文に触れ、考察する。(3)やってみてわかった はクソ?
ステージゲート制度とは何か
― 目的・機能・背景を体系的に整理しています。
自分のまとめ目的。
1.ステージゲート制度とは?
■定義
ステージゲート制度(Stage-Gate)は、
カナダの経営学者ロバート・G・クーパー(Robert G. Cooper)によって
提唱された新製品・新規事業開発の管理フレームワーク。
■論文:あり(1990年)
■タイトル:“Stage-Gate Systems: A New Tool for
Managing New Products”(Business Horizons)
■概要:新製品開発を多段のステージに分け、
ステージの終了ごとに意思決定ポイント(ゲート)を設けるプロセス。
その後の著書『Winning at New Products』などでも体系化され、
現在では世界中の企業で採用されている。
■原文
■モデルの基本構造
ステージ:仮説検証、市場調査、技術開発などを実施する活動フェーズ
ゲート:その成果を評価し、Go/Kill/Hold/Recycleなどの判断を行う意思決定ポイント
重要なのは、この制度が単なる「投資継続の可否判断」だけを目的
としているわけではなさそう。
クーパーの説明では、ゲートは「質の高いプロジェクトを選抜し、弱いプロジェクトを早期に排除するための判断点」とされている。つまり、
したがって、ステージゲート制度は「審査制度」というよりも、
「開発プロセスを構造化する意思決定フレームワーク」と
理解する方が本質に近い。
■前半部はこちら
5. Better Homework(前半の徹底)
Cooperは繰り返し「Homework」という言葉を使います。
Homeworkとは、開発前に行われる活動のことを言っているようです。
調査によるとプロジェクトの総支出のうち、
宿題、つまり開発の準備活動は7.1%
対照的に開発テストは39%、
商品化は54%費やされています。
工数で言えば16%しか、
開発までの活動に費やされていないということでした。
前回、図3で、
前準備が成功のカギだと言っているのに、かけている費用や工数はその逆だ、ということです。
重要な主張:
前半での検討が不十分だと、後半で高コスト修正が発生する。
「More homework up front encourages changes earlier rather than later」
つまり、
Stage-Gateはスピードを落とす制度ではなく、
長期的にはスピードを上げる制度
と主張しています。
■脱線:「やってみて分かった」は本当か? 「走りながら修正」のご都合主義
「準備に時間をかけると開発が遅れる」——。
現場でよく耳にするこの不満に対し、
本論文は明確にNOを突きつけています。
ステージゲート制度における事前準備の徹底こそが、
結果的に開発期間を短縮し、製品の成功率を高める
唯一の道であると主張しているからです。
論文が特に鋭く突いているのは、
開発現場における「定義不足」の実態です。
多くのプロジェクトが、ターゲットやニーズが曖昧なま
ま開発フェーズへと突き進んでしまいます。
ここで論文が投げかける「研究開発者や設計エンジニアは、人の心を読むことはできない」という言葉は、非常に示唆に富んでいます。
製品の定義が曖昧なままでは、現場のエンジニアは「何が正解か」を推測することに多大な時間を費やすことになります。
これは本来不要なはずの「迷走」であり、この無駄な工数こそが開発を遅延させる真犯人なのです。
また、開発後半で発生するコンセプトの変更や設計変更には莫大なコストがかかりますが、論文はその大部分が「準備段階の甘さ」に起因すると断じています。
カシワニパパは、少し経験踏まえて、このように発展して考えています。
プロジェクト後半の仕様変更を
「ここまで来たからこそ見えた新事実」や
「走りながらブラッシュアップした結果」として、
一種の美談のように語りがちです。
「あの時どれだけ練り込んでいても、
ここまで来なければ分からなかったはずだ」という理屈です。
これ、よく聞きませんか?
そして、みんなでそう言ってませんか?
しかし、それは本当に「後から分かったこと」なのでしょうか。
実際には、初期段階でユーザーニーズと真摯に向き合い、
定義を突き詰める作業を怠った結果、
本来見えていたはずの課題が「想定外の仕様追加」という形で
後から表面化したに過ぎないのではないでしょうか。
「後から起きた変更」ではなく、
「最初に考え抜かなかったツケが回ってきただけ」——。
本論文は、そんな現場の甘えや正当化を浮き彫りにし、
事前準備という「地味だが最も重要なプロセス」の価値を再認識させてくれます。
理想論に聞こえるかもしれませんが、
成功者は、やっている人。の可能性は高いと考えられます。
カシワニパパは、十分できているか?自問自答をしながら進めています。
誰よりもできている自信があるわけではないが、
やってみてわかったとは言いきるためにどこまで自分が考え込んだのか、
どの部分は再現しどの部分は想定しなかったのか、説明責任は果たしていきたいと思います。
脱線しましたが、読み込みを続けたいと思います。
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