全長53.5kmの海外山旅。ミルフォード・トラックを歩く
まだ日が登る前の真っ暗な6:45の朝、ドタドタという誰かの足音で目が覚めた。ニュージーランドにあるMilford Track(ミルフォード・トラック)で迎える初めての朝だ。昨日までの出来事は夢なんかじゃない。

● 前回までのお話
24万円ツアー2日目の朝、眠い目を擦りながらリビングへ向かうと、テーブルの上にサンドウィッチと具材がたくさん用意されている。その日のランチは自分たちで作るため、好きな具材を詰め混み放題だ。みんなでサンドウィッチを作る光景は学生の頃の家庭科の授業を思い出して、何だか懐かしくて楽しい。
ケーキやグミなどのお菓子も用意されていて、自由に持って行って良い。提供されるのは3食分の食事だけだと思っていたので、5日分のチョコを大量に持参した私。くそう


8:30から9:00のうち好きな時間に出発し、自分のスピードで歩くことが出来る。9割の人はしっかり8:30に出発していたけど、私はその間呑気に歯磨きをしていて、気がついたら周りはガイド以外誰もいなくなっており、慌てて山小屋を出た。

ツンっと冷たい空気が全身を包み込む。寒いのは苦手だけど、これから待っている景色へのワクワクが勝り足取りは軽い。ミルフォード・トラック2日目、いってきます。
おじさんの髭
今日のゴールは16km先にあるハット。高低差はあんまりなさそうだ。くねくねした木道を歩いていくと、イケメンガイドが突然話しかけてきた。おいでおいでと、地面を指差す彼。そして、こう言った。
「This is オジサンノヒゲ!!」
「!?!?」一瞬時が止まった。頭の中を高速回転させ、ようやく彼が日本語を話したとわかった私たち夫婦は意味を理解してお腹を抱えて笑う。木道のすぐそばには、白くてモジャモジャした"おじさんの髭"が大量に生えていた。
まさかニュージーランド人がいきなり日本語を話すなんて思わなかったぞ、イケメン。

どんどん進んでいくと、途中数名の人だかりができている。よく見ると鳥が寄ってきていて、撮影会が始まっている様子。珍しい鳥なのかな?わからないけど、みんながカメラを構える先に小さくて可愛い鳥がちょこんとこちらを見つめていた。


最高にイケてる木
小鳥とバイバイをした後のこと。イケメンガイドが「もうすぐ、最高にクールな木が現れるんだ」と急に足を進めるスピードが速くなった。最高にクールな木・・・?何だそれは。と思いながら必死についていくと、大きな木が現れた。大きいと言っても、このレベルの木は他にもたくさんあるし、何が特別な木なんだろう。

「実は、この木の後ろに昔の電話ボックスの残像があるんだ」
その場に居合わせたみんなでぐるっと木を回ってみると、確かにある。何だか日本の屋久島を感じさせる、そんな木と木のボックスだった。ガイドがいなかったら絶対に気づかなかったと思う。てか、"最高にクールな木"って紹介の仕方めっちゃええやん。

ホッと一息ランチタイム
だいぶお腹が減ってきた。持ってきているチョコも食べつつだけど、そろそろ腹へりが限界だ〜と嘆いていると、"LUNCH"の看板が出てきた。

実はこのLUNCH場所、ツアー参加者が優先らしい。カウンターがあり、中ではガイドが温かいコーヒーやお茶を出してくれる。さ、さすが高額ツアー。あったかいココアを喉に通し、疲れた体にじんわり染みる。あーー生き返る!!
ミルフォード・トラックは人数制限があるものの個人ウォーカーも歩くことができる。ハットは完全に別、休憩場所も分けられていたりする。

気づくと周りに人が少なくなっていた。みんなお昼ご飯食べるの早すぎやしないか。私も自分で作ったサンドウィッチをササっと食べ、前へ進む。すると、右手にとても綺麗な川?湖?を発見。

今まで色んな山に登ってきたけど、どこにも同じ景色なんてなかった。たとえ同じ山であっても、登る時間や仲間、季節によって山が見せる顔はいつも違う。
面白い名前をした植物、見たことのない小鳥、昔の人が残した歴史の跡、エメラルドグリーンに透き通った川。私の知らなかった景色たち全てが、エネルギーを与えてくれる。
幻想的な景色の中で
後半戦、まずはHidden Lake(隠れた湖)へ。名前から漂う素敵なスポット感。本道から少し外れたところにあり、ガイドがおすすめしてくれたので行くことにした。
"Hidden Lake"と書かれた看板の先には、透明な湖とすぐそこにそびえ立つ山とその頂上から流れ出る滝。その何とも美しい景色が待っていた。あえて、その写真は載せないでおく。

そうこうしていると、雲行きがどんどん怪しくなってきた。「雨が降りそう」「あと少しだから、耐えてほしいね。」そう夫と話しながらも、ポツリポツリと小雨が降り出したので、レインジャケットを取り出し雨対策。
ふと顔を上げると、薄く雲のかかった山が幻想的で儚げで美しい。太陽の光が小雨の間に差し込み、優しく木々を照らす。嗚呼、美しい。少しでも長くこの景色を眺めていたくて、首が痛くなるくらい上を向きながら、世界一美しい散歩道を全身で感じて歩いた。

フィヨルド地形だからこその山との距離感。ある意味、恐怖をも感じる。伝われ、この壮大さ。

豪華ハットがお出迎え
ようやく、この日のゴールであるハットが見えてきた。居合わせたツアーメンバーと写真撮影。イェ〜イ!!
私たちがついたと同時に、小雨だった雨がザーザーと音を立て大粒に変わったのでギリギリ耐えた。


さすがに今日は相部屋かな〜と扉を開けるも、この日も相部屋なしで2人で占領。思わずRADWIMPSのいいんですか?を口ずさむ私たち(え)。疲れていたので他の人に気を使わなくて良いのは嬉しい。ちなみに、この後も全日程相部屋することはなかった。


今日も一日お疲れ様でした。さて、いよいよ明日はミルフォード・トラック一番の山場が待っている。
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