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法律相談でしんどかったのは、「自分が悪い・まぬけ」と責めてしまう瞬間だった

無料の法律相談で弁護士に相談した帰り道。
少しは前に進めたはずなのに、
なぜか胸の奥が重かった。

肩に力が入ったままで、呼吸が浅いことに気づく。
顔の表情が固まったまま、冷たいお面を貼り付けたまま歩いていた。

駅までの道が、やけに長く感じた。

責められたわけじゃない。
怒られたわけでもない。
声を荒げられた記憶もない。

それでも、心だけが、
あの相談室に置き去りにされていた。

電車に乗ってからも、
同じ場面が頭の中で繰り返されていた。

「あの答え方でよかったんだろうか」
「余計なことを言ってしまった気がする」

もう終わったはずなのに、
心だけが、まだ相談の続きをやっていた。


1. 無料の法律相談に行こうと思った理由

無料の法律相談に行ったのは、
「何かが変わるかもしれない」と思ったからだ。

もう、自分ひとりでは整理できなかった。
頭の中はぐちゃぐちゃで、
考えれば考えるほど、
どこから手をつければいいのか分からなくなっていた。

紙に書き出そうとしても、
途中で手が止まる。
何を書けばいいのかも、
何を書きたくないのかも、
自分で分からなくなっていた。

専門家に話せば、
少なくとも「進む方向」くらいは
見えるんじゃないかと思った。

同時に、少しだけ怖さもあった。

もし、「それは難しいですね」と言われたら。
もし、「あなたにも落ち度があります」と静かに告げられたら。

それでも行こうと思ったのは、
このまま一人で抱えている方が、
もっとしんどかったからだ。

正直に言えば、少しだけ味方が欲しかった。

「あなたは悪くないですよ」
その一言を、どこかで期待していたのかもしれない。


2. 「普通の質問」が、こんなにしんどかった

相談は、淡々と始まった。

名前を確認されて、
資料を机の上に並べて、
時系列を聞かれる。

空気は静かで、
事務的と言えば、事務的だった。

「この契約書、ここにサインしてますよね」
「その時、相手の説明はどうでしたか」
「録音や、やり取りのメッセージは残っていますか」

どれも、普通の質問だった。
声は落ち着いていて、
言い方がきつかったわけでもない。

それなのに、
質問をひとつ答えるたびに、
胸の奥が、少しずつ沈んでいった。

言葉を選びながら話しているはずなのに、
どこかで
「正解を言わなきゃいけない」
そんな焦りが生まれていた。

話し終えるたびに、
頭の中で、すぐに反省会が始まる。

「あの言い方でよかったのか」
「余計なことまで話していないか」
「今の発言で、不利になっていないか」

説明しているつもりなのに、
自分の言葉が、自分を追い込んでいる気がした。

「確認されている」だけのはずなのに、
なぜか、「評価されている」感覚が抜けない。

そして、「評価されている」という感覚は、
いつの間にか、「裁かれている」気分に変わっていた。


3. 自分で自分を責め始めた瞬間

いちばんしんどかったのは、
誰かに何かを言われた瞬間じゃなかった。

質問に答えて、
少し間が空いた、その時だった。

沈黙が落ちる。
相手はメモを見ているだけなのに、
その数秒が、やけに長く感じた。

そのあいだに、
頭の中で、もう一人の自分が勝手に話し始める。

「なんで、こんな契約を信じたんだ?」
「どう考えても、おかしかったでしょ?」
「止まれたはずだろ」
「お前にも責任あるだろ」
「まぬけだな」

一つの言葉が、次の言葉を呼ぶ。
否定が、否定を連れてくる。

誰も、そんなことは言っていない。
責められてもいない。
否定もされていない。

それなのに、
自分で自分を責める声だけが、
部屋の中いっぱいに響いている気がした。

あの瞬間、
法律相談がしんどかった理由は、
「内容」じゃなかった。

自分を守る余裕が、
もう残っていなかった。


4. あとになって、分かったこと

あとになって、少し落ち着いてから分かった。

あのとき、
弁護士は一度も僕を責めていなかった。
言葉も、態度も、終始冷静だった。

ただ、
「事実」と「判断」を
淡々と切り分けていただけ。

それが仕事だから。

しんどかった理由は、
対応が冷たかったからでも、
制度が厳しかったからでもなかった。

心の準備がないまま、
相談の場に立ってしまったこと。

それだけだった。


5. 法律相談の正体

法律相談は、
気持ちを受け止めてもらう場所じゃない。

でも、
人を突き放す場所でもない。

あそこは、
これから自分を守るための
「武器」や「選択肢」を受け取りに行く場所だった。

なのに僕は、
慰めを求める気持ちを抱えたまま、
その場に座ってしまった。

だから、
質問の一つひとつが、
自分を否定されているように聞こえた。


6. 自分を責めないでほしい

もし、これから法律相談に行く人がいたら。
あるいは、あの帰り道の重さを、
いまも引きずっている人がいたら。

あなたは、悪くない。
まぬけでもない。

悪いのは、
不安につけ込んだ人で、
信じた気持ちを利用した人だ。

ただ、しんどい状態のまま、
判断を求められる場所に立ってしまっただけだ。

それは、弱さじゃない。
必死に何とかしようとしていた証拠だ。

家族や友人に事実を話せば、
心配や苛立ちから、きつい言葉を向けられることもある。

弁護士の言葉も、ときに冷たく聞こえるかもしれない。
仕事として、線を引く必要があるからだ。

でもそれは、
あなたを傷つけたいからじゃない。
同じことを繰り返してほしくない、
という思いからの言葉でもある。

それでも、傷口が開いたままの心には、
正論はそのまま刺さってしまう。

だから、これ以上、
自分で自分を責めないでほしい。

次に同じ場に立つときは、
自分を裁くためじゃなく、
自分を守るために行ってほしい。

それだけで、
あの場所の見え方は、
きっと変わる。


次は、法律相談に行く前に、
僕がやっておけばよかった「準備」の話を書きます。

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