初回記事「意思決定の質の低下」に関する補足
以前、meiseki OS を紹介する最初の記事で、
私は「決断疲れ」という言葉を使いました。
健康のための小さな選択の連続が意志の力を消耗させ、
肝心の「意思決定の質を下げてしまう」と。
書いたあと、人の言葉を借りて書いてしまったという反省から、
「決断疲れ」の科学的な裏付けをあらためて調べ直しました。
調べ直したら、思ったより確かではなかった
前回の私の書き方は、少し断定的すぎたようです。
「決断疲れ」の土台とされるのが「自我消耗(ego depletion)」です。
これは、意志の力は有限な資源で、使うほど減る、という考え方です。
ですが、これは近年の大規模な追試では、その効果が明確に再現されていません。
23の研究室・約2,100名が参加した事前登録型の再現実験でも、
統計的にはっきりした効果は確認されませんでした。
効果の大きさをめぐって、いまも論争が続いているようです(ブログ参照)。
「意志は使うと減る」という物語は、直感にはよく馴染みます。
けれど科学的には、まだ決着していないとのこと。
「決断疲れ」という現象は、証明済みの法則として語れるものではありませんので、訂正いたします。
より確かな足場に、立ち直す
一方で、多くの人が「夕方には判断が鈍る」と実感するのも、また事実です。
夕方に判断が億劫になる感覚は、「認知負荷(cognitive load)」、
つまり脳の作業領域(ワーキングメモリ)にかかる負担であるという、
認知科学で確立された枠組みで捉え直すと、話がつながってきます。
日々の計算・逆算・想起は、この作業領域を占有し、
本当に重要な判断のための余力を静かに削っていく。
「意志の力が減るのか」には議論があっても、
「作業領域が埋まれば、余力が減る」ことは、より確からしい。
決断疲れという実感の下には、この認知負荷がある、
そう考えると、輪郭がはっきりします。
meiseki OS が、実際にできること
そして、私たちの製品が実際にできるのは、この負荷を少し軽くすることです。
カロリーの逆算、体重や活動量の変化にあわせた目標値の調整、
トレーニング負荷(ACWRなど)の算出など、
これまであなたが頭の中やアプリ上でやっていた計算を、システムが裏側で肩代わりする。
占有されていた作業領域が、その分だけ空く。
できるのは、ここまでです。
「あなたの判断を良くします」とは言いません。
言えるのは、「判断の前の、頭の中の算術を減らします」ということ。
meiseki OSが引き算するのは、迷いと計算だけです。
最後に
私は、明晰に考えるためのインフラ構築を目指しています。
そのため、確かなことだけを土台にして本OSを作り上げていきたいと考えています。
meiseki OS
