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楽な育児(8) 背骨の家:育児における第三の選択肢

はじめに

私の心にずっと残っていて、目標としている話を書きたいと思います。それは「背骨の家」です。

Barbara Coloroso 著、田栗美奈子訳の「子どもに変化を起こす簡単な習慣」という本に載っていた考え方です。この本によれば、育児について 3 つのタイプの家庭があります。レンガ壁タイプ、クラゲタイプ、そして背骨タイプです。多くの家庭は、レンガ壁とクラゲの間で揺れ動いているのではないでしょうか。しかし、実は第三の選択肢があるのです。

二つの対立するタイプ

レンガ壁タイプの家庭

レンガ壁タイプの家では、親は子どもに細かく指示し、強制し、従わせます。上からの強い力で子どもを支配し、強固な結びつきを作ります。しかし、内心は別にあります。

クラゲタイプの家庭

一方、クラゲタイプの家ではその逆で、放任です。子どもが悩んでも自力で解決させ、逆に子どもが反抗すればあっさり方針を変えてしまいます。見かけは、子どもの自主性を尊重しているように見えます。

世の中のせめぎ合い

結構、世の中この 2 つのタイプのせめぎ合いのような気がします。例えば、家庭内ではこんな会話が繰り広げられます。

私「おいおい、そんなにガミガミ言わなくてもいいだろ。」
妻「何よ。そういってあなたはいつも放ったらかしで何もしてないじゃない。」

会社でもそうです。とにかく厳しい規律と細かな指示の下に動くことを求める上司と、勝手にやってという上司。この 2 つのタイプの間で、多くの人が行き詰まっているのではないでしょうか。

じゃあどうすればいいでしょう。これだけだと、夫は今より子どもの面倒を見なくちゃいけなくなって不満、妻は今より怒りたいことも怒れなくなって不満、という双方痛み分けみたいなところに解がありそうにみえます。しかし、実は第 3 の選択肢があるのです。

第三の選択肢:背骨タイプの家庭

背骨の家の特徴

背骨タイプの家では、生活に方針を与えるしっかりした骨組みがある代わりに、それ以外の部分は柔軟です。指示にはちゃんと理由や意図や狙いがあり、それを子どもに伝えます。だから、ちゃんとした方向付けのもとで、子どもは自主性を持って動くことができます。

例えば、楽な育児(2)で紹介した「何か忘れてることない?」という問いかけは、背骨の家の考え方を体現しています。細かく指示するのではなく、子ども自身に考えさせる。これが背骨の家のアプローチです。

また、楽な育児(3)で紹介した「目標を決めて進捗管理する」方法も、背骨の家の考え方と一致しています。目標を決めることは「骨組み」であり、その達成方法は子どもに任せる「柔軟な部分」です。

具体例を出します。こんな感じです。

レンガ: 「宿題終わったの? 8 時だからお風呂入りなさい!」
クラゲ: (何も言わないで、朝になって慌てる)
背骨: 「我が家は 9 時には寝るルールだよね(骨組み)。それまでに宿題とお風呂をどう済ませるかは任せるよ(柔軟性)。」

この「背骨」はおそらく「7 つの習慣」の「原則」にも通じるものなのでしょう。原則に基づいた方針を提示し、その範囲内で柔軟に対応する。これが背骨の家の本質です。

心理学の分野では、エドワード・デシとリチャード・ライアンによって提唱された「自己決定理論」が、背骨の家の考え方を支持しています。自分で決定する権利を持つこと(自律性)が、内発的動機づけを高めることが示されています。背骨の家では、指示に理由を伝えることで、子どもが理解し、自主的に行動できるようになるのです。

また、ダイアナ・バウムリンドによって提唱された育児スタイルの分類では、「権威主義的育児(Authoritative Parenting)」という概念があります。これは明確なルールと期待を設定しつつ、子どもの自主性を尊重し、理由を説明して子どもに理解させるというアプローチです。背骨の家の考え方は、この権威主義的育児と多くの共通点を持っています。

背骨の家を目指す意義

もちろん背骨の家を目指すのは簡単ではないです。ただある程度、背骨のポイントを押さえれば、枝葉は気にしなくて済むようにはなるので、「楽」にはなります。

親が楽になれば、その分ゆとりに回すことができます。ゆとりが出れば、よりよい育児ができるはずです。これは一見矛盾しているように見えますが、実際には親の心の余裕が、子どもの成長にとって最も重要な要素の一つなのです。

また、レンガとクラゲの間で行き詰まったときに、背骨という第三の選択肢もあるということを思い出すのはよいことではないかと思っています。完璧な育児を目指すのではなく、親も子供も楽になる方法を探すことが大切です。

会社組織への応用

そして会社でも、同じような構図が見られます。とにかく規律を押しつけてくる「上」。それに反発し自由を勝ち取ろうとする「下」。正解はどちらでもないのでしょう。

背骨の家の考え方は、育児だけでなく、組織マネジメントにも応用できます。厳格な管理でもなく、放任でもない、方針を明確に示しつつ、その範囲内で自主性を尊重するマネジメントスタイルは、現代の組織運営においても有効です。

おわりに

背骨の家という考え方は、育児における第三の選択肢を提示してくれます。レンガ壁でもなく、クラゲでもない。しっかりした骨組みがありながら、柔軟に対応できる。これが背骨の家の魅力です。

完璧な育児を目指すのではなく、親も子供も楽になる方法を探すことが大切です。背骨の家を目指すことで、親のストレスが軽減され、子供の自主性も育まれる。これが楽な育児シリーズの基本思想でもあります。

レンガとクラゲの間で行き詰まったときに、背骨という第三の選択肢もあるということを思い出すのはよいことではないかと思っています。みなさんの育児が少しでも楽になる方法が見つかるといいなと思います。

(つづく)

レンガでもクラゲでもない!育児の新常識「背骨の家」が最強すぎる」は、本記事のエンタメ版です。本記事が硬く感じられる場合はエンタメ版もお試しください。


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