突然、修繕委員長に就任|設計編#0|マンション大規模修繕:公共発注の知恵を、わが家へ
【本連載(設計編)の全体像】
マンション大規模修繕においては、「誰を選ぶか」に加えて「どう選ぶか」が重要だと思います。
管理組合が自ら考え動き、より良いパートナーを選定するための「選定プロセスの仕組み」を投稿していきます。
設計編#0:突然、修繕委員長に就任 → 今回記事
上記の設計編はこちらのマガジンにまとめています。
日常を記事にした管理編もこちらのマガジンにまとていますので併せてお読みください。
あなたは、数千万円・数億円の修繕で「どうやって企業を選べばいいのか?」説明できますか?
私は元公務員として、学校や公共施設の新築・建替・改修における「発注」や「審査」を長年担当してきました。
「数億円・数十億円規模の、税金が動く公共工事の発注業務」
当然、無駄が許されず、常に「なぜその企業を選んだのか」という説明責任がつきまとう、ヒリヒリとした世界です。
そんな私が、自分の住むマンションの「大規模修繕」に関わることになったのは、ある日の理事長からの打診でした。
<1> 「修繕委員長を引き受けてくれないか」
以前、マンションの修繕工事について少し専門的な提案をしたことがあり、どうやら目をつけられていた(笑)ようです。
無報酬のボランティア
返上することになる自由な余暇。
正直に言えば、迷いました。
しかし、家で理事会だよりを読みながらボヤく私に、パートナーが放った一言が決定打となりました。
「いつも文句言っているんだから、自分でやってみたら?」
普段から、理事会だよりや投函文を見るたびに、「もっとこうすればいいのに」と言っていたからだと思います。
文句と思われるのは心外でしたが、断って文句(じゃないのですが・・・)を言うと、きっと何かチクチクと言われそうです。
断たれた私は、(仕方なく)15年ぶりに理事、そして修繕委員長に就任することになりました。
委員長としてまず行ったのは、1回目の大規模修繕のプロセスを振り返ることでした。
「公共発注ではありえない」
「この決め方では、組合員に説明できない……」
・不透明なコンサルの選定
・根拠の曖昧な見積もり
・そして管理会社の誘導で「なんとなく」で決まっていったらしい数億円規模のプロジェクト。
専門知識のない理事や委員が、丸腰で海千山千の企業の担当者に向き合っているのが想像できました。
この決め方では『なぜこの企業にしたのか』と問われたとき、誰も論理的に説明できません。
昨今、業界で懸念されている「不適切なコンサルタント」の影もちらつきます。
このままでは、大切なわが家の資産価値が、不透明なプロセスのなかですり減ってしまう。
そう思うとともに、私は険しく長い道のりの覚悟をしました。
でも、悩んでいるだけでは何も変わりません。
<2> 「選定ルール」を独りで作り上げる
私は、自分の仕事で培ってきた「公共発注のノウハウ」を、マンション大規模修繕で使えないかを考えました。
もちろん、役所のルールをそのまま持ち込んでも機能しません。
分譲マンションという、多様な価値観を持つ居住者に説明できるよう、また、マンション修繕業界で機能するよう、徹底的にカスタマイズする必要がありました。
まずは、建設業界の中でも特殊なマンション修繕の業界の仕組みを少しでも理解するために、マンション専門コンサルをインターネットで探し出し、手当たり次第に連絡をしました。
その結果、10者近くのコンサルタントから話を聞き、実態の把握をしていきました。
長年続いている業界のやり方はすぐには変わらないし、新たな風を吹かそうなど大それたことは考えていません。
自分のマンションの資産価値を維持、向上させるためには、どういったプロセスでで進めるのが良いか。
今、夜な夜なパソコンに向かい、大規模修繕コンサル選定を「仕組み」で支える方法を考えています。
まず土台として用意するのが、業務仕様書です。
業務仕様書
コンサルに「ここまでは必ずやってもらう」業務範囲を明確にするもの。
いわゆる要求水準書です。
そのうえで選定そのものを透明に進めるために、次の「4つツール」を作っていく予定です。
選定実施要領
これがないと始まらない。選定プロセスの「ルールブック」。評価基準
実施要領を実務レベルに落とし込んだ「評価のものさし」。募集要項
不適切なコンサルを入り口で弾き、
本気で向き合うコンサルを呼び込むための「意思表明」。審査のための『虎の巻』
専門知識のない委員でも、
「それっぽい提案」に惑わされず評価できるためのマニュアル。
これらは、住民の資産を守り、合意形成をスムーズにし、優良なコンサルを呼び込むための一体的な「システム」です。
最新のAIツールでもそれなりのものが作れますが、あくまで下書きや整理に役立つ程度。
最終的には経験に裏付けられた人間のスキルが必要と思っています。
<3> これからお伝えすること
この連載では、私が実際に作成する資料の中身を具体的に説明します。
「素人の集まり」の理事会が、応募してくるコンサルにしっかりと応えられる体制を構築していく、そのプロセスをお伝えします。
同じ悩みを抱える全国の理事・委員の方々へ
「管理会社に任せっきりでいいのか不安」
「不適切コンサルの噂を聞いくと心配でたまらない」
「一生懸命やっているのに、他の住民は知らんぷり」
そんな方も多いんじゃないかと思います。私が実施しようと思っているこの仕組みが機能するかどうか、またどんな結果になるか、それら諸々がみなさまのヒントになれば嬉しいです。
次回予告
公開済
「募集要項」で応募コンサルの質が決まる|設計編 #1|
編集後記
大規模修繕の選定プロセスを、実務を反映しながら記事として記録しています。続きを読みたい方はフォローしていただけると嬉しいです。
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