【書評】「書くこと」を続けたいあなたへ(さみしい夜にはペンを持て:古賀史健)
私が小学生低学年の頃、夏休みの宿題で読書感想文がありました。本を読んで感想を書くのですが、出てくる言葉は「おもしろかった」のみ。
こんなの何が面白いんだ、と当時はもやもやしながら文字数を消化させることだけに集中していた気がします。
さて、今回ご紹介する本は
『さみしい夜にはペンを持て』古賀史健(ポプラ社)
です。

この本どんな本?
著者はライターの古賀史健さん。彼を最も有名にした本は『嫌われる勇気』でしょうか。
この本はライターである古賀さんが、書くことの素晴らしさを語った、小説ベースの一冊です。
なぜこの本を読もうと思った?
ライター界隈では話題の本です。SNSなどみてもすごく良かった!もっと早く読むべきだった!という感想をよく見たので、これは読まねばと思っておりました。
本の感想
舞台設計が秀逸
この本を読んですごいな、と感じたのが舞台設計です。
今回私は、極力あらすじや書評などを見ないようにしました。ぜひ、何も知らない状態で読んでみたいと思ったのです。
で、読み始めてびっくりしました。あらすじレベルなので書いてしまいますが、主人公、タコです。舞台は海。
いじめられっ子のタコジローはひょんなきっかけでヤドカリのおじさんに出会い、「書くこと」を勧められました。この本では「書くこと」を通した、タコジローの「冒険」が描かれています。
タコジローたちが生きる海ですが、どことなく我々の世界と似ている、そんな世界です。学校の登場人物なんて、まさにいるいる!そういう人!って感じで。その他にも、スマホのようなものも登場すれば、なんだか知っているような駄菓子が登場したり、誰でも知っている有名小説をモチーフにした小説が出てきたりします。
主人公が生きる世界と我々の世界。全然違う世界なのに、読んでいる中で私たちは簡単に我々の世界に置き換えて考えることができる。実世界を架空の世界に落とし込むことで、抽象的なテーマを扱いやすくしつつ、かつ納得させることができる。この舞台があるからこそ筆者の言いたいことが伝わってくる本だな、と思いました。
「書くこと」を続けるために
この本で主軸になる「書くこと」とは、日記です。日記をつけるとどうなるか、続けるためにはどうすればいいか。さまざまなトピックをヤドカリのおじさんはタコジローに教えてくれます。
私がその中でも最もためになったと感じたのは、「スローモーションで書く」ということ。
日記はつい、事象の羅列になりがちです。朝起きて、家を出て、子どもを送って、仕事して―これでは、書いても読んでも面白くありません。面白くないと続かない。
ヤドカリのおじさんはタコジローにこう言います。
「もちろん、3倍速や5倍速の場面があってもいいんだよ?ぜんぶの場面をスローモーションにするなんてできないからね。でも、たとえ1箇所でもいいから、どこかの場面をスローモーションで描く。そうすれば表現は豊かになるし、ことばもていねいになる。
―中略―
『ていねいに書きましょう』って言われてもよくわからないけど、『スローモーションで書きましょう』だったら理解しやすいんじゃないかな」
この表現、私の中ですごく腹落ちしました。これ、そのまんまエッセイやnoteを書くこと、書き続けることにつながる考えだと思います。
考えることの大切さ
ヤドカリのおじさんはタコジローに、「書くこと」の根源にある、「考えること」の大切さを説いてくれます。これは、自分は書かなくとも、誰かの発信、特にSNSなどをよくを目にする人は全員読んだ方がいいな、と私は思いました。
130~131ページです。もしお手元に本書がある方は開いてみてください、ああ、ここね、と納得いただけるかと。
この部分は、私からなどではなく、ぜひ、ご自身で読んで、考えてみてほしいと思います。ですから、引用も解説もしません。
通しで読んでみて、この本で最も重要なことが語られている部分だと私は思いました。
まとめ
私はなんやかんやnoteを毎日書いています。やっぱりnoteは毎日書こう、毎日考えよう。本書を読んで、そう思えました。
そして、私のnoteが続いているのは間違いなく読者がいてくださるからで。それを実感できてよかったと思います。みなさん、いつも読んでくれてありがとう。
子どものころ、読書感想文をうまく書けなかった方や、書くことを続けてみたい方におすすめの一冊です。
それではまた来週。
そのほかの書評はこちらから。
ポートフォリオはこちらです。
