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花札でめぐる日本の花暦シリーズ③【後編】深まる秋から冬。9月〜12月の絵柄

― 菊・紅葉・柳・桐に込められた、人生の深まり ―


花札の後半に描かれる「生き方の知恵」

花札の後半、
9月から12月に描かれる花や木には、
少し落ち着いた空気が流れています。

それは、
実りのあとに訪れる時間、
人生を振り返り、受け入れ、
次へ進むための知恵。

前編・中編では、
始まりや成長、願いについて見てきました。


この後編では、
年を重ねることの意味や美しさを
花札の花とともにたどっていきます。

【9月】菊(きく)

意味】長寿・高貴・邪気払い

エピソード】 9月9日は重陽の節句(菊の節句)。
菊は邪気を払い、長寿をもたらす霊草と言われてきました。
描かれている盃の「寿」の文字は、まさに命を祝うおめでたい月であることを示しています。


菊は、
古くから不老長寿の象徴とされてきた花。

薬草としても用いられ、邪気を払う力があると信じられてきました。

皇室の紋章にも使われるほど、
格式の高い花でもあります。

また、日本のパスポートの表紙には菊の紋章、
100円の記念硬貨の模様に使われたことも。

花札の菊は、「健やかに年を重ねること」
そのものを象徴する存在。

華やかさよりも、
静かな品格を感じさせる花です。


【10月】紅葉(もみじ)

意味】変化・成熟・人生の深まり

エピソード】鹿が横を向いている札は、
人が来ても知らんぷりをする、

「シカト」という言葉の語源になったという
ちょっと面白い説もあるんですよ。


​秋が深まる10月。
鹿は神様の使いとされ、

紅葉とセットにすることで「晩秋の寂しさの中にある神聖さ」を表現しています。

青々としていた葉が、赤や黄色に染まる紅葉。

その変化は、終わりではなく、
成熟の美しさを表しています。

花札の紅葉は、移り変わることを恐れず、
変化を受け入れる大切さを教えてくれます。

年齢を重ねることもまた、
色づく過程なのだと
そっと語りかけてくる花です。


【11月】柳(やなぎ)

意味】しなやかさ・柔軟さ・折れない心

エピソード】札に描かれているのは、平安時代の書家・小野道風(おののみちかぜ)です。

柳に飛びつこうと何度も挑戦する蛙を見て、「努力を続ける大切さ」を悟ったという伝説が描かれています。

↓小野道風については、ゆかりの神社、
小野照崎神社さんの記事をご覧ください。


風に揺れながらも、
折れずにしなやかに立つ柳。

その姿から、柔軟さこそが強さであると考えられてきました。

花札の柳は、無理に抗わず、
流れに身を任せる生き方を象徴しています。

力を抜くこと、肩の力を下ろすこと。

柳は、人生後半にこそ必要な
知恵を教えてくれる花木です。

​ 雨が降るしっとりとした情景。
唯一、人間が主役として登場するドラマチックな札です。

【12月】桐(きり)

意味】高貴・飛躍・新しい始まり

エピソード】​1年の締めくくりは、
神聖な木とされる「桐」と、
伝説の鳥「鳳凰」です。

古来、鳳凰は徳の高い君主が現れたときにだけ出現すると信じられていました。


桐は、成長が早く、
鳳凰が唯一宿ると信じられてきた木。

そのため、
出世や成功、
未来への飛躍を象徴します。

花札の最後を飾る桐は、
「終わり」でありながら、
同時に 新しい始まり を表す存在。

一年を締めくくり、また次の年へ向かう…

希望を感じさせる花木です。

桐の花


日本政府の紋章(五七の桐)にも使われるほど格式高いモチーフ。↓

五七の桐

3枚の葉の上に、真ん中には7つの花、
その左右に5つの花があしらわれています。


最後を締めくくるのにふさわしい、
とても縁起の良い一枚です。

我が家の家紋は五三の桐。
(3枚の葉の上に、真ん中には5つの花、
その左右に3つの花で五三の桐)
縁がある木なのに、幼い頃は花札の鳳凰が怖くて家族にあげてました。20点の高得点札なのにね(笑)

花札は、人生の流れを映す花暦

9月から12月の花札には、
共通したメッセージがあります。

・年を重ねることを恐れない
・変化を受け入れる
・しなやかに生きる
・そして、また新しく始める

花札は、人生そのものを
四季になぞらえて描いてきました。

遊びを超えて、心に残るもの

花札は、勝ち負けを競うためだけのものではありません。

意味を知り、一枚ずつ眺めることで、

自分の歩んできた時間や、これからの生き方にそっと目を向けることができます。

新年という節目に、花札を手に取る。

それは、過ぎた一年をねぎらい、
新しい年を迎える静かな準備の時間なのかもしれません。

おわりに|花札は、日本人の心の物語

​こうして1月から12月までの意味をたどってみると、花札が単なるゲームではなく、

「日本の四季の移ろいを凝縮した美術館」のような存在であることがわかります。

花札に描かれた12か月の花は、
日本人が季節とともに生きてきた証。

始まり、
成長、
実り、
そして受け入れと再生。

花札は、人生のどの場面にも寄り添う
やさしい花の物語を今も伝えてくれています🌸


スマホやパソコンなどで
心身ともに疲れがたまっている現代。

それらデジタル機器から意識的に距離をおき、疲労やストレスを軽減させる
「デジタルデトックス」に、
花札は意外と役立つのかもしれませんね。


この昔ながらの日本の遊びを、
あなたの癒しの時間に
仲間入りさせてみて下さい。

お読み頂き、ありがとうございました ✨✨



※最近はアプリでも遊べますが、物理的な「札」を手に取るのも良いものです↓

↑任天堂の『大統領』のように、
しっかりとした厚みと和紙の質感、

そして「パチッ」と鳴る小気味よい音は、
デジタルの画面では味わえない特別な体験になりますよ⚜️


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