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【憲法入門#10】日本で法的な差別はあり得る?(人権各論・法の下の平等)

前回の記事(https://note.com/hogakuyoridokoro/n/na015899fce62)では、新しい人権に関する包括的基本権について解説しました。今回は、人権各論が始まり、「平等権(法の下の平等)」について解説します。


まず、人権各論とは

この#10から、憲法入門シリーズは人権各論というコーナーになっていきます。

簡単にいうと、人権総論というのは、人権全体に言えるような、性質について扱います。前回までの記事を読んで下さった方ならわかると思いますので、人権の享有主体や公共の福祉、公務員や被収容者の人権などは人権それぞれというよりも「人権とはこういうもんだ」というジャンルに近いと思います。

今回から始まる人権各論とは、具体的な権利を扱います。言い換えるならば総論より各論の方が具体性が上がるということです。

では、今回は平等権について解説します。

「平等観」という考え方

近代国家を形成する原則の一つに「平等観」という考え方があります。「え、平等権の打ち間違え?」と思う方もいるかもしれませんが、「平等観」です。

平等観とは、全ての人が人権において同じように扱うという原則です。これの根拠が日本国憲法第14条の「法の下の平等」が根拠となっています。

法の下の平等とは

日本国憲法第14条は、以下のとおりの条文です。

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

e-Gov法令検索

ここで規定されているのが「法の下の平等」、つまり平等権です。では、この記事では何度も「平等」という言葉を使ってきましたが、一体何が平等なのでしょうか。

①平等という言葉の意味

主に法学の世界では、「平等」というと3種類の平等を含みます。それが形式的平等実質的平等、相対的平等です。

形式的平等とは、全ての人を全く同じ条件で扱う考え方を指します。別の言い方は「機会の平等」です。ただし、全員に同じ条件を適用するため、結果が平等であることは保障されていません。

実質的平等とは、個別の条件の違いを認識し、結果の格差を減らして行こうとする考え方です。他の人に比べて不利な条件にある人に支援を行い、結果が公平になるように配慮します。

相対的平等とは、全ての人を完全に同じく扱うことはしません。年齢や性別などに由来する「合理的な理由」がある場合には区別を認めます。例外なく全員を同じく扱う「形式的平等(絶対的平等)」には無理があることを認め、柔軟に対応することが特徴です。

皆さんは日本がどの方針をとっているか、わかりますか。

原則として、日本は、形式的平等(機会の平等)相対的平等が基本です。法は全てを同じ条件で扱い、差別が起きることを未然に防止するためにはやはり、合理的な理由なく機会を変えることはできません。

しかし、人にはその人にしかわからないようなさまざまな事情があり、それを加味しないまま立法政策や行政政策を行うとそのような人を取り残してしまう事になります。

そこで、生活保護や所得税の累進課税制度のように、現実の経済格差を見直し、政策を決定するような実質的平等の概念も含まれています。

②「法の下」という言葉の意味

先ほどの解説で「平等」という言葉はわかりました。では、「法の下」というのはどのような意味なのでしょうか。ここで一つ、学説を紹介します。

立法者拘束説

これは簡単にいうと、立法府である国会が不平等な内容の法律を作ってはいけないという考え方です。

法律を真面目に平等に適用したとしても、それがもし仮に一部の人にとって著しく不利な内容(不平等な内容)であった際には、平等に適用しても結局のところ意味がありません。そのためにこの学説が登場したのです。この説は現在の通説となっており、判例でも多く採用されています。

法の下の平等に関する重要判例

ここでは、法の下の平等に関する重要判例を2つ紹介します。どちらも比較的新しい判例です。

①尊属殺重罰規定違憲判決

刑法には、第199条に殺人罪の規定があります。では、200条はなんという条文かご存知ですか。これは、現在は削除されており、ありませんが、「尊属殺人罪」という親族を殺した際の規定があり、刑は死刑か無期懲役のみでした。この被害者によって刑の重さが異なる旧刑法200条が法の下の平等に反しているか否かが争われました。以下の記事で詳しく解説していますので、興味ある方はぜひご覧ください。

②非嫡出子相続分規定違憲判決

こちらは、法的な婚姻関係のない男女間の子供(非嫡出子(婚外子))の相続分を嫡出子の2分の1とする民法規定が憲法14条の法の下の平等に反するか否かが争われた事件です。以下の記事で詳しく解説していますので、興味ある方はぜひご覧ください。

本回のまとめ

  • 憲法14条は「法の下の平等」を定めている。

  • 「平等」にはさまざまな種類があるが、日本では「形式的平等」「相対的平等」を基本としつつ、時には「実質的平等」も用いられる。

  • 「法の下の」とは、立法者拘束説が通説であり、これは法律の中身自体が平等であることを求める学説である。

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