教育か労働か──問われる“日本語学校の存在意義”
「日本語学校って、今どうなってるん?」
「偽装留学生ってホンマにおるん?」
今まで何度も聞かれてきたけど、改めて考えてみると
──実は深い問いやなぁと感じています。
日本語学校ってちゃんと教育してるん?
それとも就労予備機関なん?
外国人の教育支援~就労支援で10年以上、現場を見てきた立場から率直に言います。
僕の支援経験についてはこちらからどうぞ↓
——今の日本語教育業界、めちゃくちゃ揺れてます。
今回は「制度改革」「教師の国家資格化」「学校の認定制度」など
大転換が進む業界のリアルを支援者ならではの目線で掘り下げてみたいと思います。
データが語る、急増する留学生の現実
まずは今の日本語学校、数字で見てみましょう。
2024年末、日本の外国人留学生は40万人に到達(出入国在留管理庁)
日本語学校在籍者は9万人超で過去最多(2023年5月現在)
法務省が認可した日本語学校(いわゆる告示校)は全国約870校 ──10年前の2倍超
この勢い、すごないですか?
けど……その内情を見てみると、
ほんまに大丈夫?と思うような現実も浮かび上がってくるんです。
参照:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE3058Z0Q5A430C2000000/
偽装留学生問題──“日本語学校バブル”の影
もともとの日本語学校は進学前の準備教育、日本語学習支援など、
社会的意義の高い存在でした。
が、バブル期の「人手不足」×「資格外活動OK」政策の合わせ技により、
「留学ビザ=労働ビザの代替」みたいな使い方が広まりました。
僕が留学生の教育支援をしていた時にこんな話を聞いたことがあります。
💬「授業は出席してるけど居眠りばかり、
夜勤の工場バイトで週28時間ギリギリまで働いてる」
ダブルワークなどでほんまに週28時間以内なのか❔はかなり疑問
💬「最初から日本語習得より“稼ぎ”が目的?」
母国の先輩からの紹介で入国前に既にアルバイト先が決まってる
というケースも……。
これ、誰が悪いんやろ?
留学生本人? 日本語学校? 国?
それとも知らんふりしてた社会なん?
この問題を解決するためには“目的を見失った支援”を提供しないという相当な覚悟が必要です。
日本語学校もこれからは“選ばれる時代”へ
2024年4月「日本語教育機関認定法」が施行されました。
これまでは法務省が“告示校”として緩やかに認可していた制度が、
→ 文部科学省による厳格な審査へ移行。
就職/進学コースの明確化
教職員の人数・資格条件
教育設備の適正性
経営の安定性
ホンマに教育機関として大丈夫なん?っていう基準で審査されるようになったわけです。
2025年3月末時点で申請120校中、認定されたのは41校のみ。認定を受けなかった学校は2029年3月末で留学生を受け入れられなくなります。
どうなるの?“登録日本語教員”制度──教育現場の本音と悲鳴
これまで日本語教師になるには以下のいずれかでOKでした
日本語教師養成講座(420時間)修了
日本語教育能力検定試験に合格
大学で日本語教育を履修
でも、今後は「登録日本語教員」という国家資格の取得が義務化。
2024年11月に初めて試験が行われ、
約18,000人が受験
約11,000人が合格
という結果に。
教育の質の底上げを狙った制度ですが、
💬「じゃあ今までの教員はどうなるん?」
💬「コマ給1,800~2,000円の現場で国家資格取らされるの?」
という現場の悲鳴も……。
増え続ける中国籍留学生と“私学の経営戦略”
千葉県のある私立高校では、在籍生の半数が中国籍に。
背景には、中国の“受験地獄”を避けて日本進学を目指す層の急増と、
「経営再建には中国人留学生や!」
という私学側の台所事情が一致した構図があります。
これもまた、教育と経営のギリギリのバランスをどう取るか?という問いかけを私たちに突きつけてきます。
登録支援機関の視点から考える「留学ビザのこれから」
今回の内容は留学生という“入口”に関する話やけど、僕としては人材紹介・登録支援機関としては「その先」まで見通す必要があります。
留学生増加=日本語教育の充実だけではない
留学生の就職支援と“定着”への導線が重要
「学ぶ→働く→暮らす」をつなぐ制度設計が急務
現実には学んだけど働けない──そんな留学生が今も数多く存在しています。
日本語学校を卒業した後、就職活動に失敗して帰国を余儀なくされる学生。
せっかく日本で学び、日本語での生活に慣れても在留資格の壁や雇用主の理解不足にぶつかるケースはあとを絶ちません。
登録支援機関に求められるのは、
単なる「在留資格手続き」や「定期面談の実施」ではなく、もっと本質的な「教育のその先」を見据えた支援──“暮らしの設計と人生支援”です。
いま問われているのは留学生をどれだけ集めるかではなく、
“どれだけ社会に定着できる形で受け止められるか”。
教育と雇用の“あいだ”のギャップを埋めるのが、僕たち登録支援機関にとってのこれからの使命になってきているように思います。
まじめな留学生と教育現場が損しない社会へ
どんな制度でも抜け道を探す人は出てきます。
(これはなんにでも言えますね)
でも、それによって一番損するのは、
「まじめに勉強しようとしてる外国人留学生」
そして彼らを支えようとしている現場の教師や支援者なんです。
“選ばれる学校”“プロとして報われる教員”“信頼される日本語教育”。
制度も変わる。現場も変わる。
じゃあ、わたしたちは何を変えるべきやろ?
──それはこの業界の動向を見張る「眼差し」なんかも。
2024年の郵送世論調査では、「職場や地域で外国人が増えた」と答えた人が77%(+6pt)。アジア系外国人が92%で最多、中東系も24%(+6pt)と存在感が増しています。一方で、「外国人が増えるのは良いことだ」は67%(-2pt)。「働き手として重要」は85%と過去最高ですが、「積極的に受け入れるべき」は30%(-7pt)と後退。
……これってこういうことやと思うんです。
必要やと思ってる人は多いけど“腹落ちしてない”人が増えてるってこと。
僕は留学生が増えることが悪いとはまったく思いません。
むしろ大歓迎です。
でも、その受け皿である“教育機関”が役割を果たせていないなら、
それは日本にとっても、企業にとっても、僕らにとっても大きな損失です。
まじめな留学生と教育現場が報われる社会へ。
この10年、日本語教育は“人を育てる場”であり続けたか?
これからの10年もそうあり続けられるだろうか?
そのために必要なのは制度と現場と“わたしたちの関心”やと思います。
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── 外国人材、現場からは以上です。
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