『国宝』下巻(花道篇)を読む|人生の別れと芸の孤独が問いかけるもの
『国宝』の下巻を読み終わりました。先日、上巻を読了し、興奮冷めやらぬまますぐに続編を手に取りました。
『国宝』上巻(青春篇)の感想はこちら
芸の道は厳しいですが、それ以上に人生は世知辛いものだと感じました。しかし、人生の生き方を改めて考える良いきっかけを与えてくれる作品だと感じました。
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今回は、『国宝』下巻(花道篇)の感想を書きますが、ネタバレがございますので、どうかご了承いただきたく思います。
◆人生は出会いの数だけ別れがある:充実した人生は、辛いことを乗り越えた先にある
『国宝』下巻(花道篇)は喜久雄の中年期から円熟期のことが描かれています。人生の成功とは何なのか、充実した人生とは何なのか問われているような気がしま篇た。
人生順風満帆に見えて、出会う人々にはうれしいイベントもあれば、悲しいイベントも起こります。そんな苦しいことを超えた先に充実した人生があるのだなと思いました。
ただ、充実しているかどうかは、後になって初めて実感するものだと思います。総じて、今ある出会いを大切にし、楽しいと感じられることがあれば、それを楽しいと思うこと。それが人生を生きる上で大切でかけがえのないことなんだなと感じました。
本作を読むと、感動場面もありますが、辛い別れも同じくらい描かれており、人生の深さを改めて実感しました。
◆読まれる方の年代により、捉え方が大きく異なる作品
読んでいて感じたのですが、感想は一つではないと思います。本という媒体はそういうものですが、特にこの『国宝』という作品はそう感じました。
20・30代/40・50代/60・70代 の3つくらいに大別もできてしまうと思うのです。(入っていない年代の方すみません。花道篇は大人の世界です)
20代や30代の若い世代であれば、登場人物たちの情熱や葛藤、夢に向かうエネルギー、ライバル関係の緊迫感などに強く心を揺さぶられることでしょう。未来への希望や不安、自己実現の模索といったところが強く響きそうです。この先の人生について希望だけではないものを感じ取れるかもしれません。
40代や50代になると、より複雑な人間関係や責任感、人生の選択、挫折や再起の意味に深みを感じるのではないでしょうか。芸の追求だけでなく、家族や社会的立場、過去の積み重ねと向き合う姿が、自分の過去から今にかけて思うことがあると思うのですね。
そして60代や70代の世代には、人生そのものの儚さや孤独、成熟した芸術の美しさと儚さ、そして次世代への継承という視点でより深い理解や感慨が生まれるような気がするのです。登場人物の人生の最後の局面や、彼らが抱える重荷と業のようなものに寄り添う気持ちになるのではないでしょうか。
自分はまだ50代のため、60代・70代の視点は未知の部分もありますが、人生のステージによって感じることは多様ですし、自身がこれから進むステージにも思いを巡らせることができる作品ではないかと感じています。まさに人生を感じる作品だと言えるでしょう。
◆芸の最高地点へ至る過程には分岐点がある

主役の喜久雄は、ヤクザの息子出身で、歌舞伎の一家にお世話になります。そこから、その一家の大黒柱まだになるのですが、血筋ではなく秀でた芸によりそのポジションに至ります。
表面上は芸の実力で頂点に立った美談のように思えますが、実際はそう単純な話ではないと感じました。世襲の重みやむずかしさも見えてきたのです。うまく言葉にできませんが、実力だけでは超えられない壁もあると感じました。
たしかに、芸を磨くことで、皆から賞賛を浴びるようになります。賞賛するのは、お客さんでありまして、お客さんの理解あってのものなのです。
ところが、芸を極めていくとお客さんの感動ポイントを超えていかないといけないのです。つまり一見すると「お客さんが理解できない独りよがりな芸」となるわけです。
これは、素人芸にも通じる状況ですが、素人のものと、熟達したものは確かに異なります。突き詰めれば突き詰めるほど、どんどん孤独になり、それに耐える必要が出てくるのだなと気づきました。
それもまた辛いことですが、それも人生の一部だと感じます。そこまで来て、国宝と言われる芸を極めた状態になれるのだと感じました。
◆映画は3時間の大作|原作と映画の違いを堪能してこようと思います
さて、ここまで読んできたのは、『国宝』の映画版を楽しむためでもあります。今世間で高評価が起きているのは、映画版のほうです。もちろん書籍も人気作品ですけど、注目は映画です。
高評価といえど、当然賛否両論があるのも無理はありません。原作が20時間もかかる長編を、3時間にまとめているのですから。
原作を読んで、その違いを堪能してこようと思います。絶対に原作と違うはずなのです。そうしないと20時間を3時間という短い尺におさめられないので。
3時間は映画としては長尺で、集中力の限界ギリギリ、あるいはそれを少し超えているかもしれません。しかし、その時間だからこそ描けた部分も多いのだと思います。そんな作品を楽しんで来ようと思います。
そして、こちらが実際に映画を観てきた感想です。よろしければご覧ください。
恒例の余談:1年前には何を書いていたか
ここからはいつもの余談です。いつも1年前に何をしていたかを振り返っています。イシュードリブンについて書いていたようです
イシュードリブンとは、どんな課題を設定するかという考え方です。課題とは「将来のために、今ケリをつけておくべき問題」です。この課題を解決すると改善した未来がやってきます。
この時、課題解決をするよりも、どんな課題を設定するかが重要なのです。誰しも課題解決には試行錯誤が必要です。多くの失敗を経験する中で、「筋良い課題」を見極められる人ほど、成功の確率が高まるのです。
その効率の差は100倍もの差があると言われており、無視できない重要なポイントです。
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