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【ベトナム・タイ訪問記3日目①】歴史の傷跡を辿る旅路 – クチトンネル、大地の下の物語


1.はじめに



実は、昨日朝食会場で、ピンクの教会を薦めてくれた従業員さんがいましたが、もう一つ提案を受けていました。

いわゆるツアーですが、Klookなどで探してもよかったのですが、まあ乗っかっちゃおうかなと。
ただ、ちょっと時間も余裕を持たせたいなと、Cu Chi TUNNNELのツアー(午前中のみ)を予約していました。

そして、旅の3日目の朝。
ちょっと早く起きて、朝食を食べ、車が来るのを待つ。

今日の目的地は、その華やかな都市の顔のすぐ下に隠された、もう一つのベトナムの魂に触れる場所だ。ベトナム戦争の記憶を色濃く残す、クチトンネル。それは単なる観光地ではなく、この国の歴史と人々の不屈の精神を物語る、生きた証言そのものである。

ホテルの快適な静寂から一歩外へ出れば、今日もバイクの川が轟音を立てて流れている。しかし、その日常の風景の裏側には、想像を絶する過酷な戦いを生き抜いた人々の物語が横たわっているのだ。これから向かうのは、大地の下に築かれた巨大な地下要塞。ジャングルの土と汗、そして不屈の魂が染み込んだその場所で、私は何を感じ、何を思うのだろうか。さあ、歴史の証言が待つ場所へ、時を超えた旅を始めよう。

2.タイムライン

2.1.旅の前の腹ごしらえと、郊外への道 <06:53~08:30>

クチトンネルツアーのスタートが早かったので、早起きして朝食を。
やはり、パンがおいしいということが分かったので、パンを中心とした食事をチョイス。

プレートの上は、鮮やかなピンクのドラゴンフルーツ、熟れたパパイヤ、ロンガン。チョコレートがけのドーナツ、バターの香り豊かなクロワッサン、そしてベトナム独特の緑色のゼリー菓子や焼き菓子が並ぶ。ハムやサラミ、チーズも添え、まさに多国籍な饗宴だ。この豊かな食文化こそ、今の平和なベトナムを象徴しているのかもしれない。

腹ごしらえを終え、部屋に戻り。
ツアー会社のバスが時間通りに迎えに来てくれた。今日参加するのは「VN BIKE TOUR」が催行するクチトンネル半日ツアー。ホテルで支払いを済ませられる手軽さが決め手となった。ワンボックスに乗り込むと、すでに様々な国から集まった旅行者たちの期待に満ちた顔ぶれがあった。

バスはホーチミン市内の喧騒を抜け、徐々に郊外へと向かっていく。車窓の風景は、高層ビル群から低層の家々、そして緑豊かな田園地帯へとドラマチックに変化していく。これぞ旅の醍醐味だ。ガイドの流暢な英語が、これからの道のりとクチトンネルの歴史の概要を語り始める。


2.2.職人の技と、思いがけない出会い <08:30~10:00>


クチトンネルへ向かう道の途中、バスは一軒の大きな工房で停車した。ベトナムの伝統工芸である漆器の工房だ。ここは、戦争で障害を負った人々が職人として働き、自立するための支援施設も兼ねているという。

一歩足を踏み入れると、そこは色と光の洪水だった。壁一面に飾られた巨大な漆絵は、メコンデルタの水上マーケットや、アオザイを着た女性たちの優雅な姿を見事に描き出している。卵の殻や貝殻を細かく砕いて埋め込む「螺鈿(らでん)」の技術が、絵に立体的な輝きを与えていた。棚には、色とりどりのカップや小鉢、トレーが整然と並び、その一つ一つに職人の丁寧な手仕事が息づいている。それは単なる土産物ではなく、ベトナムの文化と歴史、そして人々の誇りが詰まった芸術品だった。

ここで私は、一着の衣服に目を奪われた。

ビニールに丁寧に包まれた、深い紺色のシャツ。お店の人は「バンブー(竹)製だ」と教えてくれた。竹の繊維から作られた生地は、シルクのように滑らかで、それでいて驚くほど軽い。持続可能な素材として世界的に注目されているが、日本ではまだ珍しい。この国の豊かな自然と、それを活かす人々の知恵が生んだ逸品だろう。私は迷わずそれを購入した。歴史を辿る旅の途中で、現代ベトナムの新しい魅力と思いがけない出会いを果たした瞬間だった。

2.3.大地の下の物語、クチトンネルにて <10:00~12:30>

工房を後にし、バスは再び走り出す。そしてついに、深い緑に包まれたクチの森に到着した。空気はひんやりと湿り気を帯び、土と草いきれの匂いが濃密に漂う。

まず案内されたのは、野外の展示エリア。そこには、ベトナム戦争の生々しい記憶が静かに横たわっていた。

木々の間に、錆びついたアメリカ製の戦車が鎮座している。かつてジャングルを蹂躙したであろうその巨体は、今や訪れる観光客たちの記念撮影の背景となっていた。長い砲身は、沈黙したまま何を語りかけてくるのか。ガラスケースの中には、当時使われていた様々な銃器も展示されていた。

これらが実際に使われていたのかと思うと、胸が締め付けられる。

ガイドに導かれ、私たちはジャングルの奥へと進む。そして、彼が指さした場所を見て、誰もが息をのんだ。

地面に、人が一人やっと通れるほどの小さな穴がぽっかりと口を開けている。これが、ゲリラ兵士たちが出入りに使ったトンネルの入り口だという。枯葉で巧みにカモフラージュされれば、すぐそばを通っても気づくことはないだろう。この大地の下に、全長250kmにも及ぶ地下ネットワークが迷路のように張り巡らされているとは、にわかには信じがたい光景だった。

ここでは、戦時中の生活を再現した展示も見ることができた。

土間の小屋で、女性がライスペーパー作りの実演をしている。米粉を水で溶いた生地を蒸し器の布の上に薄く伸ばし、蒸し上がったものを竹製のすのこの上で乾かす。これが兵士たちの貴重な食料の一つだったという。

そして、ついにハイライトであるトンネル探検の時が来た。観光用に少し広げられたトンネルに、一人ずつ体をかがめて入っていく。

中は完全な暗闇。ひんやりとした湿った空気が肌にまとわりつき、土の匂いが鼻をつく。腰をかがめ、壁に手をつきながら進む。ほんの数十メートル進んだだけなのに、息が上がり、汗が噴き出してくる。光も音もほとんどない地下の世界。ここで人々は何年も暮らし、戦い続けたのだ。その精神力と忍耐力は、私の想像を遥かに超えていた。この暗く、狭く、息苦しい空間こそが、ベトナム戦争のもう一つの真実の姿なのだ。

地上に出たとき、当たり前のように降り注ぐ太陽の光と、自由に呼吸できる空気のありがたさを、これほど強く感じたことはなかった。クチトンネルの訪問は、私に平和な日常がいかに尊いものであるかを、強烈に再認識させてくれたのである。


★ログ情報

  • ツアー予約情報:

    • 会社名: VN BIKE TOUR CO.,LTD

    • ツアー名: CU CHI TUNNELS

    • 日時: 2025年8月14日 08:00-08:30 AM

    • 料金: 940,000 VND

    • 支払い方法: ホテルにて支払い 

  • Wiseの利用状況: この時間帯はツアー参加中のため、個別のWise決済はなし。

  • Grabの利用状況: この時間帯はツアーバスでの移動のため、Grabの利用はなし。


3.旅のまとめ


ホーチミン3日目の午前は、単なる時間の経過ではなく、現代の平和なベトナムから、その礎に横たわる壮絶な過去へと潜っていく、まさに時空を超えた旅路だった。ホテルの洗練された朝食ビュッフェが象徴する「光」の世界から、大地の下に広がるクチトンネルという「影」の世界へ。そのコントラストはあまりにも鮮烈で、私の心に深く刻み込まれた。

道中で立ち寄った漆器工房は、その二つの世界を繋ぐ架け橋のような場所だったかもしれない。戦争によって傷ついた人々が、その手で息をのむほど美しい伝統工芸品を生み出す。それは、逆境の中からでも力強く立ち上がり、新たな価値を創造するベトナム人の精神そのものを見ているようだった。思いがけず手に入れた竹製のシャツは、単なる土産物ではなく、その不屈の精神の象徴として、私の旅の荷物の中で特別な重みを持つことになった。

そして、クチトンネル。あの暗く、湿った、息の詰まるような空間での体験は、書物で知るベトナム戦争の知識を、五感で感じる生々しい現実に変えた。カモフラージュされた小さな入り口、ゲリラ兵士たちの生活の知恵、そして何よりも大地の下で生き、戦い抜いた人々の計り知れない精神力。これらは、この国のアイデンティティの根幹を成すものであり、今日のベトナムの発展と人々の笑顔の裏にある、決して忘れてはならない物語なのだ。

この午前中の旅は、私に教えてくれた。ホーチミンの魅力は、きらびやかな高層ビルやバイクの洪水だけではない。その大地の下に眠る記憶と共に、力強く未来へ向かう人々の魂の中にこそ、真の輝きがあるのだと。


4.補足


  • GPSデータ(時刻は現地時間)

    • 2025-08-14 06:53:13 | 10.779061, 106.703850 | Silverland May Hotel (レストラン)

    • 2025-08-14 08:05:16 | 10.779022, 106.704056 | Silverland May Hotel 付近 (ツアーピックアップ時)

    • 2025-08-14 10:00:36 | 10.964589, 106.542306 | 漆器工房 (推定: カイベー付近)

    • 2025-08-14 10:46:04 | 11.063136, 106.529161 | クチトンネル (銃展示エリア)

    • 2025-08-14 11:07:14 | 11.061894, 106.527306 | クチトンネル (トンネル入り口)

    • 2025-08-14 11:16:12 | 11.060997, 106.527261 | クチトンネル (戦車展示エリア)

    • 2025-08-14 11:59:54 | 11.059531, 106.528336 | クチトンネル (ライスペーパー実演エリア)

    • 2025-08-14 12:09:50 | 11.060614, 106.528328 | クチトンネル (トンネル内部体験)

  • ホテル・航空券予約情報

    • ホテル: Silverland May Hotel (8/12-16, 4泊)

  • レシート情報

    • クチトンネル半日ツアー: 940,000 VND (VN BIKE TOUR CO.,LTD)

  • 歩数情報:

    • 8月14日(木): 16,435歩 (推定12.33km) - ツアー参加と市内散策を含む一日の合計値。

つづき


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