【掌編】初恋ルマンド
「皆の初恋ってどんなだった?」
仲間内の一人の家にお邪魔して、菓子パwithゲーム大会。その最中、この手の思い付きを口にするのは大抵が賑やかし担当駒澤である。
「俺はね〜同じクラスの梨香ちゃん! 同じ歳だけどお姉さんっぽい子で、実際三姉妹の長女らしいんだけど、消しゴム忘れた時とかよく貸してくれてさ」
「ああ、なるほど……」
昔から世話焼き女房が好みか。皆の心が一つになり、自然と注目の集まった青山委員長も思う所があるのか苦笑気味だ。
「イインチョーは?」
「スイミングスクールのコーチ」
「エロガキ?」
「エロガキか」
「エロガキだな」
「なんでだよ!」
競泳水着とは通な男児、と騒ぎ立てる思春期男子達。それを真顔で眺めていた家主が一言。
「で、胸派?尻派?それとも足派?」
「やかましい!」
「はいはーい! 俺、イインチョーはくびれ派だと思う!」
「マニアックだなオイ」
そこから巨乳派か貧乳派か、そもそも部位ではなくて全体のバランスが重要なのでは云々と続くのだが、閑話休題。
「駿河っちは?」
「俺かよ」
流れで話題を振られるだろうとは予想していたが、想定よりだいぶ早い。手元の仏壇菓子(と、言うと怒られる)を咀嚼しながらどう返すか考える。なんだがむず痒い視線を感じて、悪戯心が芽生えたのは出来心。
「俺はーー」
🌸🌸🌸
あれは確か4月の初め。この辺の地域では珍しく、入園式当日まで桜の花が見頃のまま残っていた年のこと。
そう、子ども園の入園式の日だ。早生まれの駿河は3歳になったばかり。真新しい制服と黄色い帽子が少し大きくて、何度もずり下がっては上げ直していた記憶がある。
真っ青な晴天にちらちらと舞う桜が鮮やかで見惚れたのも、急な突風に帽子を飛ばされたのもよく覚えている。
帽子は園庭の端まで転がって、ちょうど桜並木の根元で拾われた。
『ありがとう』
帽子を拾ってくれたのは、同じ制服と帽子の、背丈は頭一つ分は高かったがおそらく同じ新入生。
『……け』
『け?』
おそらく、目をぱちくりとまばたいたであろう駿河。きっとそれは愛らしかったに違いない。
駿河本人としては自画自賛のようで気に食わないのだが、“子役さんのよう”と絶賛された2歳年上の姉と瓜二つだった当時の彼は、控えめに表現しても女の子のようであった。
ーーそれが後々までちょっとした誤解とすれ違いを生むのだが、それはさておき、少年の言葉は続く。
『けっこんしてください!』
🌸🌸🌸
「ーー初対面でプロポーズしてきた奴」
「熱烈だね!?」
これ↑とこれ↓のキャラクター達のお話でした。
ルマンド祭ことnoteでBLさんの企画用に考えてた作品の一つだけど、シングルベッド(お題)にたどり着く前にオチがついちゃったやつ。
