Episode 143 鳴り物入りはダメなのです。
「鳴り物入り」という表現があります。
おおげさな宣伝などが行われることで、異常に前評判が上がってしまうようなことを指す言葉です。
この言葉を好意的に使うってあまりないですよね。
例えば野球やサッカーの大型新人が大活躍した時に「鳴り物入りしたルーキーが期待通りの大活躍!」とは言わないワケですよ。
2010年の春、晴れて本社勤務となった私は、部署の体質を変える起爆剤として期待されての異動だったのだと思っています。
そのような趣旨のお話を頂いての転勤でしたし、中京圏から西側の全エリアについて、基本となる仕組みつくりを成し遂げた後の本社異動ですから、本社が何を望んでいたのかは明確だったわけです。
ところが、ところがですよ…。
実際の仕事となると、そうは簡単にいかないのです。
高校野球で活躍したドラフト1位候補の話題の選手を複数競合の上で某球団が獲得したとします。
当然ながら練習環境は高校生の部活からプロ球団での活動に変わります。
高校のあたり前がプロの世界で通用するかと言えば、通用することもあればしないこともあるでしょうね。
基本的には「野球」というルールに則ったスポーツをするわけですから、何か新しいことを始めるわけではありません。
その高卒ルーキーは、先ずプロ野球某球団のスタイルに慣れる必要があります。
マスコミがルーキーのところに集まって「もう慣れましたか?」なんてね。
会社に勤めていて職種が変わらずに異動する場合は、新部署で自分のカラーを出して仕事を進める前に、現状のやり方を理解して慣れる必要があります…そこが問題。
期待値が高ければ高い程、入ってきて直ぐにバリバリと仕事をこなすことを要求されてしまうのです。
高卒ルーキーがプロの中に入ってガンガンとホームランをかっ飛ばすって、まぁ…あっても年に一人ぐらい。
ほとんどの人は、一所懸命にプロに耐えられる体つくりから始めるわけです。
食品業界というところは、人間の三大欲求のひとつである「食欲」を満たす基本的な部分に関わっているワケです。
国内でも暑い地域もあれば寒い地域もあって採れる野菜も魚も違うわけで、それ故に食文化もそれを扱う商慣習も地域での格差が大きいのです。
今でこそ、どこの地域でも同じように野菜や魚は手に入りますけど…東はマグロで西は鯛、みたいな好みの差は残るわけです。
関西で出来たから、東日本でも出来るだろ?
まぁね、基本的な部分は一緒ですよ。
でも、確実に地域柄はあるのです。
入って直ぐに100%フル稼働なんて無理なんですよ。
2月になってプロ野球もキャンプイン。
去年の夏に甲子園を沸かせた選手たちのキャンプ便りが届き始める季節です。
期待値が高い選手ほど「期待通りの柵越え○本!」とか話題になりますが…。
今思えば、あの部署異動で経験した「鳴り物入り」が、生活の歯車を狂わす最初の出来事だったのだろうと感じます。
「期待の応えなきゃ…。」
そこにASD的な完璧主義が入り込むことで自分自身が苦しむことになろうとは、この時は思いもしなかったのです。
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