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【週1書評】人は変えられない。変えられるのは自分だけ(嫌われる勇気:岸見一郎・古賀史健)

私にはかなり偏屈なところがあって、売れている本を素直に手に取るのが苦手だ。性格が逆張り気味なのである。
こと発売から年数が経過している本であれば、なおさらだ。

そんな私が、恥ずかしながら、ものすごく今更、『嫌われる勇気』を読んだ。いつか読もう、必ず読もう、と思っていた本だ。それを、今のタイミングで読んだ。理由は、これまたいつか読もうと思っていた名著、近藤康太郎さんの『三行で撃つ』を読んで、心を揺さぶられたから。
名著には名著と呼ばれる理由がある。力があるのだ。人の心を揺さぶり、明日からその人の行動を変えてしまうような力が。きっと『嫌われる勇気』にも同様の力があるに違いない。私は、意固地をやめて本書を読み進めた。

すると、そこには私がいた。
本書の哲人に対する青年は、私だ。きっとこの本を読んできた数多の人もそう感じたに違いない。自分に自信がなくて、自分の不幸を他のもののせいにする。自分の人生を生きることもしない、意気地なしな存在。
ああ、すごい。すごいぞこの本。私はページをめくる度に付箋をはり、線を引いた。

私が一番心を揺さぶられたのは、「他者の課題」と「自分の課題」を分ける考え方だ。
自分のことを相手がどう思うかは「相手の課題」であり、相手の気持ちを自分が操作することはできない。
自分が変えられるのは、自分だけ。
現在では当たり前のように語られる文脈だ。それでも、私には次の一文が印象に残った。

哲人 承認されることを願うあまり、他社が抱いた「こんな人であってほしい」という期待をなぞって生きていくことになる。つまり、ほんとうの自分を捨てて、他者の人生を生きることになる。
 そして、覚えておいてください。もしもあながた「他者の期待を満たすために生きているのではない」のだとしたら、他者もまた「あなたの期待を満たすために生きているのではない」のです。相手が自分の思うとおりに動いていくれなくても、怒ってはいけません。それが当たり前なのです。

岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気ー自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)
p.136

この一文を読んでいるとき、私は息子さんのことを想っていた。
なかなか話を聞かない5歳の息子さんに、声を張り上げることも少なくない。でも、彼もまた「他者」であり、私の期待を満たすために生きている存在ではないのだ。そう思うと、なんだか、話を聞かないと怒っている自分が間違っている気がした。
頭ではわかっていたつもりだった。しかし、どんな育児本や子育てエッセイよりも、私にはこの言葉が響いた。

私は思慮が浅いので、つい目の前の世界が自分のためにあると勘違いしてしまう。いや、正しくは世界は自分のためにあるのだろう。ただ、それと同じように、世界は他者のためにもある。
これさえわかってしまえば、本当に大体の不幸や悩みからは解放されるのではないか。そんなふうに私は感じた。

それではまた来週。

岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気ー自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)


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