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小説: ペトリコールの共鳴 ㉘

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第二十八話 ある孤独への見守り ②


「ねぇ、タツジュンにとって僕の存在って?」

 僕はペットショップ出身のハムスター。
言葉だって話せるし、pcも使える。
 遥香の代わりになれなくても、タツジュンの話し相手にはなれるんじゃないかと思った。ネットにいる知らない人より信頼できる気がする。

「俺にとってキンクマの存在か……」
またタツジュンは視線を落として黙り込む。

 タツジュンは人間で、同じ人間との繋がりが一番だけど、友達がいないタツジュンがマンション組合の人と友達になったり、遥香が亡くなったからって急に趣味になるものが降ってこない。

 人間と動物なら。
人間と動物のコミュニケーションは道徳的な欠陥があるのかな。だとしたら何かな?

 僕みたいに知性があったら困るのは、
人間と同等に扱うことかもしれない。

 動物は家畜で、同等に扱うと動物の権利を保障するなどややこしさが発生し、江戸時代の『生類憐みの令』が必要になってくる。
動物に権利を与えても、義務が果たせない。

でも今はそんなことは、どうでもいい。

 タツジュンが実社会の人間と積極的な関わりを求めない限り、孤独は解消しない。

 孤独に慣れるまで、タツジュンは僕の存在を理解して僕から得られる癒しや連帯を見出していたら、詐欺に引っかかる可能性が低くなるんじゃないかな。

 僕やほかの動物なら、人間関係の欠落を補う大きな意味を持ち、動物は無条件に飼い主へ寄り添い、騙すために近寄ったり個人情報を聞き出したりしない。
 動物は飼い主へ正直に信頼するんだけどなぁ。

「タツジュン、僕じゃダメだったの?
僕に心を開いて、僕から得た温かみと安心感じゃ
深い傷を負ったタツジュンにとって和みと救済にならないの?」

 遥香の死後、孤立したタツジュンがいた。
タツジュンは僕の存在を見ようとしないまま、
SNSでの出会いに救いを見出そうとするも、それが裏切られた。

 遥香は病気でもSNSの人じゃなく、僕から安堵を得た。そして今でも僕は遥香を悲しませない。

 無条件の愛情に触れてよ。そして僕との絆の大切さに気づいてよ。

 無職のタツジュンがマンションや地域コミュニティの人々とも、徐々に関係を構築して小さな繋がりの中で心を修復してくれたら、それに越したことない。

でも、それはできないんでしょう?

 どうしてもネットの人と関わりたいなら、
僕というペットを介した趣味としての関わりだと、
今より幸せになっていた可能性があったのになぁ。

「タツジュン。僕と語らない?」