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ベトナム・ホーチミン旅行記 2日目前編

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ホーチミンで迎える初めての朝は、6時前に起床。
今回は食の旅とするため、ホテルは朝食なしのプランにしていた。
事前に調べていたところ、ホーチミンには6時台から営業している飲食店が意外と多かった。
人の少ないうちから、どんどん回っていこうという算段である。

バイクが駆け抜けていく早朝


朝食をはしごする

Bánh Mì Hồng Hoa

ホーチミンの1食目に選ばれたのはバインミー。
日本でも最近は店が増え、何度か食べているほどには好きだが、やはり本場で味わっておきたい。
いくつかある有名店の中から、この後の街歩きの経路や、一人でも食べきれるボリューム感など、あれこれ検討した結果、こちらの店へ。

店の真向かいに人の列

店にたどり着くと、道路を挟んだ向かい側に人が並び、大きな鍋から何かを受け取っていた。
気になりつつも、まずは店でバインミーを注文。
ここで食べていくと告げると、店員のおばさんが席を用意してくれた。歩道に簡易なテーブルと椅子を並べただけだが、端々から気遣いが感じられた。

ちょうど目の前に先ほどの列が見える構図になったので、あれは何なのか聞いてみる。
少しもどかしそうな表情を浮かべた後、手にしたスマホを操作するおばさん。少し待つと画面を見せてくれた。
「free charity」
翻訳された2単語だけが表示されていた。どうやら無料で麺を配っているらしい。
思いがけず現地の日常の一端に触れ、交流ができたひととき。旅の良さを感じられて、なんともうれしかった。

そうしているうちに、バインミーもできあがった。

一人には十分なボリューム

スモールサイズにしたのだけれど、十分な食べ応えがある。
生野菜と肉が、パンの端から端までしっかり詰まっていた。少し辛さがあと引くのもよく、どんどん食べ進めていく。

食べ終えたあとに、今度はこちらもGoogle翻訳を使った画面を見せて、おばさんにfree charityの詳細を聞いてみた。
どうやら今日は偶然にもウェーサーカ祭という仏教上の重要な日だそう。それもあって、このバインミーのお店が、無料で麺をふるまっているとのことだった
味がおいしかったのはもちろん、こうして地域に根付いた店なのだと知れ、さらに好きになった。おすすめの店。

配られていた麺も撮らせてもらった

朝ごはんとしてはここで終えても十分だったのだけれども、すぐに食べ終えてしまったために、時刻はまだ7時前。
お目当てのカフェはどこも開いていなかった。
そこで、少し珍しい朝ごはんを求めて、ブイビエン通りへ足を向けることにした。


Bánh căn

ブイビエン通りは日が暮れてから賑わいを見せるホーチミン随一のナイトスポット。
観光名所として有名だが、今回の旅は滞在時間の短さから、興味の薄い場所は切り捨てていくので、夜に訪れる予定はない。
代わりに、このエリアで午前中だけやっている店を目指す。

Google Mapを駆使して歩いていたところ、写真通りの光景に出くわした。
たこ焼き器にも似た鉄板の上で、小さなパンケーキ状に生地が次々と焼かれている。
ひたすら調理していたおばあさんがこちらに気付き、写真を撮れと身振りで促してきたので、ありがたく撮らせてもらう。

平たいたこ焼きのよう

ここで提供されているのはBánh căn。タピオカ粉や米粉を使った生地を専用の鉄板で焼き上げる、中部ベトナム発祥の料理らしい。
店名がないのか、Google Mapの表記もこの料理の名前で登録されている。

現地語しか通じなさそうな空気をひしひしと感じたため、焼いていない別の女性にGoogle Mapに載っていた料理写真を見せてみる。
写真を確認し、女性が空いている席を指し示してくれた。注文が通ったのだと判断して座って待つ。
さきほどの店もそうだが、スマホがあることでコミュニケーションがなんとか成立している。
今回の旅はローカルな店も巡ったからかもしれないが、ホーチミンは意外と英語が通じない場面があった。


繁華街の早朝は静か

路肩に並べられた席は、半分ほどが埋まっていた。
想像よりも待ったが、できたての一皿が到着。

左のタレにつけつついただく

丸く焼かれた生地の上には、エビ、ひき肉、卵とそれぞれ異なる具材が乗っていた。これを一緒に提供される甘酸っぱいタレにつけていただく。
焼きたてのカリッとした生地がタレを吸い込み、ネギやフライドオニオンなどの香味と混じりあって、得も言われぬおいしさ。
タレといっても、具材として肉団子が入っていて、見た目以上にしっかりと料理である。
はじめての味に出会えただけで、わざわざここまで足を運んだ価値があった。
さきほどバインミーを平らげたばかりだったが、前日から胃袋を空っぽにしていただけあって、問題なく完食。
言葉が通じない中で、店員の立てた7本の指から察して、70,000ドンを支払う。おおよそ420円ほど。


SHIN Heritage

幸先よくホーチミンのローカルフードを楽しめたので、続いてカフェを訪れたい。
前回のバンコクに引き続き、ホーチミンにも調べるほどに気になるカフェがたくさん出てくる。
選びきれないほどの候補の中から、まずはこちらの店へ。

オープン直後だったこともあり、入ると店内は自分一人。
カウンター席をすすめてもらい、英語のメニューを眺める。こちらでは英語でコミュニケーションがとれそうだ。
「すみません、このSHIN HERITAGEを」
数多くの選択肢に迷った結果、ひとまず店名を冠したブレンドコーヒーを選んだ。
一番力を入れているだろうという根拠のもと、迷ったときは看板メニューを頼みがち。
「淹れ方はどうしますか?」
バリスタの女性からの質問に、焦ってメニューを見直す。豆だけでなく、抽出方法も選べるようだった。ハンドドリップと比べて珍しそうという理由でエアロプレスを選択。
豆を挽いたあとは、抽出前に香りを嗅がせてくれた。立ち上る芳醇な香りだけで、一杯への期待が高まる。

こだわりのブレンドコーヒー

一口目を啜る。文句なしに美味しいコーヒーだった。
いわゆるベトナムコーヒーとして知られる、濃く抽出したコーヒーに練乳を合わせるスタイルとは異なり、日本で親しんでいるコーヒーと同種の味わい。
先ほどまでのローカル体験とはまた別のホーチミンに出会うことができた。

せっかくなので、おみやげとしてコーヒー豆も購入する。
豆が買いたいと伝えると、他にお客さんがいなかったこともあり、バリスタの方がカウンターから出てきて、それぞれ説明をしてくれた。

結局、飲んだ「SHIN HERITAGE」の豆と、ドリップバッグの詰め合わせに決定。会計をしながら、そのまま少し会話を交わす。
「コーヒーは美味しかったですか?」
「とても!」
「よかった。どこからきたんですか?」
「日本です」
「日本ね。アリガトウ」
「昨日の夜ホーチミンに着いて、ここが最初のカフェだったんです。よい旅のはじまりになりました!」
「わあ、ありがとう!」
こうしたやり取りが、旅の記憶として残っていく。


映画の中に入り込んだような

朝食を2ヶ所はしごし、カフェをこなしても、まだ8時半。さすがに朝活を極めすぎた。
ここらで一旦、観光も挟むことにした。

やってきたのはサイゴン中央郵便局。フランス植民地時代に建てられた建築で、その美しい外観から、定番の観光スポットにもなっている。
中へ入ってみると、現在も郵便局として機能している一方で、ポストカードを中心におみやげも数多く並んでいた。
このあと雑貨屋なども巡る予定だったため、ここでは何も買わず、さらりと見学するにとどめる。
ちなみにこの郵便局の向かいには観光名所の大聖堂が建っているものの、訪れた際は長期工事中だった。

ヨーロッパ風の佇まい

郵便局を出たあとは、そのまま小道へ入り、ブックストリートへ。本や紙系の雑貨を扱う店が並ぶ通りである。
ただ、ここも強く惹かれるものはなく、軽く通り抜けるだけになった。

通りの両側に店が立ち並ぶ



Cộng Cà Phê

少し歩いたので、水分補給を名目に、早くも次のカフェを目指す。
訪れたのは、ホーチミン市内に複数店舗を展開しているCộng Cà Phê。
店は2階だったのだけれど、建物1階はいくつもの絵が飾られ、普通に人が暮らすアパートのような様相。
本当にここで合っているのか。不安になりつつ、進んでいくと階段が現れ、上がった先に店の入口が見えた。

店内に入り、注文はまずレジで。
頼むのは口コミでおいしいと評判のココナッツコーヒーと決めていた。
「こんにちは、このココナッツコーヒーがおすすめですよ」
店員が先手を打って、メニューを指差して教えてくれる。大概の観光客が頼むのだろう。
「じゃあ、そのココナッツコーヒーでお願いします」
「OK。トッピングにココナッツチップがおすすめですが、どうしますか?」
「あー。それじゃあ、お願いします」
そもそもココナッツコーヒーをよく理解していない。トッピングされて、いったい何が出てくるのか。
ただせっかくなので、おすすめされるがままにグレードアップしてみた。

こちらもまだ朝の時間帯だからか、店内は静かで空いていた。
一方、交差点を見下ろせる外のテラス席は人気で、若い男女が写真を撮って盛り上がっていた。
そんな様子をぼんやり眺めなていると、ほどなくしてココナッツコーヒーが到着。

定番のココナッツコーヒー

まずコーヒーといえども、ココナッツ風味のアイスと混ぜられた一品であり、思った以上にデザートだった。
添えられたスプーンで、上に乗っているココナッツチップやクリームと一緒にすくっていただいてみる。
おすすめされて追加したココナッツチップに塩気がほのかにあり、食感も変わって良い。これは足すべき。
さまざまな場所に店舗を構え、よく紹介されているだけある良いカフェだった。またホーチミンに来た際には別の店舗も訪れてみたい。

店の前のエレベーターが素敵だった



クーラーの効いた店内で冷たいココナッツコーヒーを飲み、少し冷えた。
身体をほぐすためにも、次はおみやげ探しへ移行することにした。
今回の旅の第一目的は食だが、それに次ぐ目的がショッピング。
事前に目星をつけていた雑貨屋を中心に巡り、あれこれ買い込んでいった。
ただ、ここで挙げはじめるとかなりの分量になってしまうので、別でまとめることにしたい。


Lacàph Coffee Bar

そんな買い物を楽しんでいた合間に、立ち寄ったカフェ。
先に言ってしまうと、ここが今回のホーチミン旅でのベストカフェだった。

Google Mapを頼りにやってきたものの、カフェらしきものは見当たらない。
立ち止まって、口コミを見てみると、絵が掛けられているギャラリーを抜け、2階に店があるとのこと。
さきほどのCộng Cà Phêしかり、ホーチミンは辿りつくのに難易度の高い店が多い。
上半身裸の男たちが煙草をくゆらせながら談笑している脇を抜け、無数のバイクが駐車された通路を進む。
なんだか映画の中に入り込んだような、物語のはじまりを予感させる瞬間だった。

映画のワンシーンのよう

階段を上がると、先ほどまでの雑多な空気が一変し、シックなカフェの入り口が現れた。
店先のメニューを軽く確認して、店内へ。

「こんにちは、カフェの利用ですか?」
奥に進んでいいものか迷っていると、長髪に眼鏡をかけた男性店員が、作業の手を止めて声をかけてくれた。
「はい、そうです」
「それじゃあ、カウンターにどうぞ」
その場に腰掛け、目の前に置いてくれたメニューをめくる。
「この3種のコーヒーセットって、何のコーヒーですか?」
「エッグコーヒー、コンデンスミルクコーヒー、塩コーヒーです。ベトナム各地の特徴あるコーヒーを楽しめますよ」
「いいですね! これにします」
エッグコーヒーは、今回どこかで飲みたいと思っていたベトナム名物のひとつ。加えて、他のスタイルのコーヒーが味わえるのは魅力的だった。
「できたらお持ちするので、奥のお好きな席にどうぞ」
一時的に腰掛けていたカウンターを離れ、案内された先には落ち着いた空間が広がる。
窓際の席がちょうど空いたので、そちらを確保することに。

コーヒーを待つ間に周囲を見渡す。店内には酒のボトルが並ぶバーカウンターがあり、夜にはバー利用もできそうだった。
カフェとガラス窓を挟んだ隣には、ダンディな理髪店が営業中。髪を切っている姿が目に入る。
総じて、大人の隠れ家といった雰囲気で、インテリアのセンスがとても好みだった。

窓辺の席はすぐに埋まり、隣で女性がパソコン作業をはじめる。
おしゃれでありながらコンセントまで完備されている。隙がない。自分もありがたくスマホを充電させてもらった。
しばらくして、グラスが並んだトレイを片手に、先ほどの男性店員がやってきた。

窓際の席で贅沢に過ごす

それぞれが何のコーヒーかを説明し、さらにおすすめの飲む順番まで教えてくれた。
言われた順に従い、まずは左端のエッグコーヒーからいただく。
一言で表すと、飲むティラミス。濃いコーヒーの上に卵黄とコンデンスミルクでつくられたクリームが乗っていて、濃厚で美味しい。
続けて右端のコンデンスミルクコーヒーへ。
勝手にホットラテのようなものを想像をしていたが、氷入りのアイスコーヒーだった。
こちらも甘みはあるものの、エッグコーヒーのあとに飲むと思いの外すっきりと感じられる。
最後は真ん中の塩コーヒー。こちらもアイス。
コーヒーは加糖で甘く、そこに塩味が足されることで、塩キャラメルのような味。想像より一回りほど塩が効いていた。
濃厚なものから徐々に軽やかな味へ移っていく流れがつくられていて、飲み比べとしてもクオリティが高い。
そして丁寧につくられた3種類のコーヒーを楽しめて、価格は700円以下。コスパもすごい。

ここを訪れるまでは、さらにカフェ巡りをするつもりでいた。
けれども、これ以上の体験はできないだろうと思わされるほどに満足してしまった。
買い込んだおみやげによって荷物が増えていたこともあり、ここで一旦ホテルに帰ることにしたのだった。


2日目後編へ続く


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