肥満論:B●●●S──至福のダイエット!?(再録)
B●●●S(ブ●●ス)ダイエットについて
ダイエットに興味を持っている人なら、「B●●●S(ブ●●ス)ダイエット」についてはご存知のことだと思います。肥満が嫌で痩せたいと思い‘ダイエット’するような人は、いくら食欲があっても食事制限をして、好きな物も食べないで我慢しようとするのが通例の行動様式でしょう。しかしこのダイエット法はそのような常識を全く覆えすルールを示して、肥満を回避し痩身しようと提唱しています。
注記:HPは現在「都合によりサービスを停止しております」と表示されています。
注記:この稿を書くにあたり、このダイエット法を要約して紹介している下記の文章を特に参照しました。
「ストレスをためず自然にやせるB●●●S(ブ●●ス)ダイエット」『もっとヤセたい!』(特集アスペクト16)P225
この方法は、九州大学健康科学センターの●野●彦教授が提唱したものです。B●●●Sとは、Brain(脳)●riented(に適応した)●besity(肥満)●ontrol(調整)System(システム)の頭文字による造語ですが、彼は、痩せようと‘ダイエット’すればするほど、かえって太ってしまう多くの患者さんの実態を踏まえて、肥満の原因は‘脳疲労’であるという仮説をたてました。
いわゆる‘肥満恐怖’から、痩せようと無理な‘ダイエット’を押し進めるほど、かえって‘ストレス’が溜まってしまい、その‘過剰ストレス’、言い換えれば‘過剰情報’を脳が処理しきれないために、‘脳疲労’が生じ、食欲中枢の異常をきたす結果、意図に反して肥満してしまうのだというのです。(ダイエットジレンマ!)
このダイエット法の基本的ルールは次の通り。
(1)たとえ健康に良いこと(運動、体によいとされる食べ物を食べることなど)でも、嫌なら決してしない。
(2)たとえ健康に悪いこと(煙草、甘いものを食べること)でも、どうしてもやめられないならそのまま続ける。決して禁止しない。
(3)健康に良くて、しかも自分が好きなこと(好きな食べ物)を一つでも始める(食べる)。
具体的には──
1)昼でも夜でも良いですが、一日に一回は、満足のいくまで楽しく‘快食’をする。
2)朝食は食べても食べなくとも良いが、食べるにしてもお茶や味噌汁だけのような軽食にする。
3)昼食は普通に食べて良い(和食が好ましい)。
4)間食もしたければ、りんごやおにぎりなどを食べて良い。ただしできるだけ菓子類は避けるべきだけれど、脳に良いといわれる黒砂糖などをたっぷり入れた紅茶などはOK。
要するに、嫌いなことをして‘ストレス’が溜まることを極力回避して‘脳疲労’を起こさなければ、‘生き生きとやせる’ようになるというわけです。
注記:
上記のホームページのタイトルが「B●●●S DIET生き生きとやせる」であり、●野教授の著作もまた『生き生きとやせる~ブ●●スダイエット』というタイトルであるように、‘やせる’ということを前面に押し出しています。
確かに、‘B●●●S(ブ●●ス)ダイエット’が提唱する‘基本ルール’というものは、常識破りな所があり、失敗を繰り返しダイエットに苦労している、いわゆる多くの‘ダイエッター’には、今度こそ成功するだろうと、目にとまりやすく、受け入れやすい(甘言!)だけに、実践しようとする人も増えているのではないかと思います。
しかし、この方法についてダイジェスト的な紹介しか読んでいないので、あくまでも知り得た範囲で判断しているに過ぎませんが、ちょっと理論的に考えただけでも、非常に危うい‘ダイエット法’ではないかと僕は考えています。
特に「(2)たとえ健康に悪いこと(煙草、甘いものを食べること)でも、どうしてもやめられないならそのまま続ける。決して禁止しない」という基本ルールには問題があります。
例えば糖尿病を患っている人に対しても、食べたいのであれば甘いもの(例えば黒砂糖)をいくらでも食べても良いと言うのでしょうか?しかしそれは命にもかかわる危険なことにもなりかねません。多分、病気の人には勧めないのでしょうね。でも、このように禁止し特例を設けるだけで、もうこの‘ダイエット法’は破綻しています。(そもそも‘diet’とは「病院などの規定食」!)
それでも、百歩譲って、病人は例外ということは認めましょう。それでは、喫煙や飲酒はどうでしょうか?ニコチンやアルコール摂取など、明らかに健康を害する場合でも、喫煙や飲酒を禁止したら、ストレスのために‘脳疲労’を生じ肥満を助長するので、‘痩せる’ことができるなら、そのような不健康な行為も肯定すると言うのでしょうが…
あくまでもこの方法の理論的整合性を保持しようとするならば、覚醒剤中毒でさえ認めることになると思います。‘痩せる’ということを絶対的な目的とするならば、いわゆる‘覚醒剤ダイエット’は最強の食欲抑制型の‘ダイエット法’であるに違いありません。しかしそれは肉体・精神をボロボロにして生命までも奪ってしまう危険で邪道な方法です。(「覚醒剤ダイエット──食欲抑制型・2か月で20kg減の後は無限のリバウンド地獄」『もっとヤセたい!(特集アスペクト16)』P170~175)
痩せるなら死んでもいい!? そんな馬鹿な!
多分B●●●S理論の立場からは、‘快食’ということをキーワードにして、このようなことを当然否定するのでしょう。ダイジェスト的な知識しか持ち合わせていないので、僕は誤解しているのでしょうが、一般の人たちも、せいぜい僕ぐらいの知識しか持たないまま、この‘ダイエット法’を実践すると思うので、多分に誤解を招きかねない‘ダイエット法’だと思います。
すなわち、世間一般では、このB●●●Sダイエットは、いわば‘食べるダイエット’として、カロリーや栄養を気にすることなく思う存分好きな物を好きなだけ‘食べてもよいダイエット’として認識されていると思います。(アメ!)
しかし、実際には、‘朝食抜きダイエット’、(あるいは黒砂糖入りの紅茶一杯だけの非常に軽い朝食)も加味されています。(ムチ!)実は、これこそ、まさに、ストレスの原因でなくてなんでしょうか!?
例えば、夜などに一日一食だけ好きな物を好きなだけ‘食べる’ことができたとしても、あるいはむしろそういう暴飲暴食を許しているが故に、朝や昼には、極端な食事制限をしなかればならないような、‘ダイエット法’は、理論的に自己矛盾をはらんでいます。
因みに、『やせるマンガ』という雑誌の投稿欄に読者の体験談が載っています。まさにB●●●Sダイエットの自己矛盾が露呈していて、笑えます。
「‘B●●●Sダイエット’なんとなくやってたんだけど、春から夏にかけて2~3kg減りました。それで、今度は真剣にやろうと思って、本を買ってまじめにチャレンジ。そうしたら、逆にプレッシャーになって1日1快食が1日3快食に。夏から秋にかけて元に戻ってしまいました。『快食以外は軽くしないといけない』と思うと余計に食欲が~!!新潟県 H・S 25歳」
実際には、実践するに当たっては、細かい注意がなされているので、聞きかじりの生半可な‘なんちゃってB●●●S’ではだめだと言われているようですが、その細かい注意というのも、従来からの成人病予防で言われていたようなことであるらしく、従って、本来の意味の「ダイエット」(健康な体を育むことが目的)にこのB●●●S自体が効果があるのか、疑わしいと僕は思っています。
そもそも‘脳疲労’などという概念を持ち出さなくても、間違った勘違い‘ダイエット’をすれば、かえって肥満してしまう原因の説明はつきます。
例えば過剰な食事制限をして、飢餓状態に自らの体を追い込むなら、体は生命の危機を回避する防衛本能から、脂肪を蓄積させるために太ろうとするのは自然なことです。
と言うよりも、過度に肥満あるいは痩身していれば、体は、そのホメオスタシス(恒常化)機能を働かせて、定常状態を取り戻そうとして、痩せたり、太ったりするように自らを自然に調整するわけです。
従って、痩せ過ぎていれば、太ることはあくまでも体の健康な営みであるのに、いくら現在の社会的価値の主流が‘痩せることは良(善)いことだ’ということだからといって、それにおもねって‘生き生きとやせる’という一面だけを強調する(提唱されていることは実際はそうではないにしても)B●●●Sダイエットには問題があります。
要するに「快眠」「快食」「快便」という常識的な活動をしていさえすれば、特別な手段を行使することがなくても、各人に適した体、すなわち 「私としての体」(注記:森川那智子「“やせたい”願望の輪廻から抜け出そう!──ダイエットすればするほど太っていく不思議」『もっとヤセたい!(特集アスペクト16号)』P222))になるはずなのです。
たとえ各人に適った「私としての体」が、各時代・各社会にとって好まれる体型(モードとしての体型)とは違っていたとしても、その相違はまさに「個性」であると見なすべきなのであり、‘太ることは良(善)くない’‘痩せていればいる程良(善)い’という価値観が支配的な現在の風潮は絶対間違っています。
「自然なリズム、すなわち空腹になったから食べて、わあおいしいと興奮があって、少し休息があって、また活動して、という体のリズム」に従うということ、その意味での「私としての体」の復権が今こそ必要なのだと思います。
* * *
B●●●Sダイエット体験記
※上記の拙文を読まれた読者でB●●●Sダイエットを体験された方からメールが届きました。いわゆるこのダイエットの実態がよく分かる体験記ですので、ご本人の許可を得た上で、そのまま公開致します──
こんにちは、omatsuと申します。
b●●●sダイエットに関しての反論をwebにアップされているのでメールを送ることにいたしました。長いメールで申し訳ないのですが、お付き合いくださいませ。反論メールではないのでご安心ください。
実を申しますと私はwww.b●●●s.co.jp(現在「都合によりサービスを停止しております」と表示されています。)で紹介されている医院で治療を受けました。その際の体験をお教えしたく思います。
いろいろとお調べになられたようなのでご存知と思いますが、b●●●sはあまり実態が知られていないダイエットです。日経ヘルスにも紹介されているし、まともなダイエットとばかり思ってたのですが・・・
http://medwave.nikkeibp.co.jp/health/taiken/tai000901.html
(リンク切れ)
実際の治療は非常に問題があるものです。でもb●●●sを紹介しているwebや本ではその実態は全然紹介されていません。わざわざ反論webまで作る気分にもなれないので、反論文をアップされている貴サイトに情報をお送りいたします。
私が治療を受けた医院では「脳疲労」を回復するために、さまざまな抗うつ剤や抗不安剤に睡眠薬も処方しています。びっくりしたのでインターネットで調べたのですが、どれもこれも薬としては非常に危険なものばかりです。
・ルボックス……気分改善
・ドグマチール…胃腸や精神症状を改善
・ハルシオン……睡眠薬
・アローゼン……下剤
・デパス…………精神の緊張・不安、筋肉のこりをほぐす
知合いのお医者さんに聞いたところ、病気でも無い人に処方するのは医師としてモラルが欠けているとのコメントでした。
薬を処方した医師のコメントでは「通常のうつ患者の1/6の量なので問題は無い」とのこと。でも何だかオカシイですよね。
私はルボックス・ドグマチールを朝食後と夕食後に一錠、デバスは毎食後と寝る前、ハルシオンとアローゼンは寝る前に一錠でした。とくにデバスはイライラしたらいつでも飲むこと何錠でもかまわない、いっしょに黒砂糖も取るようにとの指示でした。人によってはもっと飲んでるみたいです。
ハルシオンに関しては、処方した薬剤師さんから「普通に眠気があったら是非飲まないことを勧めます」と念を押されました。「○○先生は変わったの治療方針ですから・・・」なんてコメントも。
真剣にオカシイなと思ったのは、b●●●s.co.jpを主催している団体のリーダーのレクチャーを有料で受けさせることです。医者でも何でも無いオバサンのお話に一時間近く付き合ったのですが、治療行為の一部として400円徴収されました。
値段は別として、レクチャーの内容はおばさんの自慢話と団体が販売している補助食品の宣伝でした。なぜ医院に治療を目的として通ってるのに、資格も免許も無い人の自慢話と製品宣伝にお金を払うのか? また、補助食品も非常に値段が高いものばかりです。
また「脳疲労」の回復のために黒砂糖の摂取を進められますが、それも団体が販売しているもので600円。街に出れば200~300円で売ってる品物を倍の値段で売っています。黒砂糖の値段はたいしたことは無いですが、その他の製品はびっくりするような値段ですよね。。。
医師もおばさんも「無理には勧めないが、杖として使ってほしい・・・」を繰り返します。「杖」とは肥満者がb●●●sを利用して痩せるための道具の比喩らしいのです。
要するに医者とダイレクトマーケッターが結託した新しい手口のa●wayとしか聞こえません。その上危険なうつ剤etcまで飲ませるので、悪質もいいところかと思います。
b●●●sの指導をする医院が全て上記の薬を処方するのかどうかは不明です。でも、お医者サンはカルテに手書きではなく「ハンコ」で一連の薬をポンと押してました。
二週間以上、上記の薬を飲んでいました。一日中眠く、下剤の効き目が辛くてベッドにずっとふせてることも多々ありました。医師に伝えたところ、デバスの摂取を減らすよう指示を受けました。でも下剤の件は、「アフリカ人は日本人の三倍の排便量がある」で却下でした。排便は下痢状態ではないのですが、一日中便意があるのは非常に辛い状態です。
でも●野●彦教授の本でもwebでも、抗うつ剤や下剤を処方していることは紹介されていません。またおばさんのレクチャーが義務付けられていることも紹介されていません。
おばさんの話では、過食症に悩む人たちの相談を受けたりしてるそうです。真夜中の1~4時はずっと相談の電話対応で忙しいそうです。現在の医療保険制度では、内科の医師はコンサル行為では報酬がほとんどないのが理由だそうです。で、彼女が相談窓口となってるとのこと。携帯番号まで教えてくれました。
でも、そんな人たちこそ、ちゃんとした神経科で治療を受けるべきでは。
肥満で悩む方の中にはうつ病の可能性もありえるかと思いますが、あまりにも弱者をバカにした行為で非常に怒っています。
私は保険の適用範囲で治療を受けただけなので、金額的には被害は少ないです。でも普通の倍の値段の黒砂糖を買ったり、変なおばさんの話にお金を払ったり、薬で体調が悪くなる等、十分にさんざんでした。
とまぁ、「至福のダイエット」の経験者の感想です。うつ剤で頭がパーにならなかっただけラッキーだったんでしょうね。
(2003.5.3初出)
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