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ベトナム・ホーチミン旅行記 1日目

2026年は旅の年にする。年初にそう決めていた。
けれども、世界情勢はどんどんと不安定になり、その目標に影を落としはじめていた。

タイ旅行を終えた、4月。
「世界の料理を食べる会」と銘打った、珍しい各国料理を楽しむ集まりに誘っていただいた。
料理を囲みながら、自然と会話は旅の話になる。それぞれが訪れた国の思い出や、これから予定している行き先で盛りあがる。
「これからどうなるかわからないから、行けるうちに行っておかないと」
会話の中で出てきたその言葉が、強く脳に残った。

やっぱり、どこかへ旅に出たい。
もはや本能的な欲求に任せ、あれこれ調べてみた。
すると、ANAのベトナム・ホーチミン行き航空券が、他のLCCよりも安値で売り出されていた。
ちょうど情勢の影響で予約していた航空券がキャンセルになったという話題が、SNSを賑わせていた頃だった。
安心して旅を組み立てたいという思いもあり、行き先はホーチミンに決定。
妻が仕事で家に不在の週末に、一人でひょいと飛び立つことにした。

2泊3日、実滞在時間は48時間ほどの弾丸ひとり旅。
時間が限られているので、定番の観光スポットにはとらわれず、自分の興味を最優先にホーチミンを巡る。
すなわち、食だ。
特に日本ではなかなか出会えないようなベトナムの味を攻めていきたい。
そんな強い思いとともに旅をした記録になる。

旅はまだ始まらない

今回は土曜の夕方発の飛行機で、ホーチミンへと向かう。
パッキングも当日の朝に最終チェックができる、余裕のあるスケジュール。
というわけで、出発当日の午前はひたすら本を読んでいた。金原ひとみさんの「デクリネゾン」を、なんとか読み終えてから出発したかったのだ。
家を出る1時間前に無事に読了。いそいそと身支度を整えて空港へ向かった。

空港でのチェックインも荷物を預けるのも機械で完結するようになっていた。省人化がどんどん進んでいる。
搭乗時刻までは、いつものようにラウンジへ。
昼食をとれていなかったので、ここでありがたく軽食をいただく。

日本食ともしばしお別れ

注文してからつくってくれるヌードルバーで、はじめて頼んでみた。
うどん、そば、ラーメンがあったが、これからの胃のコンディションを整えるため、とろろそばを選ぶ。
他にも、おにぎりやいなり寿司など、ここぞとばかりに日本の味を摂取しておく。

甘味にコーヒーが合う

冷たいぜんざいも置かれていたので、デザートとしてしっかりいただいた。もちもちの白玉が美味しかった。
ホットコーヒーと共に一息つき、搭乗時間までをゆったりと過ごす。

定刻通りに搭乗したものの、上空の混雑によって離陸は少し遅れた。待っている間にも映画を観る。
「The Housemaid」という海外のスリラー映画。
原作小説が、2026年の海外ミステリランキングで上位に入っており、気になっていたのでちょうどよかった。
小説で読むよりも、配役の良さもあり、映像映えする作品だったと思う。

ホーチミンまでのフライト時間は約6時間。機内食を食べ、映画を観終えると、移動時間も半分以上が過ぎていた。
頻繁に旅を重ねているからか、移動の負荷が圧倒的に楽に感じられる。

出発が45分ほど遅れたにも関わらず、ホーチミンにはほぼ定刻で到着した。
また日本を離れた土地に来ることができたのだ。
旅の始まりはいつも気持ちが沸き立つ。


ホーチミン到着

無事にホーチミンにやってこれたものの、ここからがこの旅最大の懸念と言ってもよい瞬間であった。
ホーチミンのタンソンニャット空港は、とにかく入国審査に時間がかかることで有名なのだ。

対策としてファストトラック制度があり、事前にお金を払えば一般レーンの行列に並ぶことなく手続きを進められる。もはやテーマパークのようなやり口だ。
この追加料金が、躊躇するほどには高いため、今回は通常の手段で入国することにしていた。

うっすらとした不安に、自然と空港内を歩く足も速くなる。
そしてたどり着いたイミグレーションポイント。
本来、人で埋まっているであろうゾーンには誰もがおらず、各受付にまっすぐ列ができているだけだった。
前情報からすると、これはかなり空いているのでは。
急いで列の最後尾に並ぶ。待っている間にeSimの設定を済ませ、ネット環境も整った。
列は順調に流れ、30分程度で入国審査が完了。並んでいる間に、後方には人がどんどん増えていので、到着便の時間次第なところはありそう。
ただ、オフシーズンの雨季かつ土曜の深夜という微妙なタイミングが功を奏したのも確かだろう。
2026年中には、ホーチミンに新しい空港ができるそうで、今回のような不安ももうなくなるかもしれない。というか、なくなってほしい。

預けていた荷物を回収して空港の外へ出ると、もんわりと湿度の高い空気に出迎えられた。
小雨のおかげか、気温はそこまで高くなく、日本と同じくらいの20℃後半といったところ。
ここで空港からホテルまでのチャーター車を待つ。
空港からホテルまでGrabを利用することも考えたが、入国審査で待たされて真夜中になるかもしれなかったこと、空港出口からGrabの乗り場まで少し歩く必要があること、夜で雨だったらなかなか車がやってこないことなど、諸々を考えた結果、日本で事前に迎えの車を予約しておいた。
もちろんGrabよりは割高なのだけれど、帰国時にホテルから空港までの利用した際の価格と比較して、300円程度の差額だったので、全然ありだと思う。

ピックアップポイントへ向かうと、日本語で話しかけられた。
名前を告げると、まだドライバーが空港に到着していないとのこと。
入国審査がスムーズに行きすぎて、想定していたよりもこちらが早く着いてしまったようだ。
10分ほど待つと車がやってきた。キャリーケースを積み込み、ホテルへ直行。
車の外を眺めると、雨に打たれながらバイクタクシーで市内へ向かう人たちの姿が見えた。

今回のホテルはこちら、M Village Hotel Tao Đàn Park。
M Village Hotelはホーチミン市内にいくつか展開しているようで、その中の一つ。
チェックイン時にLINE登録をお願いされ、滞在中の連絡は何でもそちらでしてくれればよいとのことだった。
こちらから連絡しなくても、毎日困り事がないか気にかけてくれたり、チェックアウト予定時刻を確認してくれたりと、まめまめと連絡をくれた。
ちょうどチェックアウト後にもしばらく荷物を預かって欲しかったので、それもメッセージのやりとりで済ませられたのはありがたかった。

2泊する拠点

部屋に着いてあれこれしていると、日付が変わりそうになっていた。
明日が、唯一の丸々1日ホーチミンを楽しめる日。
体力を温存するため、初日はここで活動を終えることにした。

2日目前編へ続く

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