見出し画像

吃音の僕と、彼女と泣き明かした夜のこと

23歳の頃、僕は彼女と一緒に日払いのアルバイトに登録していました。

​仕事を選ぶ際、どうしても入りたくない業種には「×」をつけることができます。

僕は吃音があったため、接客業には迷わず「×」をつけていました。

​しかし、手違いが起きました。

あろうことか、ゲームセンターの店員として3日間働かなくてはならなくなったのです。

​業務にはインカムが必須で、他のスタッフへの連絡はすべてマイクを通さなければなりません。

吃音がある僕にとって、それはまさに地獄のような環境でした。

​仕事が始まる前から緊張で押しつぶされそうで、泣きそうになっていました。

■​震える声で伝えた「休憩」の言葉

​「休憩に入ってください」

​マイク越しに指示を受け、僕は休憩室で軽く昼食を済ませてホールに戻りました。

すると今度は、「〇〇さんに休憩に入るよう伝えて」と指示が飛びます。

​僕は意を決して、マイクのスイッチを入れました。

​「き、きゅ、きゅうけい、入ってください。さ、さ、30分間です。休憩終わったら、れ、れ、連絡ください」

​思いきり、どもってしまいました。

久しぶりに、自分でも制御できないほど完全に。

その場から今すぐ逃げ出したい衝動に駆られました。

​そして翌日、さらなる追い打ちが僕を待っていました。

​昨日僕が声をかけた子が、周りの友達と笑いながら話しているのが聞こえてきたのです。

​「昨日さ、超どもってるヤツがいてさ。きゅきゅきゅ休憩、は、は、入ってください、とか言われてさー。あんなことで何緊張してんの? ウブすぎて大爆笑だったんだけど」

​その子は、僕がすぐそばにいることにも気づかず、笑い話として話していました。

​ふと横を見ると、一緒にいた彼女の手が、怒りと悲しみで小刻みに震えていました。

彼女の目には、今にもこぼれそうな涙が溜まっていました。

​僕は彼女にそっと言いました。

「いつものことなんだ。こういうの。だから、何も言わなくていいよ」

​■伝わらない言葉、届かない評価

​そんな中、あるお客さんに声をかけられました。

メダルゲームを楽しんでいた方です。

​「当たりが止まらないんだけど、どうしたらいい?」

「メダルは貯金できます」

「でも、当たりが止まらなくて。どうすればいいの?」

「もう時間がなくて、行かなきゃいけないってことですか?」

「そうなのよ。でも止まらないの。どうすればいいの?」

​僕は「やめていただくしかないので……」と精一杯対応しましたが、お客さんは何を言っても「当たりが止まらないのよ」の一点張り。

​困り果ててマイクでゲームセンターの方を呼ぶと、今度はその人から「やめてもらうように言うだけだろ!」と怒鳴られてしまいました。

​「そう伝えているのですが、当たりが止まらないしか言わないんです」

​説明しようとする僕の言葉を遮るように、「はあ? 何言ってんの、お前。もういいわ!俺が行く」と、怒鳴られキレられてしまいました。

​幸い、お客さんと話すときはどもらずに済みましたが、うまく立ち回れなかった自分に無力感だけが残りました。

​そして、僕のアルバイト評価欄には「最低点」がつけられていました。

■​悔しさと、消えない申し訳なさ

​家に帰ると、悔しさが一気に溢れ出し、僕は涙がこみ上げてきました。

彼女も自分のことのように悔しがってくれました。

​「なんで世の中、どもるだけでこんな目に遭わなきゃいけないの」

​二人で、ただただ泣き続けました。

3日目は、幸いお客さんも少なく、なんとか無事に終えることができました。

​その後、僕たちは登録会社へ行き、「接客はできません」ともう一度強く伝えました。

当時の僕たちにできた事は、それだけでした。

​自分の無力さが身に染みた、忘れられない出来事です。

​そして何より、「こんな吃音の彼氏でごめんね」という彼女への申し訳なさが、いつまでも胸の中に溢れて止まりませんでした。
↓↓↓
これをやり吃音が治りました

↓↓↓
吃音の僕とひきこもりの兄と家族のこと
を書いてます。

↓↓↓
僕の考え方

↓↓↓
オリジナル小説

↓↓↓
オリジナル絵本

↓↓↓
オリジナルポエム

↓↓↓
痛すぎる実話


いいなと思ったら応援しよう!

紙飛行機☀️🌻 物書きを仕事にしたくて頑張ってきました!1度諦めた夢です。しかしnoteと出逢えて表現場所が出来て嬉しいんです!有料記事を無くしていきたいのでチップの応援お願い致します🙇‍♂️