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「言わなければよかった」と思う夜に | 小さな夜話

——信じた自分まで、責めなくていい


言わなければよかった。

あんなことまで話さなければよかった。

もう少し考えてから、口を開けばよかった。

誰かに話したあとの夜、頭の中で何度も会話をやり直してしまうことがある。

どこまで話したっけ。
あの人は、どう受け取っただろう。
誰かに言われたりしないだろうか。

さっきまでは少し楽になった気がしていたのに、一人になると急に不安になる。

胸の奥がざわざわして、渡してしまった言葉を、ひとつずつ回収しに行きたくなる。

でも、もう戻せない。

そのことが、余計に怖くなる。

あの時は、ひとりで抱えているのが、少ししんどかった。

ただ、誰かに聞いてほしかった。

「大丈夫」と言ってもらいたかったのかもしれない。

だから、話した。

信じてもいいように見えた人に、自分の気持ちを話した。

あとから、自分の話が別の人に伝わっていたと知ることもある。


そんな時は、

「見る目がなかった」
「簡単に信じた私が悪い」

と、何度も自分に言いたくなる。


でも、あの時は、そんなことまで考えられなかった。

相手が、このあと誰に何を話すかなんて、わかるはずもなかった。

今になってわかったことを、あの時の自分に求めるのは、少し違う気がする。


今夜はまだ、

「信じた自分は悪くなかった」

とまでは思えないかもしれない。

それでも、

「全部、私が悪かった」

と決めなくてもいい。


誰かなら受け止めてくれるかもしれないと、少し期待していた。


今夜、あの会話を何度思い出しても、言葉はもう戻ってこない。

もう今夜くらいは、あの会話を何度もやり直さなくていい。


あの時は、誰かを信じてみたかった。

それだけだったのかもしれない。




誰かに話したあと、「言わなければよかった」と何度も会話をやり直してしまう。

その痛みの背景にあった体験と、私が長いあいだ自分の感覚を疑っていた頃のことを、エッセイに書いています。

私が感じたことは、いつも間違っている気がした|エッセイ
——自分の感覚より、相手の言葉を信じていた頃

預けた言葉がどう扱われるのか、そして「いい人そうな人」とどう距離を取ればいいのかを、もう少し整理したい方はこちらへ。

そのやさしさは、誰のためのものか|観察ノート【職場編】
——「いい人そうな人」に疲れてしまう理由


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