観測記録 #ちび創作大賞参加作品 山奥さんお題「自然」
こんにちは黒パグです🐾
山奥さんのお題に参加させていただきます。
今回、自然というテーマでショートショートを本気で考えました。
観測記録
発芽した。
上に光があった。
下に水があった。
乾いた年。輪は細い。
濡れた年。輪は広い。
上へ伸びた。
近くにも、同じものが伸びていた。
光を奪い合った。
こちらの方が高くなった。
隣は枯れた。
その分、光が増えた。
熱が通り過ぎた。
皮の片側が焦げた。
芯は残った。
焦げた側の輪は、しばらく歪んで刻まれた。
四つ足が来た。
若い皮を齧った。
苦い汁を出した。
四つ足は去った。
傷は塞いだ。
光が走った年があった。
片側の皮が、上から下まで裂けた。
長い傷。
片側だけ、数年かけて塞いだ。
蔓が巻きついた。
締めつけた。
数年かけて、幹の方が太くなった。
蔓は切れた。
小さな虫が、葉を食べた年があった。
葉が減った。
その年の輪は細い。
翌年、葉は戻った。
大きな風の年。
太い枝が折れた。
折れ口から水が入った。
奥が柔らかくなった。
塞ぐのに、長くかかった。
鳥が枝に来た。
軽い。
実をついばんだ。
遠くへ運んだ。
二本足が通った。
実を持ち去った。
翌年、同じ場所に来た。
また持ち去った。
二本足が増えた。
火を持っていた。
煙が流れてきた。
近くの木が倒された。
運ばれた。
地面が揺れた。
倒れた場所に、光が差した。
幹に刃物が入った。
浅い傷が二つ。
三年で塞いだ。
中の輪には、傷が残った。
実がよく生った年があった。
枝がしなった。
四つ足も二本足も集まった。
地に落ちた実から、翌年、いくつも芽が出た。
多くは光に届かず、枯れた。
音が続いた。
二本足が減った。
輪は刻んだ。
雨の多い年。
輪は広い。
空から細かい灰が降った年があった。
輪に混ざった。
今も残っている。
周りの木が、次々に倒された。
運ばれた。
光が増えた。
こちらは残った。
地面に、杭が何本も打ち込まれた。
こちらを囲んだ。
二本足が集まるようになった。
実を持ち去らなくなった。
近くで、時々、火が焚かれた。
煙が流れた。
根の上の土が、固くなった。
多くの足。
水が、前ほど染みてこなくなった。
細い金属が入った。
中心まで届いた。
何かを抜き取って去った。
傷は塞いだ。
内側が、柔らかくなっていた。
ずっと前の、風の年の傷から。
空洞が広がった。
幹を叩かれた。
何度も。
耳を当てられた。
初めて、こちらの音が聞かれた。
二本足が幹に触れた。
離れた。
本日、切断された。
記録はここで終わる。
切り口に、百二十年分の記録が全て露出している。
彼らは数えるだろう。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
黒パグのショートショート作品群です。
いつもご覧いていただいている読者様には感謝を!
初めましての方はどうぞよろしくお願い致します!
著者紹介
黒い黒パグ
LLMエンジニア兼ノートクリエイター。AI、技術、物語、その境界にある妙なものを書いています。普段は生成AIの検証記事や技術解説を中心に、ときどき小説、寓話、実用性のない規程や架空の障害報告書などを制作。面白そうな創作イベントを見つけると、だいたい何かを生やします。
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追伸
山奥さん、いつもありがとうございます。
ショートショートはいつもものすごい時間がかかるので遅れながらの参加です!
間に合った💦
