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数学に関しての捉え方はちょうどことしあたりが時代の変わり目?


はじめに


 将棋の番組を見ると、AIによる次の予想手が表示される。活用されるようになり何年ぐらい経つだろうか。その頃から私の専門のタンパク質の研究においてもAlphaFoldで立体構造を予測してもらえるようになった。こうしてつぎつぎと社会のさまざまな分野でAIが活用されつつある。そんな中、数学の世界でもさまざまなニュースが。

きょうはそんな話。

将棋で


 将棋の対戦番組を見ていると、AIはいくつかの候補手、ならびにこの手を指すとこれだけ有利になると数値を同時に示してくれる。実際にその第一候補か次善の手を指されることが多い。初心者レベルの私の考える手がそんなコンピュータの予想する候補の中にあるとうれしいもの。私には、次の手がわかる場合はごくわずかで、それ以外は予測できない。AIが予想するようになり、プロの妙技にまた別の楽しみ方ができた。

たまに番組で登場するプロ棋士が務める解説者が、AIの示す第一の候補手を「指すのは難しいですね」とおっしゃる。つまり「人間ならば指さない。」という局面が出てくる。プロ棋士にとり、いくら局面が有利になろうともあまりに細く険しくリスクで恐怖を伴う手はなかなか指せないという。

最近ではAI同士だと先手が有利になりがちらしい。何十手もの先までお互いに読み合うという。その一方で、今も人間同士によるプロの将棋が成立するのも確か。このあたりが興味深く面白いところ。

タンパク質の研究で


 私の専門のタンパク質の研究においてもそれらの立体構造は、DNAやアミノ酸配列情報があると、AlphaFoldがかなりの精度で予測してくれるようになった。これもまだここ10年余りのこと。タンパク質の結晶を得て、X線で解析し、立体構造を解くのが常法。この仕事も大切なのに変わりはないが、AIでかなりの精度で予測ができるようになった。

タンパク質と低分子化合物の相互作用などはいまだにコンピュータでの解析は十分とは言えない。確かに数日前のニュースではAIでウイルスのデザインを行い、実際に細菌への感染、増殖が可能だというニュースは流れた。

潜在的にこれからもできることは増えていくかもしれないが、まだまだ限定的。しかも核内で働くタンパク質のかなりの割合が「天然変性タンパク質」と呼ばれるAIでは予測できない(しづらい)性質をもつ。これらについては生体内でどんな「かたち」で機能しているのか謎が多い。

加えて、私が本当にほしいレベルでのタンパク質のデザインは未だ難しい。何かしらコンピュータに提示し、学習してもらうのに必要な要素が何か、あるいはその要素そのものが示す特有の構造自体が未解明というものが多い。

そういった情報が数項目にわたり欠落している。このうちのいくつかは把握しているつもり。それは従来から連綿と行われている地道な研究か、もしくはそこから派生した手法や考え方により得られるに違いない。

結局はAIとはいえ、もとは人間が蓄積してきた情報を整理して学習する。人間がうまく条件などを与えて、精査・解析して導き出すに過ぎない。いわば人間とコンピュータの共同作業がつづく。

おわりに


 どうやら数学に関してちょうど今年はそんなタイミングの年なのかもしれない。ここ数年というか今年になってから、専門外の私ですら数学に関して、「数学の未解決問題をAIが証明した」とか「未解決な問題に関して反例を見つけた」などのニュースが続いている。

どうも私の専門分野のみならず難解な数学においてすら、後に振り返るとちょうど今年あたりが時代の変わり目になるのかもしれない。


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