アレの不足
《今週の三題噺》
1.鍵の閉め忘れ
2.免疫力
3.ポイントを貯める
【チャレがやテーマ:怨念】
その街には、ひょっとこ面の男の主宰する、謎の会員制クラブがある。過去には文車妖妃が夜な夜な現れたという、まことしやかな噂も流れている。
その名も、放課後ライティング倶楽部。
今日も文章の虜になった亡霊たちが、その扉を叩いていく。
ひとつ、ふたつ、みっつ……
男の震える声がする。
いちまい、にまい、さんまい…
女のすすり泣く声がする。
ことん。
ピシッ。
ガラスの首が折れた音だろうか。
「首に、こうやってガリガリ傷を入れて。そうしたら、ためらわず、ひといきにバキッと」
「今どき、わざわざこんなやり方するなんて……」
◆
「あら、こんなところにまた、染み込んでるわね」
「また誰かが、鍵を閉め忘れたのね」
「困ったわね、今、アレは不足しているのに」
ことん。
ピシッ。
ガラスの首が、またひとつ、折られた。
「あなたじょうずになったわね。そうしたら、ソレを早く頂戴」
女はシリンジの針でソレを吸い上げた。
「さあ、ここへ早く……そう、そこに」
そして声の主は満足そうに笑った。
「ねえ、あなた、あといくつ?」
「僕は、あと……よっつ」
「あなたは、あといくつ?」
「もう、ないんです」
「ポイントカードは?」
「……あと……いちまい」
「ポイント貯めないと、アレを打てないのよ」
「免疫力つけないと……怨念にやられ……」
その声に、不意に不協和音が混ざる。
お前はもう、書かずには、いられない――
只今充電中ですがどうしても書きたく。
……出直して参ります〜
©極夜
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