3年間毎日時速7kmで歩き続けた私の「思い込み」とデータ meiseki OS #3
食事、運動、睡眠。これらは全て複雑かつ密接に連動しているため、生体を最適化するには、これらの要素を統合して判断し、日々の行動を選択することが重要です。
本連載でお届けしているのは、バラバラに管理されたヘルスケアデータを統合し、「仕組み(OS)」によって「今日、あなたがどう行動すべきか」の最適解を提示する『meiseki OS』の設計思想と開発ストーリーです。
今回のエピソードは、私がこの「OS」の必要性に気づくきっかけの一つとなった、運動習慣における壮大な失敗体験についてです。
手っ取り早い運動習慣の開始
私は十数年来職場の近くに住み、片道10〜15分の徒歩通勤を続けていました。
ある時、インターバル速歩が体力向上に役立つという情報を目にし(参考*1、*2)、2023年3月より徒歩通勤に速歩を取り入れました。
インターバル速歩とは、3分間最大体力の70%以上の強度で早歩きし、その後の3分間は緩歩、これを5セット以上/日繰り返すことを指します。私がこれを徒歩通勤で実施しようとすると速歩と緩歩を2セットで12分間程度となるため、推奨の5セット/日に届きません。そこで「緩歩を挟まず、ずっと速歩なら効果が上がるのでは」と自己流の考え方で「ずっと速歩」通勤を開始しました。片道1.1kmを時速7km〜8km一定で歩くと10分程度。これを約3年毎朝実施していました。
インターバルを挟まない「ずっと速歩」の効果はあったのか?
私は、マニラの真夏の暑い日も、長い雨季の間も、嵐の日も、平日毎日「ずっと速歩」通勤を継続しました。
これを継続できたモチベーションは、私の課題の一つである脂肪肝の解消でした。
しかしながら「ずっと速歩」を開始して2年後の健康診断で、脂肪肝の解消という期待は虚しくも打ち砕かれ、3年連続脂肪肝の「要観察」という結果になりました。
「これだけ頑張っているのに、なぜ効果が出ていないのか?」 その疑問をAIにぶつけました。内心「効果がないはずがない」と思いながら、自分に都合の良い回答を期待して対話を繰り返しましたが、AIからの指摘は次のようなものでした。
「それは体力が向上したのではなく、体が『速歩』という動作に適応しただけです」
つまり、私の体は時速7〜8kmで歩くことに慣れ、エネルギーを効率よく使って最適な歩き方ができるようになっていただけで、筋肉への新たな負荷にはなっていなかったのです。 私は「体力向上」という漠然とした目的で、有酸素運動や筋力向上をごちゃ混ぜにし、手っ取り早く健康に良さそうな運動を取り入れて、なんとなく満足していただけでした。
感覚的・自己流の運動習慣からの脱却
その後もAIとの対話やウェブで参考となる情報を探しながら、自分が目指すべきなのは筋肥大だと悟りました。その後「ずっと速歩」は「ゾーン2歩行」として現在も継続し、筋肥大に向けては筋トレを取り入れることにしました。
努力を正しい方向に修正すれば結果はついてきます。これまで数十年間BMIが20前後で一定だったのが、2026年6月時点でBMI 21まで上がりました。「体力向上」という曖昧な言葉を「筋肥大」と「心肺機能強化」に分け、それぞれに対して対応方法を変えたからです。
こんなことを記載すると、「当たり前のことだろう」という声が聞こえてきそうですが、本人は至って真剣だった、「思い込みの努力」でした。
努力からシステムへの移行
前回meiseki OS #2でも記載したとおり、AIとの対話は多くの発見をもたらしてくれた一方で、いろいろなエラーを生み、苦労も失敗も経験しました。
その試行錯誤の内容についてはmeiseki OS #6あたりでお伝えしたいと思います。
しかしその前に、解決しなければならない課題がありました。運動習慣の方向性は修正できたものの、なぜ毎日速歩していたのに「脂肪肝」のままだったのか? 次回は、私が最高の健康法だと信じていた「半断食」とその罠について配信します。
*1 http://physiology.jp/wp-content/uploads/2015/05/Opinion_-20150501_35-41.pdf(アクセスするとpdfファイルが開かれます)
*2 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31477320/
Substack
https://substack.com/@takahiromasuda
