老化の常識を覆すジェロサイエンス【銀座アイグラッドクリニック】
「老化だから、しょうがない」
そう思っている方が、多いのではないでしょうか。
ところが、
「老化は治る」という仮説が、現実味を帯びてきているようです。
その中心に位置するのが、【ジェロサイエンス(老化医学)】という学問です。
この新しい学問を知っているだけで、老化への向き合い方が変わります。
▪️ジェロサイエンスとは
ジェロサイエンスとは、「老化そのものを治そう」とする学問です。
「老化が治る?」と感じた方は、当然の反応だと思います。
ですが、部分的には、老化は治せるということが判明しています。
ジェロサイエンスを正しく表現すると「何かしらの働きかけをすることで、老化はコントロールできる」とする学問です。
これにより「治せる老化」と「治せない老化」が、どんどんすみ分けされていくことが予想されています。
ジェロサイエンスは、老化を扱うという意味では、アンチエイジング・老年学・老年医学と似ています。
しかし、新しい名前が与えられるということは、何かしらが違う訳です。

▪️なぜ今、ジェロサイエンスが注目されているのか
「雷」で考えてみましょう。
昔から雷の存在は知られていました。
テクノロジーがない時代、人々はそれを「風神や雷神の仕業」と解釈していました。
それが、物理学という学問が発展して初めて、氷の粒同士の摩擦によって生じた静電気の、放電現象だと分かったわけです。
ジェロサイエンスも、同じです。
テクノロジーの進歩によって、細胞レベルで、遺伝子レベルで、分子レベルで、何が「原因」で、どういう「老化現象」に繋がるのかの解明が進みました。
そうして生まれたのが「老化とは、積極的に働きかけることで、治すことが出来るのではないか」という仮説です。
このインパクトは、これまでの医学の常識を大きく揺るがしています。

▪️ジェロサイエンスがもたらす未来
ジェロサイエンスは本来、「健康寿命」を延ばすことを目的としています。
生存期間としての寿命を延ばすのではなく、健康に過ごせる期間を延ばし、寿命と健康寿命とのギャップを無くすことです。
しかし、このジェロサイエンスの特殊性は、別のところにある可能性があります。
これまで、多くの医学的な進歩によって、寿命の延長が叶ってきました。
衛生環境の整備、栄養状態の改善、抗菌薬の開発、など。
これらがもたらしたのは、“集団”に対する“平均寿命”の延長でした。
ジェロサイエンスは、これに加えて、“個々人”に対する“最大寿命”の延長、すらもあり得るのです。
事実、動物実験では、これを支持する研究結果も報告がなされています。
そうであるならば。
医療や介護の在り方も、変わる可能性があります。
生命保険や年金制度なども、変わるかもしれない。
個々人の人生設計はもとより、社会の在り方そのものが変わる可能性があるのです。
そうなると「なんのために生きるのか」という“生き甲斐”が重要になってきます。
実は、この「生き甲斐」は、英語圏では「ikigai」として、論文などでも紹介されているのです。
家庭菜園を楽しむ、朝のお茶を嗜む、猫の世話をする——そういった日常の中にある小さな喜びが、健康長寿につながるとされています。
ジェロサイエンスは医療の話であると同時に、社会全体の豊かさに関わる話でもあります。
それってすごくワクワクしませんか?
▪️老化治療は、全身へつながっている
老化が関係しない臓器は、体の中に1つもありません。
脳も、心臓や肺、肝臓や腎臓も、すべての臓器が老化します。
ジェロサイエンスはその意味で、特定の疾患や領域に限らず、すべての医療の根幹につながっている学問です。
たとえば腎臓の老化が進めば、透析が必要になるリスクが高まります。
透析は患者さんの生活の質を大きく下げるだけでなく、社会的な医療費の負担も大きい治療です。
老化治療によって腎機能の低下を緩やかにすることができれば、透析回避につながる可能性があります。
肺であれば肺線維症、脳であれば認知症など。
いずれも老化細胞が深く関与しています。
そして、この老化細胞を取り除くことを目的に、抗がん剤が使用されたりもしています。
結局のところ、専門領域としての縦割り構造だけでは、対応しきれないのです。
がんを専門に扱う病院が、必ずしも老化細胞に関係の深い肺線維症や糖尿病性腎症、アルツハイマー型認知症を扱う訳ではありません。
しかし、ジェロサイエンスという視点に立てば、これらはすべて「老化」という共通の軸でつながっています。
美容医療も例外ではありません。
シワやたるみも医学的に見れば「肌という体表臓器における加齢性の変化」であり、表面の症状だけを整えるより、老化そのものに介入する方が本質的なアプローチです。
ジェロサイエンスは、縦割りになりがちな専門領域を横につなぐ学問でもあるのです。

▪️保険診療と自由診療「循環する医療のあり方」
保険診療は、本来はとても優れたシステムです。
しかし、全てを魔法のように叶えてくれるものでもありません。
医療費の財源に対する議論は、まったなしです。
社会保険料という名目での、給料天引きは、政治でも話題になってきました。
限られた財源の中で、それでも高度医療を含めた提供体制を維持していかなくてはならない。
税金が関係する領域である以上、その資金使途についても説明を果たし、現実的な路線を探っていく必要があります。
その解決策の一つに、保険診療と自由診療で、医師や資金の循環を生み出すことがあると考えています。
保険診療が主に担ってきた、医の精神とでもいうべきものと。
自由診療で初めて体験する、価格決定*ー生み出した付加価値ーと向き合う姿勢。(保険診療では、公的機関が価格を決めています。このため、医業を担う主体が、事業継続性のために価格を調整することが出来ません。)
この両方が補いあう形で、より良い医療を叶えていくのはどうでしょうか。
それをまず実現する領域として、ジェロサイエンスよりも相応しいものはないのではないか、と考えています。
▪️老化と向き合う、最初の一歩
今すぐ特別なことを始める必要はありません。
ただ一つだけ、知っておいていただけたらと思うことがあります。
「老化は治るかもしれない」という仮説が、世界の医学の最前線で真剣に研究されているということです。
たとえば「老化細胞除去薬」と呼ばれる化合物の研究が進んでいます。
老化した細胞を選択的に除去することで、老化に関連するさまざまな疾患を予防しようとする試みで、すでに海外では臨床試験も始まっています。
今はまだピンとこなくても構いません。
「老化は仕方がないもの」という前提を一度だけ外してみてください。
世の中の方向性として、その前提が変わりつつある。
その事実を知っておくことで、気持ち前向きになっていただけたら嬉しいです。
次回以降も、ジェロサイエンスや老化治療の具体的な内容についてお伝えしていきます。
フォローやスキボタンを押していただけますと励みになります。
どうぞよろしくお願いします。
銀座アイグラッドクリニック
院長 乾 雅人
